「あの人がいると、なぜか会議が楽しくなる」「困ったときに相談したくなる」
そんな チームのムードメーカー になれる秘訣があったら、知りたくなりませんか? じつは、彼らには共通する 「口癖」 があります。しかも、たった4つのフレーズを使いこなすだけで、あなたも職場の人気者に変身できるかもしれません。
口癖1.「ちょうどよかった!」
〜ピンチを成長のチャンスに変える魔法の言葉〜
締め切り直前のトラブル、予期せぬ計画変更、突然のクレーム対応――職場では日々、大小さまざまな「困った!」が発生することがあります。そんなとき、多くの人が不安や焦りで頭がいっぱいになるなか、なぜか冷静に、そして前向きに状況を打開していく人がいます。彼らが困難な場面で必ず口にするのが、この「ちょうどよかった!」という一言なんです。
「ちょうどよかった!」の現場フレーズ例
プロジェクトでバグが発覚した
「ちょうどよかった! リリース前に見つかって。完璧な状態でお客様に届けられますね」
取引先からクレームが来た
「ちょうどよかった! 本音を聞けるチャンスです。これを解決したら、もっと信頼関係が深まりますよ」
予算が削減された
「ちょうどよかった! 本当に必要なものが何か見極める良い機会になりました。工夫次第でもっと効率的にできるはず」
なぜ効果的?
多くの経営者が愛用するこのフレーズ。問題を「学習の材料」としてとらえ直す ことで、チーム全体の思考が前向きに転換されます。
実践のコツ
・「ちょうどよかった」→「なぜなら〇〇だから」とセットで使う
・ 失敗から学べることを具体的に示す
・ チーム全体が解決策を考える雰囲気を作る
口癖2.「◯◯さんのおかげです!」
〜感謝を倍増させる「ありがとう +α」〜
プロジェクトの成功、締め切りギリギリでの納品、難しい顧客対応を乗り切りって仕事で成果を上げたとき、ムードメーカーは決して自分の手柄にしません。上司からほめられたときも、同僚から感謝されたときも、「田中さんのおかげで、本当に助かりました!」など、必ず誰かの名前を出して感謝を伝えます。
この習慣が、驚くほど強固な信頼関係とチームワークを生み出すのです。
日本人の幸福感の秘密
脳科学者・中野信子氏によると、日本人は 「人の役に立っている」 と感じるとき最も幸せを感じます。つまり、あなたの感謝の言葉が相手の 幸福ホルモンを分泌 させているのです!
バリエーション集:
- 「〇〇さんのアドバイスのおかげで、スムーズに進みました」
- 「〇〇さんのサポートがなければ、絶対に間に合いませんでした」
- 「〇〇さんの経験談が、すごく参考になりました」
使い方のポイント:
- 具体的になにが助かったかを明示する
- 相手の名前を入れて伝える
- タイミングを逃さず、その場で伝える
口癖3.「ど」から始まる言葉
〜「ど」から始まる質問で相手を主役にする〜
会議での意見交換、ランチタイムの雑談、取引先との打ち合わせなど、職場のあらゆるコミュニケーション場面で、ムードメーカーは自分より相手に話してもらうことを選びます。特に「ど」から始まる質問を使いこなすことで、相手は気持ちよく話し始め、いつのまにか心を開いているのです。この質問力こそが、深い人間関係を築く秘訣です。
経営者ら1,000人以上の話し方を改善してきたコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏は、そんな人間の本能をふまえて、質問の重要性を強調します。
岡本氏いわく、上手に質問をすれば共感力が上がり、相手に好感を抱かせることができるとのこと。特に、相手に自由に答えさせる「オープン・クエスチョン」がいいのだそう。
具体的には、「ど」から始まる6W1H(What、Who、When、Where、Why、Which、How)の質問です。
「ど」の魔法の質問リスト
What(どう・どんな)
- どんなきっかけで、その仕事を始められたんですか?
Who(どの人・どんな人)
- どんな方と一緒に働きたいですか?
When(どんなとき)
- どんなときにやりがいを感じますか?
Where(どこで)
- どこへ旅行に行きたいですか?
Why(どうして)
- どうしてその映画が人気なんでしょう?
Which(どれ・どっち)
- どちらが気になりましたか?
How系(どうやって・どのように)
- どのように達成されたんですか?
実践テクニック
・相手が答えやすい質問から始める
・相づちと共感で話を広げる
・「へぇ〜!」「それは興味深いですね」でリアクションを大きく
メンバーとの会話のなかにこのような質問を盛り込めば、「この人は私に関心をもってくれている」と相手に好感を与えることができます。おのずと、チームの雰囲気もよくなるでしょう。「ど」の質問で、うまく相手の話を引き出してみてください。
口癖4.「教えてください」
〜最強の間接的ほめ言葉〜
新しいツールの使い方がわからない、業界の最新トレンドを知りたい、仕事の進め方に悩んでいる。こんなとき、職場のムードメーカーは迷わず周りの人に助けを求めます。でも、それは単なる依存ではありません。「教えてください」という言葉には、相手への敬意と信頼が込められていて、頼られた側は自然と「この人の役に立ちたい」と思ってしまうのです。
19世紀のイギリス作家 アーサー・ヘルプスの名言
「人はだれでも、自分に助言を求めてくる人の見識を高く評価する」
「教えてください」は、じつは 「あなたを尊敬しています」 という最強のほめ言葉なのです。
効果的な使い方パターン
・経験を聞く: 「〇〇さんの豊富な経験から、ぜひアドバイスをいただけませんか?」
・専門知識を聞く: 「その分野のエキスパートである〇〇さんに、ぜひ教えていただきたいです」
・おすすめを聞く: 「センスの良い〇〇さんのおすすめを、ぜひ教えてください」
職場での会話のなかで、「〇〇さんの体験を教えてください」「ぜひ、おすすめを教えてください」とアドバイスを求めてみましょう。答えてもらったら、感謝の言葉を伝えることも忘れずに。
言葉が変われば、空気が変わる
たった4つの口癖を意識するだけで、職場の雰囲気もガラリと変わります。明日からの会議や雑談で、ぜひこの「魔法の口癖」を試してみてください。きっと 「あの人と一緒にいると楽しい!」 と言われる職場のムードメーカーになれるはずです。
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最初の一歩は、同僚への 「〇〇さんのおかげです、ありがとうございます!」 から。
さあ、今日から始めてみませんか?
*1: ITmedia ビジネスオンライン|経営者の口癖には共通点がある
*2: ダ・ヴィンチニュース|『最高の生き方』ムーギー・キム対談【第1回 中野信子】 日本人は高収入より「人の役に立つ」ほうが幸せ――最新の脳科学に学ぶ幸福のヒント
*3: NIKKEI STYLE|感謝の気持ちを伝える「究極のテクニック」とは?
*4: PNAS|Disclosing information about the self is intrinsically rewarding
*5: 東洋経済オンライン|意外に簡単「ハーバード流雑談術」使える4秘訣
*6: 東洋経済オンライン|「世界最高の雑談力」大人が極めたい6つの質問
*7: DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|敵を支持者に変える:「助言を求める」ことの3つの効果
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。