いい人に見られたい――その無駄な欲求があなたの成長を阻んでいる可能性

美崎栄一郎さんインタビュー「成長の土台を作るための『しないこと』」01

「成長したい」と考えたとき、たとえば「ビジネス書を読むべき」といったように、つい「○○すべき」という思考にとらわれがちです。でも、「○○しない」という思考も大切だと言うのは、大手化学メーカー・花王の研究開発職を経て、現在は商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家として幅広く活躍する美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)さん。

ビジネスパーソンとして成長していくために大切な「しないこと」とはどんなことでしょうか。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

美崎栄一郎さんインタビュー「成長の土台を作るための『しないこと』」02

【1】すぐ人の意見に同調しない

AIが急速に発達してきたいま、ただデータ分析をして結論を導くようなことはAIに任せればよくなってきています。そこで人に求められるのは、オリジナリティーのある「最初の一歩」の何かをつくることです。つまり、その何かを自分の頭で考えられなければならない。でも、「同調」はすなわち「何も考えていない」ということになる。そういう癖がついてしまっていては、これからの時代に成長し、活躍することは困難です。

では、どうすればいいのか? その答えはとても簡単です。いつでも真っ先に自分の意見を言えばいいのです。

たとえば、同僚や友人たちと食事に行ったら、最初にメニューを決めることだってそう。結果的に周りが同じメニューを頼んだとしても、先んじて決めているのですから、それは同調ではありません。その習慣づけが、ほかのことに関してもまずは自分が真っ先に考えて意見を言えるということにつながり、オリジナリティーのあるアイデアの創出にも役立っていくでしょう。

美崎栄一郎さんインタビュー「成長の土台を作るための『しないこと』」03

【2】人のせいにしない

何か問題が発生したときに、人のせいにしてしまえば楽ですよね? しかし一方で、その思考がデメリットを生むことにもなる。それは、問題の解決に向かって動き出せないということ。他人のせいで起きた問題なのだから、自分にはどうしようもない――。そう考えてしまうのです。

では、なんでも「自分のせい」だと考えるようにしていたらどうでしょうか? 何か問題が起きても「自分の判断がそうさせた」と考えるわけですから、逆に言えば、そのよくない状況を自分の判断で改善できると考えられ、積極的に問題の解決に向かって動き出せるはず。

言い換えれば、「なんとかなる」という思考を持つことでもあります。少し前に、私は中国に行きました。すると、通信環境がよくなく、Facebookもメールも見られなくなるし、Googleマップも使えない……。おまけに、中国での買い物はほとんどがQRコード決済なのに、それもできなくなりました。

それらの事実を中国の通信環境のせいにするのは簡単です。だけど、そのままでは状況はよくなりません。そこで「自分のせい」だと思えば、自分でなんとかしようと前を向くことができる。

私自身、中国語はまったくできませんが、自分のiPhoneを買い物先の店員に見せて、支払う意志があることだけは伝えました。すると、その店員は、店のWi-Fiに私のiPhoneをつないで決済してくれたのです。人のせいにせずに自分から積極的に動けばなんとかなる。改めてそう感じた出来事でした。

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【3】自分と他人を比べない

人はつい他人と自分を比べたくなるものです。以前の私も、私より売れている本を書いている人に対して「すごいなあ……」と思い、「自分ももうちょっと頑張らないと」なんてよく思ったものです。

たしかに、そういう気持ちが原動力になることもあるでしょう。でも、純粋に「すごいなあ」と思う気持ちが妬みになってしまうと、他人ばかりに意識が向かってしまいます。そんなことでは自分を成長させることはできません。

意識を向けなければならないのは、自分なのです。過去の自分よりいまの自分が成長できているのか、いまの自分がやるべきことをきちんとやれているのか――。そのことだけにフォーカスすべきです。そうすれば、少しずつかもしれませんが、着実に成長していけることになるでしょう。

美崎栄一郎さんインタビュー「成長の土台を作るための『しないこと』」05

【4】「いい人」でいようとしない

協調性が大切だとされる日本の社会では、ついつい「いい人」でいたくなるものです。でも、仕事で成果を出そうと思えば、ただのいい人ではなく、少しくらい癖があっても「個性」を持つ人間になる必要があります

以前、あることがきっかけで「パソコンを使わない」と決めた私は、スマートフォンだけで仕事をしていました。最初はやはり大変でしたが、どんどんインフラが整って、問題なくやれるようになった。そのとき、パソコンを持ち歩いていないことを示す意味もあって、紙袋ひとつにまとめた小さな荷物とスマホだけを持って世界一周をしたのです。その後、もう20回ほどは紙袋だけで海外に行っています。

そうやって徹底していった結果、「紙袋だけで海外に行く」ことが私の個性になった。本当のところはもう飽きているのですが、「紙袋だけで海外に行く人間」としてテレビ出演もしましたから、なかなかやめられない(笑)。でも、その個性は実際にテレビ出演などの仕事につながったわけです。

わたしの例は極端かもしれませんが、会社に勤めるビジネスパーソンであっても、個性を持っているかどうかはとても重要です。ある分野に突出して詳しいという人なら、その分野に関わる仕事は任せようと思われますよね。そういった個性を伸ばすには、自分の興味関心があることをしたり、興味関心がある人と過ごしたりする時間を大切にする必要がある。逆に言えば、興味関心がないことに触れたり、興味がない人と付き合ったりしている場合ではないということです。

仕事上の関係で、顔を出さなければいけない飲み会もあるでしょう。でも、断っても問題がなく、しかも「行きたくない」と思うような飲み会なら、いい人のフリをして顔を出したところで、自分のためにはなりません。「先約があるので」と断ってしまえばいいのです。

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【5】「まだ大丈夫」と後回しにしない

今日はちょっと体力が落ちているな……イマイチ気が乗らないな――。そういった言い訳を自分にして、翌日に仕事を持ち越している人も多いかもしれません。でも、そういうことは常態化する危険性が非常に高いものです。

今日の体力が7割の状態だからと、今日やるべき仕事を翌日に回したとします。すると、翌日の体力がたとえ100%の状態に戻っていたとしても、2日分の仕事をこなすのは相当きついでしょう。結果的に、また次の日に仕事を持ち越すことになるのです。

本来、「今日やるべき仕事」なのですから、その日のうちにやらなければならない。それでも、本当にきついというのなら、一部の仕事をほかの人にお願いすればいいのです。とは言っても、締め切り間際になって人に振ることはできません。相手も余裕を持って取り組めるよう、前もって計画的にお願いする必要があるでしょう。

そのことを前提に置くと、自分の体力や仕事のスキル、抱えている仕事量を冷静に分析することが何より大切と言えます。

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【美崎栄一郎さん ほかのインタビュー記事はこちら】
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脱ムダ、損、残念! 今度こそ、やめる技術―――ダメな自分をやめるコツ43

脱ムダ、損、残念! 今度こそ、やめる技術―――ダメな自分をやめるコツ43

  • 作者:美崎栄一郎
  • 出版社/メーカー: あさ出版
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: Kindle版

【プロフィール】
美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)
1971年6月24日生まれ、神奈川県出身。商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家、起業家。2009年に上梓した初の著書『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)がビジネス書大賞1位に。その後、花王で商品開発に携わったサラリーマン経験を元に、仕事術をまとめた著書は30冊を超える。『[書類・手帳・ノート・ノマド]の文具術』(ダイヤモンド社)は文具本で異例のヒット。『iPadバカ』(アスコム)はiPad関連書籍で最も売れた記録を持つ。2013年よりビジネス手帳の監修も手がける。講演テーマは、時間術、仕事術、アイデア発想術からノート術、デジタルツール活用術など。企業勤務経験から企業内研修の依頼も多い。『美崎栄一郎の結果を出す人のビジネス手帳2020』(永岡書店)、『面倒くさがりやの超整理術 「先送り」しないための40のコツ』(総合法令出版)、『スピードと成果が劇的に上がる戦略 最強の優先順位』(かんき出版)、『仕事が速い人ほど無駄な時間を使わない! 超速片づけ仕事術』(かんき出版)、『快速エクセル 会社では学べない一生モノの時短術』(インプレス)、『「結果を出す人」は、エクセルをどう乗りこなしているのか?』(学研パブリッシング)、『図解ノート術 ミスがなくなり、アイデアが生まれ、目標を達成できる』(学研プラス)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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