週に1回の講義と、「いつでも質問できる教室」の提供で、知識0の状態からわずか6ヶ月でプロのプログラマーを生み出すと話題のプログラミングのスクールが話題になっています。
渋谷で運営されるそのスクールの名前は「Webスク」。ベンチャー企業である株式会社インフラトップが2016年3月にスタートした「短期集中型」の新しいタイプのプログラミングスクールです。
今回は、そんなWebスクで半年間を過ごし、「Web」という言葉が何を指すのかさえ知らなかったし、PCも持っていなかったという状態から、現在はweb制作会社のデザイナー/コーダーとして勤務するまでになったという松崎佑紀さんと、実際にトレーニングを担当した鈴木実香トレーナーにお話をうかがいました。
——本日はよろしくお願いします。まったくのゼロからいまやエンジニア。すばらしい実績ですね。
松崎さん:いえいえ。みなさんのおかげです。ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
鈴木トレーナー:よろしくお願いします。
「面接すら受けられなかった」ところからのスタート
——さっそくですが、まずは松崎さんがプログラミングを学び始める前のことをお聞きできますか?
松崎さん:地元の農業高校を卒業して、そのまま沖縄でマリンガイドの仕事をしていました。小さい頃から海が好きで。でも、自分が海で過ごして楽しいと思うことと、お客様をご案内することは当然違っていて……だんだん楽しめなくなってしまったんです。それで、1年でその仕事は辞めて、その後1年間は沖縄でコールセンターなどのアルバイトをしながら週末は海で遊ぶような生活をしていたんです。
鈴木トレーナー:楽しそうですね(笑)
松崎さん:はい、すごく楽しかったんですが(笑)、それから地元に帰って就職をしようとしても面接すら受けられなかったんです。なにしろ高卒で、1年だけ働いて、その後1年はぶらぶらしていたようなものですから……。 そんな時、東京に出ていた友人が帰省するタイミングで食事をすることになって、はじめてWebスクのことを知ったんです。友人が受講して、プログラミングを身につけたと聞きました。
——将来への不安からプログラミングを学ぼうと思われたんですか?
松崎さん:そうですね。でもその時は「プログラミング」っていうものが何だかわかっていなくて。エクセルなんかを身につけるのかと思ってたんです……。なんだか恥ずかしくなってきました(笑)
——ではほんとうにもう、ゼロからのスタートなんですね。
松崎さん:そうですねPCを買うところから。
プログラミングは魔法みたいだった。
——そこまで何もしらない状態だと、教える側も大変だったのでは? 鈴木トレーナー:でも、そういう方は少なくないんです。そういう方のために「初級者コース」というものを用意していて、そこでは本格的にプログラミングを学び始める前に、「マークアップ言語」と呼ばれるものから取り組むんです。htmlとかCSSとか、Webサイトを表示させるためのものですね。こういった言語は、習得が簡単なわりに見た目の変化が大きくて初学者にはとても取り組みやすいんです。
厳密にいうと「プログラム」ではないのですが、あえてカリキュラムに組み込むことでハードルはぐっと下がります。
やりたいことが比較的すぐに表現できて、しかも視覚的にそれがわかりやすいのでモチベーションも保ちやすいんですよ。 「color : red;」と書くと文字の色が赤くなるんです。「font-size : 20px」と書くと文字が20ピクセルになったり。
——そうなんですね。松崎さんは実際にやってみてどうでしたか。
松崎さん:文字を打つとほんとにパッと変わるんですよ! 魔法みたいに。あの時のことはよく覚えています。なんだか感動してしまって。
鈴木トレーナー:そこからとても熱心に学ばれていましたね。たくさん質問していただいて。
——わからないところを質問していくのですね。
鈴木トレーナー:そうですね。Webスクでは質問への「答え方」にとてもこだわりをもっているんです。
——というと?
鈴木トレーナー:質問されたことにすぐはお答えせずに、まずはヒントとなるようなことをお渡しするだけにしているんです。トレーナーは受講生の方が取り組んでいる課題の大きさ、難易度を判断しながら、低いハードルであればちょっとしたきっかけとなることだけをお渡しします。大きな問題であれば、いくつかの選択肢をお渡しして、それをヒントに考えていただくんです。
実は、これはプロのエンジニアにとってとても大切な能力です。いろいろと調べたりしながら、ロジカルに考えを進めていき、どのように課題を解決していくのかという、実行力・突破力を鍛えたいんです。
それをさらに発展させて、「発展ゼミ」というものを立ち上げました。ここでは、受講生のみなさんがそれぞれ取り組む中で出てきた課題や疑問を、受講生グループで持ち寄って、受講生のみなさんのディスカッションで解決していくグループワークのようなものです。ある課題を解決するのに、どういう風に考えていけば良いのかそのプロセスを共有していくことで学びが加速していくんですよ。
——いま教育で話題のアクティブラーニングのようなものですね。たしかに効果があがりそうです。
松崎さん:わたしあの発展ゼミがだいすきでした。いつもとても楽しめたし、学びも多かったと思います。
プロのデザイナーが知っておくべき「色彩学」という知識
——htmlなどの学習を経て、10週目以降はデザイナーコースに進まれたとお聞きしています。 鈴木トレーナー:そうですね。10週目からは「デザイナーコース」と「プログラマーコース」に分かれるのですが、松崎さんはデザイナーコースを選択されました。
そこでは、色彩学の他、大流行のブログシステムであるwordpressのカスタマイズ、画像処理のためのアプリケーションであるPhotoshopの扱い方などを学んでいただきました。
——色彩学とはどんなものでしょう。
鈴木トレーナー:ごく簡単に言うと、「だれからみてもきれい」というデザインを作るための学問です。デザインはセンスがないとだめだと思われている方も多いのですがそれは違います。プロのデザイナーはセンスで仕事をするものではなく、きちんとした理論に基づく「ロジック」でデザインすべきなんです。そうでないと、品質が安定しません。
松崎さん:このころから、いよいよ自分で作れる! といつもわくわくしていました。
鈴木トレーナー:10週目から20週目まではデザイナーコースで基礎を身につけ、最後の3週くらいで卒業制作的にWebサイトを作成いただきました。
松崎さん:オリンピックの応援ページというテーマでWebサイトを作りました。今思えば直したいところだらけですが、私にとっては大切な達成でした。
——ご卒業されて、いまのお仕事、Web制作会社でのデザイナーやコーダーのお仕事を始められて何か変化はありましたか?
松崎さん:もちろん大きく変わりました。Webスクのイベントをきっかけに、3ヶ月目くらいから今の会社にインターンとして行かせていただいて、写真の加工などのお手伝いをしながら、基礎的な知識も吸収させていただいていたんです。わたしは、その頃から今の会社のつくるデザインがとても好きで。今それに関われることはとても幸せなことです。
それに「手に職をつける」ことはとても大きいものでした。いつか好きな沖縄に戻って、リモートでお仕事ができればと思っています。今の会社の先輩にもリモートで働かれている方はたくさんいらっしゃっいます。わたしも、しっかりと技術を身につけて場所にとらわれずお仕事ができればと思っています。
成果物が目に見えて、たくさんの人にそれを見てもらえる。はじめに「魔法みたい」と感動したスキルをわたしは少しだけ、手に入れることができました。誰かのためになれればと思っています。
*** インタビューを受けてくれた松崎さんはとてもうれしそうで、こちらまで幸せな気持ちになりました。 「松崎さんのうれしそうな様子を見ていると、この仕事ができてよかったと思う」という鈴木トレーナーの言葉もとても印象的でした。
松崎さんは、はじめは何もわからないままスタート。それでもたった6ヶ月で、こんなにも楽しそうにデザイナー/コーダーとして仕事ができるまでになりました。 沖縄での生活と比較すると労働時間は大幅に少なくなり、年収も50万円以上アップ。仕事を楽しみ、学習しながらスキルアップし続ける時間もできたそうです。
いま、プログラミングやデザインの技術は切実に求められています。Webスクの取り組みには大きな可能性を感じます。
webスクでは無料カウンセリングを実施しています。新たなスキルを身につけたい方、何か作ってみたいという方は一度相談してみてはいかがでしょうか。