「プレゼン強者」はここまでやる! 2025年に注目を集めた2つのプレゼン

プレゼン風景・白黒のシルエット

準備に何時間もかけて、資料も完璧に仕上げたのに……終わった瞬間、聞き手の反応がイマイチ。「あれ、伝わってない?」そんな経験、ありませんか。

内容に自信があるからこそ、相手に響かないもどかしさは余計につらいものです。「もしかして自分のプレゼンって、つまらないのかな」と不安になることもあるでしょう。

でも、じつのところ問題は “内容の質ではない” かもしれません。

スウェーデンのフィンテック企業KlarnaのCEO(Sebastian Siemiatkowski氏)は、決算発表をAIアバターで行ない話題になりました。*1

ビデオ会議プラットフォーム大手のZoom CEO(Eric Yuan氏)も、決算説明会でAIアバターを使用しています。*2

ただし、彼らがやったのは決算発表「全部」をAIに任せることではありません。Klarnaは冒頭の1分23秒のハイライト部分のみ、Zoomも最初のコメント部分だけをアバターで行ない、重要な質疑応答は本人が対応しました。

つまり、いつものプレゼンに「ちょっとした演出」を加えただけで、世界中のメディアが取り上げる話題のプレゼンに変わったのです。

よいコンテンツ + ちょっとした工夫 = 「心に残るプレゼン」ということ。

本記事では、あなたの価値ある内容を、聞き手にしっかり届けるための実践的な演出術をご紹介します。

「内容はよいのに退屈」問題を解決する

多くのビジネスパーソンが直面する共通の悩み――それは、準備に時間をかけて内容も充実しているのに、聞き手の反応が薄いことです。

特にこんな場面で起こる傾向があります。

  • 技術的な説明が多いプレゼン
  • 数字中心の業績報告
  • 毎回同じフォーマットの定例会議
  • よく練ったわりには印象が弱い企画提案

問題は内容の質ではなく、「注意を引く仕掛け」の不足です。

どんなに価値のある情報でも、聞き手の注意が向いていなければ印象に残りません。逆に、ちょっとした演出を加えるだけで、同じ内容でも劇的に印象を変えることができます。

CEOたちが実践した「演出効果」

各メディアに見られる「KlarnaとZoomのCEOが実際に得た効果」を見てみましょう。

話題性・注目度の向上
TechCrunch、Entrepreneur、PC Gamerなど多数のメディアが取り上げ

記憶への定着
「初のAIアバターCEO」として業界で語り継がれる

ブランドイメージの強化
「AI先進企業」としての印象を効果的にアピール

視聴者の関心維持
通常なら流し聞きされがちな決算発表に最後まで注目

これらはすべて、内容に「演出」を加えた結果です。決算の数字自体は変わりませんが、伝え方を工夫することで印象が大きく変わりました。

企業のCEOアバターがオンラインで登場している様子

「ちょっとした仕掛け」が生む大きな変化

重要なのは、彼らが行なったのは「大掛かりな変更」ではなく「ちょっとした工夫」だったということです。

Klarnaの場合は1分23秒の短い動画でハイライトのみを発表。Zoomの場合は冒頭部分のみアバターを使用し、Q&Aは本人が対応しました。

つまり、プレゼン全体を変える必要はなく、一部に印象的な要素を加えるだけで十分効果があるのです。

身近な場面での応用例

この考え方は、私たちの日常的なプレゼンにも応用できます。

【応用例】
  • 定期報告:冒頭にショート動画で要点をまとめる
  • 技術説明:難しい部分をインフォグラフィックで視覚化
  • 企画提案:一部をストーリー仕立てで構成
  • 研修資料:キーポイントをクイズ形式で提示
  • チーム会議:進捗をゲーム風のダッシュボードで表示

どれも内容の本質は変えず、「伝え方に工夫を加える」アプローチです。

一部に印象的な要素を加えたプレゼンの様子

印象的なプレゼンをつくる実践ステップ

では具体的に、どのようにして「退屈なプレゼン」を「印象的なプレゼン」に変えればいいでしょうか。

1. 現状分析と演出ポイントの特定

Step1 現在のプレゼンで「最も聞き手が退屈しそうな部分」を特定する。
Step2 その部分に「意外性」「視覚的インパクト」「インタラクション」のいずれかを加える方法を考える。
Step3 実装コストと効果を天秤にかけ、最も効率のよい演出を選択する。

2. 具体的な演出テクニック

導入部分の工夫 冒頭30秒で聞き手の注意を確実に引く仕掛けを用意(質問、意外な事実、ショート動画など)
中間での関心維持5-10分おきに形式を変える(グラフ→動画→質問→実演など)
記憶に残るクロージング 最も重要なメッセージを印象的なかたちで締めくくる

効果測定の重要性

演出を加えたあとは、必ず効果を測定しましょう。

定量的指標:質問数、フィードバック数、提案の採用率、会議後のフォローアップ数

定性的指標:「印象に残った」「分かりやすかった」といったコメントの内容と頻度

これらを記録していくことで、どの演出が効果的だったかがわかり、次回のプレゼンに活かせます。

バランスの取り方

ただし、演出は「内容を引き立てる脇役」であることを忘れずに。KlarnaやZoomのCEOも、アバターで注目を集めたあとは、しっかりと実質的な内容を伝えています。

演出8:内容2ではなく、内容8:演出2くらいの比率を意識することで、「面白いだけでなく、価値のあるプレゼン」をつくることができます。

***
印象的なプレゼンは、特別な才能や高価なツールがなくてもつくれます。大切なのは「聞き手の立場で考える」こと、そして「ちょっとした工夫を恐れない」ことです。

今度のプレゼンでは、ぜひひとつでも新しい演出を試してみてください。その小さな変化が、あなたのプレゼンを「また聞きたい」と思わせる印象的なものに変えてくれるはずです。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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