「いいアイデアが思い浮かばない……」
「ミスが減らずに困っている……」
「もっと効率よく仕事を進めるにはどうすればいいのだろう……」
こんな悩みや疑問を持っているビジネスパーソンも少なくないはず。もしかしたら「ノート術」でうまく改善できるかもしれませんよ。
本サイトではこれまで、さまざまなノート習慣をご紹介してきましたが……あなたに合ったものを見つけるために、まずはこちらのチャートをやってみてください。
たどり着いた先が、いまのあなたの仕事を助けてくれるノート術です! それぞれ詳しく見ていきましょう。
【1】“放射状” 方眼ノート
「アイデア創出を求められる職種に就いていて」「ノートの美しさにもこだわりたい」という方には、放射状にアイデアを書き広げていくノート術をおすすめします。
ノートでおなじみの会社「コクヨ」の社員は、方眼ノートをアイデア考案のために活用しているとのこと。ノートの真ん中にメインテーマを置き、連想したアイデアを放射状に広げて書き込んでいくそうです。マインドマップにも似ていますね。詳しい手順は以下のとおりです。
- 方眼ノートに大きな円を描く
- 円の中心にメインテーマを書く
- 円の内側周辺にサブテーマをいくつか書く
- サブテーマから放射状に枝をつくり、連想したアイデアを書き込む
コクヨ社員によれば、横向きにして方眼ノートを使うと、何かを考えるときに思考を広げやすいのだそう。また、方眼ノートの特筆すべき点として、自由自在にアイデアを書き散らしていってもノートが整いやすいということが挙げられます。方眼のマス目があるので、たとえば図やグラフを手書きで入れたい場合でもいびつにはならず、紙面が乱雑になることはありません。
そして、ノートをきれいに使うことは心身のバランスにもいいとされています。自律神経に詳しい、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によると、「手で書くという行為には気持ちを落ち着かせる効果がある」とのこと。アイデアが浮かびやすく、心身も整う――一石二鳥のノート術ですね!
もっと詳しく知る→アイデア出しに「方眼ノート」がかなり向いてる理由。コツは “放射状” と “3分割”!
【2】三角メモ
「アイデア創出を求められる職種に就いていて」「ノートの美しさはそれほど気にしない」という方には、三角メモがおすすめです。
これの発案者は、「伊右衛門」や「ザ・プレミアム・モルツ」などのCMを手がけたこともある、コピーライターの小西利行氏。「ファミリー向けのカフェ」や「女性ウケのいい文房具」など、テーマやターゲットが決まっている場面で特に活用しやすいそうです。具体的なやり方は次のとおり。
- ふたつの三角形を、頂点を重ね合わせて向かい合わせに描く
- 左の三角形に、テーマに関する情報をできるだけたくさん書く
- 右の三角形に、テーマとは無関係に、ターゲットが好きそうなことをできるだけたくさん書く。
- 左右の三角形のキーワードを自由に組み合わせる。
何よりもゲーム感覚で楽しく取り組むことができ、次々とアイデアが湧いてくるのがこの手法のメリット。そしてもちろん、テーマに関するアイデアとターゲットに関するアイデアを自由に組み合わせることにより、頭の中では想像もできなかったユニークな発想が浮かびやすいというのも特徴のひとつです。
小西氏はインタビューの中で、「頭の中でもやもやしている“滞り”を1回書き起こしてみると、情報が整理されて、解消するためのアイデアが生まれてくる」と述べています。アイデアに悩んだら書き起こすのはもちろんのこと、三角メモという工夫を加えて、さらにおもしろい発想をつくりあげてみてください。
もっと詳しく知る→ゲーム感覚で楽しめる「三角メモ」が秀逸。アイデアが次々に湧いてくる!
【3】「ヒヤリ・ハット」ノート
「正確さが重視される職種に就いていて」「スピードよりも質を重視したい」と考えている方におすすめなのが「ヒヤリ・ハット」ノートです。
ヒヤリ・ハットとは文字通り、思わず「ヒヤリ」としたり「ハッ」とさせられたりしたような、重大な失敗に直結する一歩手前で起きた事象のこと。「確認したら請求金額に大幅な入力ミスがあった」「破棄しようとした書類の中に重要なファイルが混じっていた」などですね。
致命的な失敗につながるヒヤリ・ハットを未然に防ぐのに、この「ヒヤリ・ハット」ノートは大きな助力となります。ミスの事例を思いつく限り書き出して「見える化」することで、大きな失敗につながりかねない行動に気づけるため、具体的な改善策を考案しやすいというメリットがあります。以前の記事では、エクセルで一覧化する方法を紹介しました。
ここで大事なのは、記録するだけで終わらせないこと。「1. 内容を整理」「2. そのうえで改善のための具体策を考える」「3. 実行に移す」というステップを踏むことで、安全な状態を確保できます。
株式会社ヴィタミンM・代表取締役の鈴木真理子氏は、「ミスをしない人には共通して “記録” する習慣がある」と述べています。ミスをそのままやり過ごすのではなく、記録して具体的な改善策をとっていくことが、仕事の質を落とさないことにつながるのですね。
もっと詳しく知る→ミスが激減する「ヒヤリ・ハット」ノートが超おすすめ。ミスしない人は必ず “記録” をつけている。
【4】24マス方眼ノート
「正確さが重視される職種に就いていて」「なおかつスピードも上げていきたい」という方には、24マス方眼ノートをおすすめします。
これは、やることを方眼ノートで管理するという手法。戦略コンサルタントの高橋政史氏は「ToDoボックス」と呼んでおり、通常のToDoリストよりも具体的に書くことができると述べています。やり方は以下の通りです。
- 方眼ノートの罫線を利用して四角く区切り、24個のボックスをつくる
- 各ボックスの中にやる作業を書いていく
なぜ24個のボックスなのか。それは、1個のボックスを20分と換算しているから。1日8時間勤務とすれば合計24マス。24個すべてのタスクを終わらせることがすなわち、時間内に作業を終わらせる目安となります。時間に対する意識がかなり強くなりそうですね!
なお、各タスクを完了させるたびに、そのマス目を大きなバッテンで消していくのも重要。ストラックアウトのようにマス目に×印をつけていくことで、作業を完了させることをゲーム感覚で楽しめ、達成感も得られるのだそうです。そうすれば仕事の能率も上がっていきそうですね。
もっと詳しく知る→StudyHacker|脳活性化の効果も! やること管理に「方眼ノート」が超絶おすすめなワケ。
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書いて見える状態にすることで、頭の中では気づかなかった発見を得ることも多いでしょう。それが仕事の問題解決にもつながります。ぜひ、紹介したノート術を参考に実践してみてください!
(参考)
StudyHacker|アイデア出しに「方眼ノート」がかなり向いてる理由。コツは “放射状” と “3分割”!
東洋経済オンライン|コクヨ社員に聞く!方眼ノートの最強活用法
@DIME|手帳やノートが乱雑な人は自律神経が乱れ気味?
StudyHacker|ゲーム感覚で楽しめる「三角メモ」が秀逸。アイデアが次々に湧いてくる!
かんき出版|著者インタビュー 「すごいメモ。」著者 小西利行先生に聞きました!
StudyHacker|ミスが激減する「ヒヤリ・ハット」ノートが超おすすめ。ミスしない人は必ず “記録” をつけている。
SMBCコンサルティング|仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術
StudyHacker|脳活性化の効果も! やること管理に「方眼ノート」が超絶おすすめなワケ。
@DIME|なぜ、外資系コンサルタントはPCでなく方眼ノートで仕事をするのか?
【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。