三日坊主なのは目標しか決めていないから。成果を出す絶対条件は◯◯を決めること

目標より習慣01

「目標を立てても達成できない」
「決めたことをやり遂げられない」
「自分は意志が弱くてダメな人間だ」
このように、自分で決めたゴールを達成できなかったことを悔いて、自信をなくしていませんか。残念ながら、「目標を決める」だけでは、達成は難しいのです。

今回は、目標を決めるよりも “習慣を決める” ほうが人生を好転させるのに有効である理由を解説していきます。いい習慣を身につけることで、望んでいたゴールに到達するだけでなく、それ以上の成果が期待できますよ。

目標を決めるだけでは努力は続けられない

大きな目標を掲げれば、モチベーションが上がって頑張れるような気がしますよね。「10キロやせるぞ!」「TOEICで900点とるぞ!」など。たしかに、一時的にはやる気が出るかもしれません。でも、これだけでは努力を継続するのは難しいでしょう。

クイーンメアリー大学の研究チームは、159人の被験者を対象に次のような実験を行ないました。まず、被験者により努力が必要な大変な作業を選んだほうがお金がたくさんもらえると伝えたうえで、「体力を使う作業」もしくは「頭を使う作業」のどちらかを選んでもらいます。すると、ほとんどの被験者が、たくさんのお金が出る大変なほうの作業を選びました。

しかし、いざ作業が始まると、被験者たちは努力をするのをやめてしまったのだとか。大きな報酬があるとわかっており、大変な作業をすると自分で決めたにもかかわらず、作業に着手するとやる気がなくなってしまったそうです。

この実験からわかるのは、人は、自分で決めた目標であっても、そして報酬が大きいとわかっていても、それだけでは努力し続けるためのモチベーションが保てないということ。目標を掲げることと結果を出すことは、直接は結びつかないのです。

目標より習慣02

目標を常に意識しておくことのデメリット

同様に、目標を常に意識して行動することにもデメリットがあるようです。それは「ウィルパワー」を無駄遣い

ウィルパワーとは「意志の力」のこと。「今日の朝ごはんは何を食べよう」「勉強を始めようかな、いや、ゲームをしてからにしよう」といった些細なものも含め、何か決断をするたびに消費されていきます。そして考慮すべきは、ウィルパワーの量は有限だということ。つまり、1日のなかで決断の回数が多いほど、大事なことを決めたり重要なことに集中したりするための大切なエネルギーが消費されてしまうのです。

フロリダ州立大学の社会心理学教授であるロイ・バウマイスター氏は、決断をたくさんするほど自己コントロール能力が低下すると指摘しています。

たとえば、試験に合格したい人にとって大切なのは、「勉強にどれくらい力を注げるか」「どれくらい長い時間集中できるか」といったこと。しかし、自己コントロール能力が低下すると、遊びの誘惑に打ち勝ったり、重い腰を上げて勉強を始めたりするのが難しくなります。これでは目標達成も遠ざかっていくばかりでしょう。

目標より習慣03

習慣を身につけることのメリット

一方、「習慣」を身につければ、ウィルパワーを消費せずに、目標に着実に近づいていくことが可能になります

勉強を始めることや、仕事で面倒なタスクに取りかかること、ダイエット中にお菓子を我慢することなどを、行動に移す(もしくは移さない)ためには、意志の力が必要です。しかし、習慣にしてしまえば意志の力は不要になりますし、「誘惑に負けてやらなかった」ということも起こらなくなります。

『習慣の力 The Power of Habit』の著者であるチャールズ・デュヒッグ氏によると、1日の行動の約40%が習慣によるものなのだそう。習慣が、どういう人間になるのかをつくり上げるといっても過言ではありません。

デュヒッグ氏によると、よい習慣は連鎖していき、さらによい習慣を発生させるそう。たとえば、運動を習慣にしたことで、健康に対する意識全体が高まり、食生活にも気を使うようになり、お酒も控えるようになる……など。よい習慣は、私たちの人生を好転させるカギとなるのです。

目標より習慣04

簡単に習慣を身につける方法

著書『小さな習慣』がベストセラーとなったスティーヴン・ガイズ氏は、「何かを達成するためには、モチベーションよりも戦略が大事だ」と述べています。同氏がすすめている戦略は、「小さく始める」ことです。毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動、つまり「小さな習慣」を身につけるということ。

たとえば、腹筋を鍛えたい人が「毎日100回腹筋する」と決めても、筋トレが習慣になっていなければ続けるのは難しいでしょう。その場合、できるだけ目標を小さくし「毎日5回だけ腹筋する」と決めるとします。どんなに仕事で疲れていても、モチベーションが低くても、たった5回の腹筋ならできますよね。

そして、腹筋を5回やろうとしても、始めてしまえばもっとできてしまうかもしれません。毎日5回を目標にやっていると、それがだんだん歯磨きのように習慣になっていき、筋肉がついてくるにつれて「今日は20回やってみよう」「今日は30回」と回数が自然に増えてくるでしょう。

小さく始めるからこそ習慣になり、それを始めることへの負担を感じなくなり、少しずつ自分で負荷を上げられるようになります。「小さすぎて失敗できない」ぐらいの習慣を身につけ、ハードルを上げていけば、やがて大きな効果が生み出されるでしょう。

***
習慣は一生ものの財産と言えます。ぜひ戦略的に習慣を身につけていってください。

(参考)
Mentalist DaiGo Official Blog|いざ始めてみると【急にやる気がなくなる】のはなぜか
Science Direct|Redefining the relationship between effort and reward: Choice-execution model of effort-based decisions
YouTube|The Power of Habit: Charles Duhigg at TEDxTeachersCollege
The New York Times|Why You Need to Sleep On It
Farnam Street |Habits vs. Goals: A Look at the Benefits of a Systematic Approach to Life
スティーヴン・ガイズ 著, 田口未和 訳(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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