「囲むだけ」で記憶が残る! 暗記が苦手でも覚えられる “ボクシング・メソッド”

筆者が書いた手書きノート

筆者が書いた手書きノート
※記事内の実践画像はすべて筆者が作成した
  • 暗記系の科目や、資格勉強の内容を覚えるのが苦手。
  • アウトプットを意識してきちんとノートをとっているけれど、なんだか地味で覚えにくい……。

暗記に関する悩みを抱える人に向けて、今回は「ボクシング・メソッド」というノート術をご紹介します。

ボクシング・メソッドは、トピックを区切るためにボックス(枠)を使う方法です。*1 

情報を視覚的に整理しやすく、トピックごとに短くまとめるため覚えやすい点も魅力。

また、手書きだけでなく、タブレットやパソコンといったデジタルメモにも対応しています。

ノートに「枠」をつければ、頭のなかもすっきりと整理されて勉強内容も覚えやすくなるはず。

詳しいメリットに加え、実践方法もご紹介します。

なぜ「囲む」だけで記憶が強くなるのか?

ボクシング・メソッドの特徴は、ひとつひとつのトピックを囲んでボックスをつくる点にあります。

これは情報が視覚的に整理されるほか、勉強内容を覚えやすくする効果も期待できます。

その理由について解説しましょう。

理由1:ボックスに要約して書くから

勉強した内容を一字一句書き留めていては、ボクシング・メソッドの枠のなかには入りません。

そのため、覚えたいことを要約してコンパクトにする必要があります。

この「要約」によって、記憶の定着が進みます。

株式会社カルペ・ディエム代表の西岡壱誠氏は「『一言で言うと要するに何なのか』を頭の中で組み立てられた瞬間、一気に頭への残り方が変わる」と述べています。

要約するには「自分の中でその情報をかみ砕いて理解して、自分できちんと納得する必要」があるためです。*2

つまり勉強内容を覚えるには、本や講義の内容をそのままノートに写すのではなく、自分なりに重要なポイントを抽出してまとめることが大切だといえます。

ボクシング・メソッドでは、メモをコンパクトにして枠に入れる必要があるため自然と要約ができ、記憶の定着を促せるのです。

「SUMMARY」と表現された画像

理由2:記憶の「フック」が増えるから

また、枠で情報のまとまりをつくることで、記憶の「フック」を増やせる点もボクシング・メソッドの強みです。

脳科学者の毛内拡氏は、「『フック』となる情報が多ければ多いほど覚えやすい、思い出しやすい」と言います。

脳は見聞きした情報をそのまま覚えるのではなく、なんらかのカテゴリーに分類し、そのなかで情報どうしを関連づけて記憶するからです。*3

記憶のフックとは、思い出すときの手掛かりとなるもの。

複数の情報を関連付けながら記憶する脳の性質を活かして、芋づる式に勉強内容を思い出せるようにするのです。

そもそもボクシング・メソッドは、トピックをカテゴリー別に枠で囲むノート術。同じボックスにあるキーワードをフックとして、学習内容を覚えることができるでしょう。

デスクで考えるビジネスパーソン

実践!OneNote × ボクシング・メソッドでノート革命

ここからは、筆者の実践とともにボクシング・メソッドのやり方をご紹介します。

eラーニングに関するメディア「E-Student」の創設者、サンダー・タム氏によると、ボクシング・メソッドは「タブレットやノートパソコン向けに開発され」たものだと言います。*4 

そこで筆者も、マイクロソフトのデジタルノートアプリ「OneNote」を使用してノートをとってみました。

ステップ1:ノートを2~4列に分割

まず、画面は縦長なら2列、横長なら3~4列に分割して使います。

今回はパソコンの画面を使ったため、縦3列に分割しました。

線を引く必要はないので、メモの長さの目安として考えましょう。

続いて、列の上部に見出しを追加したら、メモの準備は完了です。

パソコンの画面を縦3列に分割した様子

パソコンの画面を縦3列に分割した様子

ステップ2:新しい情報が出るたびに、要約してボックスに

次は勉強を進めながら「特定のトピックに関する考え、アイデア、概念を縦に並べて書き留め、トピックごとの情報クラスターを形成」するステップです。*4

筆者はテキストを読み進めながら、適宜ノートをとっていくことに。

ポイントは「新しい情報を得るたびに、それを要約し、最も関連性の高い見出しの下に配置」することです。*4

重要だと感じる内容があったら、自分の言葉で噛み砕いてメモします。

どの見出しの下に書けば、記憶のフックにしやすいかということも考えながら配置しましょう。

デジタルツールを使用しているので、必要に応じてメモや見出しの位置を変更しても構いません。ひととおり勉強をして、メモを終えた状態が以下のとおりです。

勉強をして、メモを終えた状態

勉強をして、メモを終えた状態

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

タム氏によると「トピックに関する考え、アイデア」も書き留めてよいとのことだったので、自分の考えや備考などは色を変えて書いてみました。*4

ステップ3:仕上げに描画ツールで「枠」で囲む

最後に、描画ツールを使用してトピックを囲むボックスを挿入します。必要に応じて、ここでもメモの移動や内容の編集などを行ないます。

タム氏は「あるボックスにはノートが20個入っているのに、別のボックスには2個しか入っていない場合、大きなボックスを複数の小さなボックスに分割すると良い」と述べています。*4

見出しごとの偏りが出過ぎないよう調整して、視覚的にも整理されたノートに仕上げましょう。

こちらが完成したノートです。

完成したノート

完成したノート

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ズームアップ

ボクシング・メソッドでノートも頭もすっきり!

実践を通じて実感できた効果と、アレンジ方法についてご提案します。

情報を整理しながら覚えやすいノートに

ボクシング・メソッドを使うと、ノートがすっきりと見やすくなります。

それだけでなく、勉強したあとの「頭のなかが情報でいっぱい」といった感覚が軽減され、思考が整理された実感がありました。

その理由は、枠と要約にあると思います。枠によって情報が分類されて、見出しだけでも勉強内容をざっくりと整理・復習できたのです。

さらに「どの見出しの下にメモをするか」という思考や、一緒に書かれているキーワードがフックとなって勉強内容を思い出すこともできました。

また、テキストの文章やキーワードをそのまま書き写すよりも、自分の言葉で要約したほうが覚えやすいという実感もありました。

自分にとって分かりやすい言葉と文章でまとめることが、内容の噛み砕きにつながったと思います。

いますぐできる手書きアレンジ

ボクシング・メソッドは、デジタルツールを使ってノートづくりをしたい人におすすめ。

一方で「勉強にパソコンやタブレットを使わない」「ノートをとるたびにデジタルツールを開いて文字を打つのは面倒」と感じる人もいるでしょう。

そこで、手書きでもボクシング・メソッドを試してみました。

作成手順はデジタルツールのときと同様です。

筆者が書いた手書きノート

筆者が書いた手書きノート
要約した勉強内容をボックスに入れていくのは、デジタルツールのときと同じ

デジタルツールと違いテキストの移動がしづらいので、あとから加筆修正ができるように余白を広めにとることを意識しました。

また、見出しやアイデアには色を使ってメリハリをつけています。

デジタルに比べると作成時間が少し多いものの、実感できる効果は同じでした。

パソコンやタブレットを使わずに、手元にある紙とペンだけでボクシング・メソッドを試したいという人は、手書きから試してみてはいかがでしょうか。

***
ノートを「ただ書く」から「整理して書く」に変えることで、記憶の定着度は大きく変わります。学習内容が覚えられずに悩んでいる人は、ボクシング・メソッドをぜひ試してみてください。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
藤真唯

大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。

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