グローバル化が進む現代において、「社員の英語力向上」は多くの企業にとって避けては通れない課題。ビジネスパーソンのあいだでの「英語ができるようになると年収が上がる」といった定説は誰もが知るところになっています。
そんななか、企業が英語研修に予算を投じる際、その投資対効果をどう判断すればいいかについて、頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
この記事では英語研修における投資対効果について、英語研修の新規導入や継続を考えている企業担当者の指針となるような考え方をご紹介します。
【この記事はこんな方におすすめ】
- 英語研修の導入を検討している企業担当者
- 英語研修を導入したものの、効果がわからず継続を悩んでいる企業担当者
- 英語研修にどれくらいの予算をかければ、投資対効果が得られるのか知りたい企業担当者
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。
- 「英語ができるようになると年収が上がる」のは本当?
- 英語研修の投資対効果の考え方1:利益視点
- 英語研修の投資対効果の考え方2:採用視点
- 英語研修の投資対効果の考え方3:社内・社外視点
- 短期的には◯◯視点を中心に
「英語ができるようになると年収が上がる」のは本当?
英語研修のリターンを明確にするために、まずは、英語力と年収にどの程度の相関があるのか見ていきましょう。
転職・求人情報サイトDaijob.comの調査によると、英語レベルによる年収差は、50代で最も顕著に表れ、なんと50代男性で1.4倍、50代女性で1.9倍にもなるそうです。国税庁の2022年の調査による平均年収と、Daijob.comが調査した英語レベルが高い人(TOEIC735点以上)の平均年収は、それぞれ以下のとおりだったのだとか。
- 50代男性……平均年収は693万円。英語レベルが高い人の平均年収は956万円
- 50代女性……平均年収は335万円。英語レベルが高い人の平均年収は638万円
(参照:PR TIMES|【AI時代の「英語力」、年収との関係をDaijob.comが独自調査】どうなる? 英語力の将来性 ~英語力の高い50代は、平均より男性1.4倍(263万円)、女性1.9倍(303万円)の年収差~)
英語力と年収の高さが相関関係にあるのは事実であり、英語学習は「最もリターンが手堅い自己投資」であるとも言えるでしょう。ビジネスパーソン個人にとって、英語力のために投資することはキャリアにおいて確実にプラスになりそうですね。
では、企業が英語研修を導入する際は、どのようにしてその投資対効果を評価すればよいのでしょうか。大きく3つの視点に分けてご紹介します。
英語研修の投資対効果の考え方1:利益視点
企業が英語研修に予算を割り当てる際、まず考慮すべきなのは「投資した社員の英語力が向上した場合、どれだけの追加収益を生み出すことができるか」という点です。
たとえば、ひとりの社員に対する英語研修への投資額が50万円だった場合、その社員が英語力向上によって、1〜2年以内に50万円以上の利益をもたらすことができるか——がひとつの判断基準になります。
業種や業界によって利益率は大きく異なるため、英語研修によってどれだけ売上を増加させる必要があるかを慎重に検討しましょう。
関連記事:法人・企業向けのおすすめ英語研修会社・失敗しない選び方などを紹介
英語研修の投資対効果の考え方2:採用視点
前述の調査から単純に考えれば、英語ができる人材を採用すると、50代男性は1.4倍、50代女性は1.9倍の費用がかかるとも言えます。
「英語が堪能で、かつ企業にフィットする人材を転職市場から採用する費用」と、「自社の既存社員に英語研修を施してスキルアップさせる費用」を慎重に比較検討しましょう。
なお、成功報酬型のエージェントを経由して人材を採用する場合、エージェントへのフィーの支払いが発生します。これも、英語力の高い人材を採用する費用として想定しておく必要があるものです。
加えて、新たに人材を採用すると、その人材に給与として支払う金額だけでなく、福利厚生やそのほかの経費もかかってきます。そうしたことも含め総合的に考慮したうえでコストを計算することが不可欠です。
英語研修の投資対効果の考え方3:社内・社外視点
英語研修を実施した社員のキャリアパスが開かれた場合、社内全体にもポジティブな影響が発生します。リスキリングを通して英語が堪能になった上司や同僚を見て、刺激を受け、学習意欲やモチベーションが高まる社員も多く生まれるでしょう。このような環境は、社員ひとりひとりの自己成長を促し、組織全体の競争力を高めることにもつながります。
加えて、英語力のある社員が増えることによって、さまざまな国籍の人材を受け入れる土壌が整うというメリットも。いわゆる「2030年問題」とも呼ばれる、今後の日本の労働人口の減少を考えるうえで、海外人材の雇用は企業にとって重要になっていくでしょう。また、グローバル市場に進出すれば国内外でのプレゼンスを高めることも可能です。
ただし、この項で説明したような効果は、明確に測ることが難しいものであり、英語研修後すぐに現れるとも限りません。そのため、企業は中長期的な視点でこの効果を見ていく必要があります。
短期的には◯◯視点を中心に
ここまで3つの視点から英語研修の投資対効果について考えてきましたが、短期的な成果を重視する場合には、「利益視点」と「採用視点」で研修の導入計画を立てることをおすすめします。
研修にかかる費用、研修を受ける社員の人数、必要とされる英語スキルのレベルなど、具体的な要素を明確にしてから、利益視点と採用視点で最終的な予算を決めていくといいでしょう。このプロセスを通じて、予算の調整や研修を受ける社員数の見直しが必要になるかもしれません。あるいは、すでに英語を話せる人材を市場から採用するほうが、コストパフォーマンスが高いと判明する可能性もあります。
英語研修導入や検討にあたってのステップについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
***
今回は、企業や企業の研修担当者の視点から、「英語研修の投資対効果」について整理しました。英語研修を導入することで最大のリターンが得られるよう、ぜひ参考にしてくださいね。