「勉強の必要性は重々わかっているのに続かない……」
「勉強しているのに結果が出ない……」
こんなふうに、勉強にまつわる何かしらの悩みを抱えている人は少なくないはず。そんなときは、日本の最高学府と言われる東京大学の学生や出身者たちの方法が参考になるかもしれません。ぜひあなたの勉強に取り入れてみてください。
【1】本を持ち歩いて「数分あったら本を開く」
勉強でまず大事なのは毎日継続すること。勉強の成果は一朝一夕では現れないからです。あなたがもし勉強を習慣にできていないのでしたら、手軽な「スキマ時間読書」から始めてみませんか。仕事に役立つ本を読んだり、参考書にざっと目を通したりするのも、立派な勉強ですよ。
東京大学法学部を首席で卒業し、現在は信州大学特任准教授を務める山口真由氏は、数分あれば欠かさず本を読むのだそう。常に本を持ち歩き、誰かが約束に遅れたら本を読み、ランチの行列を待っている最中も本を読み、友人がトイレに立ったときにも本を読むとのこと。山口氏は「4分待ち時間があれば、どんな場所でもためらいなく本を開く」と述べています。彼女がここまでするのは、スキマ時間を積み重ねると膨大な時間になることを知っているから。
電車やバスを待っている時間、レストランで食事が運ばれてくるまでの時間、寝る前のちょっとした時間など、1日のなかに「スキマ時間」は数多く存在します。そんなとき私たちはついスマートフォンに手を伸ばしたくなりますが……その衝動を抑えて、ぜひ本を手に取るようにしてみてください。意識して繰り返していけば、やがて習慣となるに違いありません。
【2】計画は「簡単すぎるぐらい」で設定する
意気軒昂と「勉強しよう!」と思い立つと、私たちは往々にしてハードルの高い学習計画を立ててしまいがち。「自分だったらこれぐらいこなせるだろう」ときついノルマを設け、結局達成できずに挫折してしまう……よくあるパターンですよね。
主婦から東大大学院に合格という異色の経歴をもつただっち氏は、簡単すぎるぐらいのノルマから始めていくべきと述べています。計画を達成できないと、脳が “ネガティブのスパイラル” に陥ってしまうからです。
ただっち氏いわく、「勉強が予定通り進まなかった」「計画と大幅にずれてしまっている」といったネガティブな感情が発生すると、感情をつかさどる偏桃体が過活動の状態になるとのこと。すると、それを抑制するために、今度は理性をつかさどる前頭葉が活発化。この前頭葉の活動には多くのエネルギーが使われるため、脳がどっと疲れてしまうそうです。これでは勉強どころではありませんよね。
変な自己否定に陥らないためにも、まずは「確実に達成できる計画」を立てて「確実に達成していく」ことを繰り返していきましょう。最初のうちは「1日10単語だけ覚える」「1日3問だけ解く」といった程度でかまいません。慣れてきたら、徐々にノルマをきつくしていけばいいのですから。
【3】いきなり過去問に挑戦する
あなたがもし資格試験の勉強をしたいのならば、最初に過去問に取り組むことをおすすめします。
勉強法に関する著書を多数もつ現役東大生の西岡壱誠氏いわく、東大に合格する学生の多くは「過去問」をかなり早い段階から見ているとのこと。たとえば、多数の東大合格者を輩出する名門進学校や塾では、高校1年生の時点で東大の問題を解かせているそうです。とりあえず過去問に触れてみることで「今後どんな問題を解けるようになる必要があるのか」を認識できる――そこに重要な意義があります。
東大大学院卒で資格コンサルタントの鈴木秀明氏も、過去問の重要性に言及しているひとり。鈴木氏は、過去問から試験の出題傾向をつかみ、やるべきことを戦略的に絞ったピンポイントな勉強をすることが、最も効率のよいやり方だと述べています。
たとえば、まったく手が出ない問題があったら、そこは今後重点的に勉強しなければいけない範囲かもしれません。また、過去問で何度も出題されている範囲があったら、そこが出るかもしれないとヤマを張ることも可能です。あるいは、試験の回答方式を把握することで「とりあえず単語の暗記さえできていればいいのか」「文章で説明できるぐらいまで深く理解しておくべきなのか」といった判断もできるでしょう。
早いうちに過去問を解いておくことで、勉強の方向性や指針がおのずと決まってきます。何も知らずにがむしゃらに勉強するよりもよほど効率がよさそうですね。
【4】勉強内容を「アウトプット」する習慣をつくる
勉強したことを記憶として定着させたいのならば、「本を読む」「参考書を読む」といったインプットだけでなく「アウトプット」も習慣にするべきです。前出の西岡氏いわく、コロンビア大学の研究により、最も学習効果が高まるインプットとアウトプットの比が「3:7」であることがわかっているのだそう。「読んで終わり」という状態では、十分な学習はできていないのです。
西岡氏がすすめるのは「要約」。要約するためには、まず全容を把握しないといけません。そして最も重要なポイントを見つけ、それを軸に枝葉末節を削りながら再言語化していく必要があります。つまり、自分が内容を深く理解できていないかぎり、上手な要約はできないということ。西岡氏は、物事の理解度を一番きちんと測れる問いは「その物事に対する要約ができるかどうか」だと述べています。
要約に気軽に取り組みたいのならば、SNSを使うのがよいでしょう。たとえばTwitterであれば140文字という字数制限があるため、その日勉強した内容について発信したいと思ったら、それがそのまま立派な要約作業になります。また、勉強内容を身近な人に伝えてみるのも手。もし思うようにまとめられなかったら、理解度がまだ十分でない証拠です。こういったアウトプットを習慣にし、学習効果をもっと高めていきましょう。
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参考になりそうな方法はありましたか。ぜひ今日から取り入れてみてください。
(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)
(参考)
STUDY HACKER|東大首席・山口真由さんが「4分」あればどこでも本を読む深い理由。
プレジデント・オンライン|たった3カ月で東大院に合格した主婦の「勉強の4つのコツ」
東洋経済オンライン|「勉強めんどくさい」でも東大合格する人の思考
STUDY HACKER|「過去問題集は、こう選べ!」 資格Hacker 鈴木秀明のシカクロード for StudyHacker【第5回】
ダイヤモンド・オンライン|過去問は「解く」のではなく「そのまま覚える」
STUDY HACKER|勉強効率の黄金比「3:7」が示すアウトプットの重要性。“インプットして満足” は圧倒的に時間のムダ
東洋経済オンライン|マンガ!東大生の「最強の勉強法」は要約である
【ライタープロフィール】
西ひとみ
大学では教員養成課程に在籍。大学院では英語教育を専門に学んだ。小学校教員免許、中学・高校教員免許(英語)を取得済。高校教師、小中学生向け塾講師としての指導経験がある。よりよいコミュニケーション法や最新脳科学への関心が高く、日々情報収集に努めている。