週1回たった15分の「振り返り⇒軌道修正」が、仕事の質を上げてくれる納得の理由。

毎日多忙な私が「週1軌道修正」を取り入れてみた01

「毎日忙しく作業しているのに、仕事がいつまでも終わらない……」
「頑張っているのに、目標までの道のりが遠い気がする……」

こんな悩みがある人には、振り返りの時間を設けることをおすすめします。振り返りをしないと、長期的に見て仕事の効率が落ちたり成果が出なくなったりする可能性があるからです。

なかには、「忙しすぎて、振り返るための時間なんてとれない!」という人もいるかもしれません。でも大丈夫。「週にたった一度だけの振り返り」でも、効果はあるそうですよ。そのやり方を、実践報告も交えてご紹介します。

振り返りをしないとなぜ困る?

忙しいときほど、振り返りを怠りがち。ですが、振り返りをしないと、以下のような問題が起きてしまうかもしれません。

1. 成果を安定して出せない

ひとつめの問題は、成果を安定的に出せないということ。

メンタルコーチの大平信孝氏は、「うまくいかなかったこと」を振り返らないと、軌道修正ができず、同じ失敗を何度も繰り返すことになると指摘します。また、「うまくいったこと」を振り返らなければ、その場で喜ぶだけになりがち。成功した理由も、どうすればまた成功できるのかもわからないままになってしまうというのです。

その反対に、振り返りをすることのメリットを、大平氏は「『やりっぱなし』で終わるのを防ぎ、経験をリソース化できる」と表現します。

修正すべき点は修正し、よかった点は継続することで、自分のなかに「こうすればうまくいく」という知見を蓄積できるという意味でしょう。その結果、安定した成果を出せるようになるのです。

2. 仕事が終わらない

ふたつめの問題は、仕事の予定が狂いやすく、長時間労働に悩まされるということ。

時間管理コンサルタントの石川和男氏は、自身の実体験から、振り返りの重要性を強調します。その実体験とは、次のようなものだったそうです。

――朝に仕事の予定を立てても、予定通りに進められない。部下からの急な相談や上司との急な打ち合わせに対応するうち、予定が崩れていく。「なぜ予定通りにならないのか」について振り返らずにいたため、状況を改善できず、残業が増えていった――

そこで石川氏は、「予定よりも長引いた仕事はないか」「会議にどれぐらい時間を使ったか」などを、1日の終わりに振り返るように。すると、朝に立てた予定とのズレを検証する習慣がつき、次に立てる予定の精度が高まったとのこと。

たとえば、「この仕事は長引きがちだから、○○というプロセスを早めに行なおう」といった改善が可能になったということでしょう。

「忙しくて振り返りなんてできない」という人にこそ、振り返りが必要なのかもしれませんね。

毎日多忙な私が「週1軌道修正」を取り入れてみた02

振り返りは「週1回」でもいい!

では、振り返りの頻度やタイミングなどはどのようにすればよいのでしょうか? 前出の大平氏がすすめる、仕事の成果アップ・効率アップにつながる振り返りのポイントを3つご紹介します。

1.「週1回」振り返る

大平氏は、振り返りの頻度として「週1回」をすすめています。理由は、実行のしやすさ。忙しい人だと、1日1回振り返るほどの余裕はないものですし、かといって月1回だと、期間が長すぎて振り返るべき内容を忘れてしまう可能性も。

その点週1回なら、忙しくても時間を確保しやすいのでちょうどよいというわけです。たしかに、ゆとりのある週末を使えば、忙しい人でも時間をとりやすいですよね。

また、1週間単位であれば、軌道修正もしやすいそう。大平氏は次のように述べています。

うまくいってもいかなくても、週ごとに振り返りをして目標を立てることで、軌道修正がしやすいです。実際に1週間単位で行動してみると、納得感やインスピレーション、成果を得られることもあるでしょう。

逆に、違和感を覚えたり、うまくいかないこともあるでしょう。さらに、相手からのリアクションやフィードバック、アドバイスなどから、様々な情報を得ることもできます。そこから軌道修正していけばいいのです。

(引用元:THE21オンライン|「反省」は必要ない!? 週1回「よかったこと」を振り返ると人生が変わる

週1回だと、「振り返り」と「実践」のサイクルが回しやすいのですね。

2.「よかったこと」から振り返る

振り返りでありがちなのが、ネガティブなことばかり思い浮かぶケース。これでは落ち込んで自信を失ってしまう、と大平氏。的確な軌道修正ができなくなってしまいます。

そこでポイントとなるのが、よかったことから振り返ること。小さなことでもいいそうです。「ミスなく会議資料をつくれた」「いつもより30分早起きできた」といったイメージでしょうか。

そうしてポジティブなことを考えたあとなら、ネガティブなことに対しても必要以上に落ち込むことなく、冷静に向き合えるそうですよ。

3.「翌週の仮行動」を決める

大平氏は、振り返りのあと、次の週にどう動くかを仮で決めることを推奨しています。この作業を大平氏は「仮決め仮行動」と呼びます。

ポイントは、「やるべきことを、仮でいいのでとにかく決め、行動する」こと。しっかり準備してからやろうと考えるうちに時間がたってしまうことを防ぐためです。

たとえば「来週は新しい企画を考えよう」と決めたのなら、スケジュールを調整してまとまった時間を確保して……ではなく、通勤中にでもメモ帳を開き企画案を書き始めればいいのかもしません。たとえ思うように企画を考えられなくても、振り返りで軌道修正をすればよいのです。

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「週1回の振り返り」で軌道修正してみた

筆者も、振り返りの大切さをわかっていながら、仕事に追われていると振り返りをおろそかにしがち。その結果、成果がまちまちになったり、ダラダラと取り組んでしまったりしたこともあります。

そこで、大平氏が提案する「週1回5分でできるウィークリーノート」で、日曜日の夜に振り返りを実践してみました。以下、大平氏が以前STUDY HACKERのインタビューで語ってくれた内容をもとに、手順をご紹介していきます。

まずは、ノートの1ページに十字の線を引いて4分割します。各マスの名前はこちら。

  1. 左上「現状1」
  2. 右上「仮決め」
  3. 左下「現状2」
  4. 右下「仮行動」

この番号順に振り返っていきます。

  1. 「現状1」にポジティブな内容を書く
    「現状1」のマスには、その週のよかったことや嬉しかったこと、感謝したいことなど、ポジティブな内容を3つ書きます。

  2. 「仮決め」に1週間後に達成できていたいことを書く
    「仮決め」のマスへ、1週間後に “こうなったらいいな” という内容を書きます。大平氏によれば、「達成感を味わいたい」という思いが生まれ、能動的に取り組めるようになるとのこと。仕事に関することはもちろん、プライベートな内容でも大丈夫です。

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    (4分割したノートの上半分:現状1・仮決め)
  3. 「現状2」にネガティブな内容を書く
    「現状2」のマスには、課題や悩み、不安なことを書き出します。

  4. 「仮行動」に1週間で行なう具体的な行動を書く
    「仮行動」のマスで、次の1週間で起こすアクションを決めます。数が多すぎると1週間では消化しきれないので、次の3つに絞ります。ここで考えたアクションは、翌週の行動の軸になるそうです。
    • 「現状1」で挙げたよかったことを、よりよくするための行動案
    • 「仮決め」したことを実現するためのアクション
    • 「現状2」のなかでも、特に解決したいと感じる課題への対処法

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    (4分割したノートの下半分:現状2・仮行動)

そうして、2週間続けたウィークリーノートがこちら。

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たった週1回振り返るだけで、仕事の効率が上がった!

今回の実践で感じたことや提案したいことを、以下にまとめます。

経験をリソース化でき、ミスを減らせた!

振り返りを2週間実践してみたところ、仕事のミスを着実に減らすことができました

たとえば、仕事で取材を行なう場面。これまでは、カメラの扱いに慣れず、納得のいく映像が撮れないことがよくありました。

そこで振り返りの際に「高さを変えて撮ると、バリエーションが増えるな」「もっと、明るさを上げてみよう」と経験をリソース化したうえで、実践に移すことに。すると、納得のいく映像をすぐに撮れるようになったのです。

自分のリズムに気づいて、効率化できた!

また、軌道修正を行なったことで、仕事を効率的にも進められるように

筆者は在宅ワークが中心なこともあり、仕事についダラダラと取り組んでしまうことがありました。夕方に「全然終わらない……」と焦ったり、急な執筆依頼が入って夜遅くまで作業をしたりすることも。

そんななかで振り返りを続けていると、「午前中にゆっくりしがちだ」と、自分の行動に対する気づきが得られたのです。そこで「午前中は、とにかく手を動かして執筆することを意識しよう」と軌道修正した結果、仕事をスムーズに進められました。

たった「週1回」だから、継続しやすい!

実践の際、筆者はポジティブな内容を振り返るのが意外と難しく、仮行動を決めるまでに時間がかかりました。ただし、それでもかかったのは15分ほど。

週1回の頻度なら、失敗の原因や成功の要因も無理なく振り返りやすいと感じました。だからこそ、的確な軌道修正を続けられて、効果を実感できたと感じています。

***
仕事が忙しくても、たった週1回なら振り返りの時間をとれるはず。軌道修正を繰り返しながら、成果を効率よく上げられるビジネスパーソンを目指しましょう。

(参考)
幻冬舎ゴールドオンライン|目標の振り返り法は?できる人とできない人で生まれる成長格差
リクナビNEXTジャーナル|残業しないチームは「振り返り」を決して疎かにしない
THE21オンライン|「反省」は必要ない!? 週1回「よかったこと」を振り返ると人生が変わる
STUDY HACKER|デキる人の条件は「自分で決めて、動く」こと。行動量が爆上がりする「仮決め仮行動」メソッド
STUDY HACKER|不安でも動けるようになる「週1回5分」の超簡単ノート術。行動を3つ決めるだけでいい

【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。

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