「勉強はしたい。でも忙しいから、勉強時間をあまり確保できない……」
「せっかく勉強するなら、仕事に役立つ勉強がしたいな……」
このような人に、お悩み別・1日たった15分あれば完結できる勉強法を3つご紹介します。気軽にできるだけでなく、仕事に役立つものばかり集めました。さっそくご説明しましょう。
1. 15分で「ショートカットキーの徹底活用法」を勉強する
「上司から仕事の効率化を求められているけど、何を改善したらよいかわからない」
「作業時間を少しでも短縮して、残業を減らしたい」
こんな方には、1日15分で「パソコン作業の高速化テクニック」を勉強することをおすすめします。キーボードのショートカットキーをとことん覚えてみてください。
パソコンスキル獲得による生産性の向上法に詳しい森新氏によると、パソコンはマウスを使わずとも、キーボードさえあればあらゆる操作ができるのだそう。仕事の8~9割はパソコン作業が占めるので、パソコンスキルを徹底的に磨けば、仕事全体の効率化に確実につながると断言しています。
実際に森氏自身も、ショートカットキーの活用により、マウスのクリック回数を1日5,000回から1,000回にまで激減させたそう。1クリック0.5秒で計算して、年間約120時間もの業務時間削減に成功したと言います。森氏のセミナー参加者たちも、同程度の時短効果を得ているとのこと。
ショートカットキーの活用法を習得するには、森氏が独自に研究したノウハウをまとめた著書『脱マウス最速仕事術』を使い、たった2週間勉強するだけでいいそうです。後述のように、同書は段階的にコツコツと勉強することを推奨しているので、1日分の勉強には最低15分ほどあれば充分と言えそう。
森氏によれば、ショートカットキーについて勉強する際は、一覧表だけに頼った丸暗記方式の勉強はNGだとのこと。機種によってキーの見た目や組み合わせは変わるので、体系的に覚えるほうが応用が利く――というのがその理由だそうです。
森氏が挙げる、勉強法のポイントは以下のとおり。
【教材選び】
キーの配置と役割を解説している教材を使う。(例『脱マウス最速仕事術』)
【勉強の進め方】(※ショートカットキーは一例)
- まず、どの位置にどんなキーがあるのかを知る。
- なじみのないキーの役割を調べる。
- キーの配置や役割を理解できたら、単体で使えるショートカットキーを覚える。
- Tab……カーソルや選択を次に移動する
- F12……ファイルを開いた状態で「名前をつけて保存」する
- 左手だけで使えるショートカットキーを覚える。
- Ctrl+Z……実行した操作をやめて元に戻す
- Ctrl+Y……戻した操作をキャンセルする
- 両手を使うショートカットキーを覚える。
- Ctrl+Shift+<(>)……書類作成中に文字のフォントサイズを小さくする(大きくする)
- Ctrl+P……印刷する
この手順を踏めば、独学でも効率よくショートカットキーが身につくそうですよ。
なお、森氏の著書はWindowsを対象としているため、上記で取り上げたショートカットキーの例はWindowsのものです。とはいえ、習得法の手順はMacにも当てはめてよいはず。もちろんMacにも、左手だけ(例:Shift+command+Z……戻した操作のキャンセル)や両手使用(例:command+P……印刷)などのショートカットキーが存在します。
森氏いわく、キーボードやマウスは仕事のなかで最も長時間触れているツールであるにもかかわらず、「特に不便でないから」という理由で、ほとんどの人がその使い方を改めようとはしないのだそう。そのぶん、ショートカットキーを習得すれば、誰でも例外なく業務効率を向上できると言います。
ひととおり身につければ、その後はずっと年120時間の時短ペースを維持することが可能! 業務を高速化するテクニック、勉強しない手はありませんね。
2. 15分で「本の感想」をアウトプットする
「自己研鑽のために読書をしているけど、数冊前に読んだ本の内容は正直忘れている」
「本を読んで『なるほど!』と思っても、仕事に生かすまでに至ったことがない」
そんな人は、15分で「読書の感想を書く」という学び方をしてみましょう。本を読んだあと、たった15分でも時間をとり手書きで感想をまとめれば、本の内容を忘れにくくなるだけでなく、行動力も格段とアップしますよ。
脳科学に詳しい医師の樺沢紫苑氏によると、脳はアウトプットした情報を大事だと判断し、記憶に残す性質があるとのこと。そのため、文字を目で追うだけのインプットに偏った勉強には、あまり効果がないそう。「仕事に生かしたい!」という思いで読書をしたのに、内容を忘れてしまった……となる理由はこれだったのです。
また、アウトプットのなかでも特に「書く」勉強をすれば、手が動くことで多くの神経細胞が働き、脳が情報を記憶しやすい状態をつくり出せるのだとか。
さらに、本の感想をまとめることには、その後の行動につなげやすくなるというメリットがあると樺沢氏。具体的には、
- 「ビフォー(本を読む前の自分)」
- 「アフター(本から得た気づきとToDo)」
を書くことが、自己成長に効果的だそう。
樺沢氏のすすめるやり方で、筆者も本の感想を書いてみました。仕事や日常生活での「今日やろうと思っていたことがこなせなかった……」という悩みを解消するために『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(佐々木正悟著)を読み、まとめた感想がこちらです。
あとで見返したときにわかりやすいよう、本のタイトルと著者名を先頭に書いています。樺沢氏が、「シンプルに書いたほうが、記憶に残りやすく、自己成長もしやすい」と説いていたので、長文になりすぎないよう意識。気づきとToDoを考えながらでも、15分あれば書けました。
以前は、本を読んで「なるほど」と思ったことも日が経つと忘れがちだった筆者ですが、感想を書いたことで、圧倒的に本の内容が記憶に残りやすくなったと実感。気づきとToDoがしっかりと頭に入っているぶん、実生活にも生かしやすくなりましたよ。たくさん本を読んでいるわりに自分に変化が感じられないという人にこそ、ぜひ試してほしいです。
3. 15分で「翌日の不安解消」につながる勉強をする
「明日のプレゼン、うまく話せるか不安だ……」
「明日は商談だ。成功させたいけど大丈夫かな……」
このようなときは、15分だけ時間をとって「翌日の仕事の不安を払拭するための勉強」をしてみるのもよいでしょう。
定額制動画学習サービス「グロービス学び放題」の事業責任者・鳥潟幸志氏は、以下3ステップでの勉強を日々のルーティンにするようすすめています。
- 翌日の仕事のスケジュールを確認する
- そのうち、課題や不安がある仕事を洗い出し、なぜ不安なのかという理由を考える
- その課題解決につながりそうな知識を学習して、実際に仕事で活用する
(引用元:STUDY HACKER|「1日たった15分」の勉強で上位3割に食い込める。社会人が “小さな学習” をルーティン化する方法)
鳥潟氏によると、勉強する時間は15分程度でよく、テーマも身近なもので充分だそう。
たとえば、翌日に任されているプレゼンが不安だとします。不安な理由が「大勢の人前だと緊張してしまいそうだから」であれば「人前で緊張しない方法」を。「相手の興味を引きつける話し方が苦手だから」であれば「相手に伝わりやすい話法」を、インターネットの教材などで学ぶのです。
15分でも勉強すれば、まったく勉強しない状態よりも格段に自信がつくというもの。それによってプレゼンが成功すれば、「また勉強したい!」とさえ思えるでしょう。「勉強」と「実践(成功)」のサイクルをうまく回せば、モチベーションを保ちながら勉強を習慣化できると鳥潟氏は言います。
たった15分の勉強で仕事がうまくいくなら、勉強しない理由がありませんよね。“明日の仕事” というきわめて身近なテーマでコツコツ勉強し、自信をつけましょう!
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スキマ時間でも実行でき、確実に仕事につなげられる、「1日15分」の小さな勉強法を3つお伝えしました。「15分の勉強でもこんなに変わるんだ!」ということを、ぜひ実感してくださいね。
(参考)
森新(2020),『脱マウス最速仕事術 年間120時間の時短を実現した50のテクニック』, ダイヤモンド社.
ダイヤモンド・オンライン|オフィスワーカー全員が「脱マウス」すれば、日本の生産性は急上昇する
Apple サポート 公式サイト|Mac のキーボードショートカット
樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変える アウトプット大全』, サンクチュアリ出版.
佐々木正悟(2011),『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』, 中経出版.
STUDY HACKER|「1日たった15分」の勉強で上位3割に食い込める。社会人が “小さな学習” をルーティン化する方法
【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。