不安でも動けるようになる「週1回5分」の超簡単ノート術。行動を3つ決めるだけでいい

大平信孝さん「週1回5分でできるウィークリーノート」01

不安に対処するために行動量を増やす。あるいは、軌道修正しながら成果を挙げ、高い評価を得る。そのための「仮決め仮行動」と軌道修正という独自のメソッドを提唱するのは、「目標実現のスペシャリスト」であるメンタルコーチの大平信孝(おおひら・のぶたか)さんです。今回は、「仮決め仮行動」と軌道修正を実践しやすくなる方法を教えてもらいます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/玉井美世子

あえてネガティブなことを一度脇に置いて1週間を振り返る

私が提唱している「仮決め仮行動」というメソッドは、数多くのメリットを生みます。たとえば、行動量を増やして不安を解消できる、主体的に自分で決める姿勢を身につけられる、うまくセルフマネジメントできるようになる、などです(『デキる人の条件は「自分で決めて、動く」こと。行動量が爆上がりする「仮決め仮行動」メソッド』参照)。なかでも、コロナ禍ということもあって強い不安を感じている人が多いと推測できるいま、不安を解消することにはとても大きな意味があります。

でも、その「仮決め仮行動」も実践しなければ意味がありません。そこでおすすめしたいのが、「仮決め仮行動」と軌道修正を習慣化するための週1回5分でできるウィークリーノートです。最初は15分ほどかかるかもしれませんが、慣れてくれば5分もあればできるようになります。ノートを書くのは日曜日の夜や月曜日の朝など、曜日と時間を決めておくのがいいでしょう。そうすることで、習慣として定着しやすくなるからです。

大平信孝さん「週1回5分でできるウィークリーノート」02

【ステップ1】1週間のポジティブなことを振り返る

このメソッドでは、ノートを4分割して使います。ステップ1は1週間の振り返り。しかも、「よかったこと、うれしかったこと、感謝したいこと」といったポジティブなことだけを振り返ります。「正気に戻る」ことがその狙いです。

不安に飲み込まれていると、ついネガティブなことばかりに目が向いてしまうものです。そうしてますます不安になってしまうのが人間という生き物。不安を感じすぎている人は、ある意味で正気を失っていると言えるでしょう。そこで、ネガティブなことは一度脇に置いて、まずは意図してポジティブなことだけに目を向けるのです。そうして正気に戻ることができれば、不安にもうまく対処できるようになります。

大平信孝さん「週1回5分でできるウィークリーノート」03

ポジティブなことに目を向けたうえで、ネガティブなことと向き合う

【ステップ2】1週間後までにやりたいことを書き出す

続いてのステップ2では、1週間後までに「こうなったらいいな」ということを書き出します。私は「勝手にマイベスト3」と呼んでいますが、「締め切りより早くいい企画書が書ける!」「重要なオンライン商談で手応えを感じられる!」「家族と外食を楽しめる!」など、1週間後までの未来に本当にやりたいこと・成し遂げたいことを3つほど書き出すのです。

なぜこうするかというと、不安心理というものは、「この先、どうなるんだろうか……」というふうに未来に対して働きやすいからです。不安には、未来に対して希望をもてるポジティブな思いで対抗するのが有効です。かといって、数年後のことはなかなかイメージしづらい。でも、1週間後までだったら、やるべきことややりたいこともはっきりとイメージできるはずです。

しかも、書き出すことでその実現性も高まります。「これができたらいいな」「気持ちいいだろうな」「嬉しいだろうな」という思いをもって書くために、「その感情や達成感を味わいたい!」という思いが生まれ、たとえ面倒な仕事に関することであっても「やらなければいけない……」ではなく「やりたい!」という気持ちで臨むことができるからです。

【ステップ3】現時点での悩みや課題・不安を書き出す

ステップ1が過去、ステップ2が未来のことなら、ステップ3は現在のことです。ここでは現時点での悩みや課題・不安を書き出します。日常のすべてがポジティブなことばかりという人はいません。ステップ1で一度脇に置いたネガティブなことに、このタイミングで向き合うわけです。

というのも、ステップ2まででよかったことの振り返りを行ない、未来に対してよい構想をもてていれば、不安になりすぎて身動きできなくなるということもなくネガティブな現実にもきちんと向き合えるからです。「これがいまの課題なんだな」「こういうことに不安を感じているんだな」と冷静に自分自身を見つめることができるのです。

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1週間の行動の軸となる3つのアクションを決める

【ステップ4】1週間でやるべき具体的な「仮行動」を決める

最後のステップ4では、ステップ3までに書き出したことについての具体的なアクションを書き出します。ステップ1なら先週のよかったことをさらによくするようなアクション、ステップ2なら「勝手にマイベスト3」を実現するためのアクション、ステップ3なら悩みや課題・不安を解決するためのアクションを書くわけです。

ただ、数が多すぎると実現性は下がりますし、「これをやらなければならない」とプレッシャーを感じることにもなりかねません。ですから、ステップ1、2、3からそれぞれひとつずつアクションを書き出すことをおすすめします。ステップ3なら、いちばん解決したい、あるいは解決しやすそうな不安に対処するためのアクションを書くという具合です。

そうして書き出した3つのアクションは、1週間の行動の軸になってくれます。多忙なビジネスパーソンなら、数多くのタスクに忙殺されそうになっている人もいるでしょう。混乱してますます不安になってしまうこともあるかもしれません。

でも、ステップ4でやるべき行動の軸が決まっていれば、「そうだ、今週はとにかくこの3つをきちんとやっておこう!」と冷静さを取り戻すことができます。地に足がついた精神状態であれば、そのほかのタスクに対しても不安を抱えながらがむしゃらに臨むより、よほどうまくスピーディーに対処できると思います。

大平信孝さん「週1回5分でできるウィークリーノート」05

【大平信孝さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「10秒アクション」が先延ばし癖解消に効く脳科学的根拠。脳をだませば “行動できる人” になれる!
「やる気が出ない」は1枚の紙で解消可能。“9つの過去” を書き出すだけで行動力がみなぎるワケ。
悩みが少ない人に共通する「鈍感力」。イヤなことを “さらっと受け流す” には大事なコツがある。
習慣化はまず「10秒でできること」から始めなさい。
習慣化がどんどん加速する! 「習慣化シート」と「三日坊主シート」のすさまじい効果
悪習慣をやめたい人が「やめよう」と念じる代わりにすべきたった1つのこと
最も成長できるのは適度に○○を感じるとき。学びを得やすい「ラーニングゾーン」への入り方
デキる人の条件は「自分で決めて、動く」こと。行動量が爆上がりする「仮決め仮行動」メソッド

【プロフィール】
大平信孝(おおひら・のぶたか)
1975年生まれ、長野県出身。株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。第一線で活躍するリーダーのためのメンタルコーチ。中央大学卒業。会社員時代、自身がキャリア構築や部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。これまで1万人以上のリーダーの人材育成・セルフマネジメント・キャリア構築に関する悩みを解決してきた他、アスリート、トップモデル、ベストセラー作家、経営者など各界で活躍する人々の目標実現・行動革新サポートを実施。その功績により、メディアからの注目度も上昇中。メルマガを毎日執筆し、オンラインサロン「行動イノベーションLabo」も運営する。『「続けられる人」だけが人生を変えられる ダメな自分がなりたい自分になる“1分ノート”』(青春出版社)、『今すぐ変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『「続けられない自分」を変える本』(フォレスト出版)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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