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国語の作文でも、道徳の記述でも、読書感想文でも、なんでも構いません。小学校時代、学校の先生から文章を書くとき、どのように教わったか思い出してみてください。

「感じたまま、思った通りに書いてみなさい」「考えたことをそのまま書いてみましょう」

こんな風にして、何かフワッとしたアドバイスを受けた記憶のある人は少なくないのではないでしょうか。果たして、これでうまくいくでしょうか? 答えは、No。

鉄棒で逆上がりの練習をする時、「ほら、感じたままに回ってみるんだ」「鉄棒と呼吸を一つにして」なんてアドバイスする人なんていないはず。まずは自分でお手本を見せてから、「勢いが肝心だから、助走を目一杯つけるんだ」「腰を鉄棒から離さずに回ってみなさい」と、具体的にポイントを教えてあげますよね。文章の書き方についても、同じようなアドバイスが必要なはずなのです。

今回は、文章の書き方を学ぶ方法をご紹介します。どうすれば文章が上達するか、そのヒントをお教えしましょう。

まずは「真似る」ことから

筆者の経験からいえば、文章の書き方は真似することによって身につけることができます。例えば、この記事の冒頭をご覧ください。「こんな風にして~少なくないのではないでしょうか」という問いかけの文があります。このようにして問いかけをする形式は、筆者が独自に考案したわけではありません。インターネットや書籍など、これまで数多くの文章を読んできた中にこうした表現があり、それを真似しただけなのです。

テニスもサッカーもスキーも、スポーツはまずフォームや型から学ぶはず。文章だって同じです。まずは、上手な人のものを真似ることから始めてみましょう。

この時、気をつけなければならないことが二つあります。第一に、内容は絶対に真似しないこと。これは断じて許されないことです。元となる文章が学術的なものであれば、真似する行為は「剽窃(ひょうせつ)」と呼ばれ、学会や大学から非常に厳しい処罰が下されます。元となる文章が芸術的なものであれば、著作権のある著作物を真似する行為は「著作権侵害」となり、犯罪になります。十分に注意してください。

第二に、自分の目的に合った文章を真似るということ。論文を書くのに、STUDY HACKERの記事の文体を真似しても意味がないでしょう。小説を書きたいなら小説を、コラムを書きたいならコラムを、レポートを書きたいならレポートを参考にしましょう。

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科学的にも検証されている、真似することの意味とは

文章の書き方をどのように学習すればよいか。これは科学的にも研究が進められています。

大阪市立大学の江川克弘氏は、小学校児童の作文学習のためには「視写」つまり見てそれを写すことが重要だとして、論文の中で次のように指摘しています。

個人の主張を読み手に分かりやすく,自由に表現する前提として,いくつかの文章様式を身につけることは必要不可欠であり,日本の児童には文章表現や形式を体得する訓練が必要である

(引用元:江川克弘(2011),「作文学習における視写の有効性の検討」, 教師学研究 : 日本教師学学会誌.

江川氏は、小学校児童の協力のもと、次のような実験を行いました。他人の書いた意見文をそのまま写すという訓練を積んだ児童とそうでない児童の二グループに分け、別の意見文を書いてもらうという実験です。すると、視写の訓練を行った児童の方が、構成や表現力がレベルアップしただけでなく、語法や誤字脱字に関しても正確性が増したというのです。視写=模倣の訓練をしていない児童は、自分の知る論理展開や表現しか使うことができず、文章に広がりがなかったのだそうです。

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文章の書き方については、様々な方法論があります。そうした方法論を勉強するのも大切ですが、文章力アップの第一歩として、まずは模倣というトレーニングから始めてみてください。

(参考)
江川克弘(2011),「作文学習における視写の有効性の検討」, 教師学研究 : 日本教師学学会誌.


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。