“丸写し” では記憶に残らない。東大生がすすめる「本当に効果的なまとめノート」の書き方

積み上げられた本に鉛筆が立てかけてある

「ノートは完璧なのに、活用できていない」
「勉強内容をノートにまとめてみたけれど、全然覚えられない」

まとめノートをつくってはいるものの、 “まとめっぱなし” で終わってはいませんか? 当然ながら、重要なのはその内容を覚えることです。

今回は筆者の実践体験も報告しながら、まとめノートをフル活用して成果を出す方法をご紹介します。まとめノートの効果が感じられない人は、ぜひ参考にしてみてください。

「まとめっぱなし」では意味がない

「こんなにうまくまとめた」「見やすいノートをつくれた」

このように、ノートをまとめただけで満足してはいませんか? まとめノートをつくるには時間がかかるものですが、時間をかければかけるほど “勉強したつもり” 状態に陥りやすいのです。

本来、まとめノートの目的はきれいなノートづくりでなく、勉強や仕事に活かすこと。単にノートをまとめるだけでは、あなたの大切な時間が無駄になってしまうのです。

『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』著者である石川和男氏は、「自己満足の芸術的ノート作り」で終わってはいけないと語ります。

試験勉強は、書くことが目的ではありません。覚えること理解することが重要です。そして、唯一最大の目的は受かることなのです。*1

忙しい社会人にとって、時間は有限です。せっかく時間を割いて勉強するなら、「仕事に必要な知識を覚える」「資格試験における出題範囲の内容を理解する」など目的を明確にし、ノートを活用して成果を出すことにフォーカスしましょう。

机の上にノートや鉛筆が置かれている

まとめノートは「再現性」に焦点をあてる

「なんとなく理解したつもりだったけど、この法則について説明できないな……」
「勉強したはずなのに、ノートを見てもどんな内容だったか思い出せない」

このような状況に陥ってはいませんか? ですが、勉強のできる人は、あとから誰かに説明できるような再現性のあるやり方をしています。

教育事業などを手がける現役東大生の西岡壱誠氏によると、東大生はノートやメモを「授業や本の内容を自分1人で『再現』して、自分で後から誰かに『説明』できるようにするためのツール」として活用していると言います。

単に自分の理解や納得のために授業を聞いたり本を読んだりするのではなく、「後から誰かに説明するタイミングが来る!」という意識の中で話を聴いたり本を読んだりすると、格段に記憶に定着しやすく、成績も上がりやすいのです。*2

たとえば、目的をもたないまま漠然と本を読んだり、講義の内容をなんとなくノートに書き写したりといった勉強では、なかなか記憶に残らないもの。ですが、「いま勉強している事柄をあとで誰かに説明しなくてはならない」と考えると集中力が上がり、記憶に定着しやすくなるのです。東大生たちは、そのためにノートやメモを活用しているわけですね。

さらに、『学びを結果に変えるアウトプット大全』著者で精神科医の樺沢紫苑氏は、STUDY HACKERのインタビューでこのように述べています。

アウトプットをどのくらいするのが最適なのでしょうか。これについては脳科学の研究ではっきりと示されています。「インプットが3に対してアウトプットが7」。これが記憶をもっとも効率化する比率。

関連記事:記憶効率を上げる黄金比は「3:7」だ。勉強に脳科学を取り入れるべし。 

つまり、書いたり話したりといったアウトプットは、記憶を定着させるために必須なのです。たとえば、30分間の講義を視聴したなら、70分間はアウトプットにあてるべきでしょう。

では、その70分間をどのように使えばいいのか——そんなときにこそ役立つのが、まとめノートなのです。

机の上にノートやラップトップが置かれている

まとめノートをつくってみた

本当に役立つまとめノートとは、いったいどのようなものなのでしょうか? 

前出の西岡氏は、東大生には3つの「『ノート・メモ』テクニック」があるといいます。*2

  1. 「言い換える」
    「要するにどういうこと?」と、自分の言葉で「一言でまとめ」ます
    例:フランス革命
    メモ:王政廃止と市民権の獲得。要するに、社会的・政治的階級の大転換。
  2. 「ロジックを残す」
    「どうしてそれが起こったのか?」「その結果どうなったのか?」、因果関係のある情報を「→」でつなげます。「『→』で結べない情報」は、「間を補完する情報」がないかチェックしましょう。
    例:サラエボ事件
    → オーストリア = ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告
    → 各国が連鎖的に参戦
  3. 「とっかかりをつくる」
    テストに出るような重要な情報かどうかにかかわらず、「自分の感情が動いたものや、自分の中で気になったこと」をメモしましょう。このような情報は脳に残りやすく、授業や本の内容を思い出すきっかけになります。
    例:チューリップバブル
    メモ:チューリップ一輪が家一軒分の価格に!?

筆者も、実際に「ファシズムの台頭」についてまとめノートをつくり、仕事仲間に内容を説明してみました。

まとめノートを作成した紙面

以前は、参考書を丸写しするようにノートをとっていた筆者。ですが、今回は丸写ししたときと異なり、頭を使って考えて書く必要のあるまとめ方だと実感しました。

それゆえ、自分の思考の過程がわかるノートになり、仕事仲間にも学んだ内容を説明しやすくなったのには驚きました。「なぜ?」「それによりどうなった?」の答えを、ノートを見ないで説明できるようになりましたよ。

ノートには、「なぜ?」「なぜそれが起きた?」「一言でまとめると?」などを多めに書き込むと、さらに理解度が深まって忘れにくくなるのでおすすめです。

***
今回は、確実に勉強に活かせるまとめノートについてご紹介しました。3つのテクニックは、すぐに実感できるほどの効果がありましたよ。ぜひ試してみてくださいね。

※引用部分の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
橋本麻理香

大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

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