月末に必ずやるべき「月1習慣」。8つの項目で “人生のバランス” 見直してみませんか?

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「気がつけば、いつも仕事や、資格の勉強のことばかり考えている……」
「評価もされて仕事は順調なのに、満足感が得られない」

困難に直面しているわけでもないのに、人生の満足度が低い――もし、あなたがそうだとしたら、月に1回「人生のバランス」を見直してみてはいかがでしょう

今回の記事では、コーチング分野で使われる「バランスホイール」による振り返り方法をご紹介します。筆者も、“15分だけ” 使って1か月の振り返りを行なってみましたよ。

月1回「ワークライフバランスを振り返る」ことが大切な理由

仕事に、家族のケア、勉強、そして経済面のこと――常にやることに追われている社会人にとって大切なのが、一度全体像を見直して “人生の調和” をとること。

米コロラド州立大学で職業科学を研究するアーロン・イークマン氏によれば、人生のバランスが崩れると、心と身体の健康に悪影響があるそう。“人生のバランスが崩れる” 状態を、同氏は以下のように語っています。

when the fulfillment of basic psychological needs has been thwarted within ongoing patterns of day-to-day occupations

(訳:繰り返される日常生活のなかで、基本的な心理的欲求の充足が妨げられている場合)

(引用元:PositivePsychology.com|How to Apply the Wheel of Life in Coaching ※訳は筆者が作成した)

たとえば、休日も仕事に気をとられ、家族や友人との時間が減ったり、あるいは投資に関する勉強に注力する一方で、教養的な学びがおろそかになったり……。特定のことに集中するあまり、ほかの分野のスキル向上や、人との関係性構築を犠牲にしている状態です。

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作家兼心理学者のジェレミー・サットン氏は、「人生のバランスが崩れると、自分をコントロールできなくなり、満足度が低下する」と伝えています。(同上資料より)

イークマン氏が発表した研究報告(2014年)によれば、250名の大学生と大学院生を対象に調査を行なった結果、人生のバランスがとれている人はほかの人と比べ、幸福度が大幅に高く、不健康なレベルが低かったとのこと。(Taylor & Francis Online|A Subjectively-Based Definition of Life Balance using Personal Meaning in Occupation より)

たとえ、キャリアを順調に進めているつもりでも、健康的な生活や精神的な満足がなければ、仕事の意欲を維持できませんよね。ワークライフバランスを定期的に見直すことは、社会人が幸福感を得ながら働き続けるうえで大切だと言えるでしょう。

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月1回の振り返り習慣に使える「バランスホイール」とは?

人生のバランスを考えるために、コーチング分野で使われる方法が「バランスホイール」というものです。

バランスホイール(英語表記:wheel of life=人生の輪)とは、仕事のみならず私生活を含めた人生の全領域を、視覚的に評価するツールのこと。自己開発プログラムを提供する米国の組織・SMI(Success Motivation Institute)創始者であるポール J. マイヤー氏が、人々が自分の目標を実現するための支援を目指して、1960年代に考案しました。(Indeed|Wheel of Life: What It Is and How To Use It To Find Balanceより)

ホイール(=車輪)の名のとおり、円の図を用いて分析します。

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(図は筆者が作成。以下同じ)

円の8等分されたセクションごとに、振り返る項目を設定します。実際にバランスホイールを活用しているという株式会社Morning Labo取締役の井上皓史氏は、以下の内容で振り返るのだそう。

【1】仕事

【2】趣味

【3】ファイナンス

【4】健康

【5】家族

【6】学習

【7】社会貢献

【8】人間関係

(引用元:朝時間.jp|月1回の習慣でご機嫌に!「自分面談」のメリットとやり方

項目を決めたら、以下のようにして、ホイールの各セクションに当てはめます。

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そして、満足度をセクションごとに評価するのです。

バランスホイールを使えば、不足している部分や、集中している部分を、円の凹凸でひと目で見分けることが可能。詳しい手順は、次項で実践例を交えながら紹介しましょう。

バランスホイールで振り返ってみた

筆者もこのバランスホイールを活用し、自分のワークライフバランスを見直してみました。(以下手順は、前出の「PositivePsychology.com」記事をもとにまとめた)

STEP1. フォーマットを作成する

簡単にフリーハンドで円を作成します。大きな筒状のものを置き、円周をなぞって書いてもいいでしょう。パソコンスキルのある方は、パワーポイントなどでフォーマットを作成しておけば、何度も使い回すことができますよ。

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円を描いたら、ライフスタイルの見直しに重要な項目を設定します。筆者は、前出の井上氏が挙げていた8項目を参考にしました。円を8等分して、それぞれの項目を当てはめた図がこちらになります。

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STEP2. 各項目を評価する

バランスホイールのフォーマットができたので、次は各項目の評価です。評価は5段階でも10段階でも、自由に設定してかまいません。筆者が作成した円の半径は、ちょうど5等分するのに適していたため、5段階評価(0=最低、5=最高)で行ないました。

それぞれ評価した点を線で結び、以下の図が完成しました。

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前出のサットン氏によると、バランスホイールの目的は「現在の満足度を測る」ため。できているか否かよりも、主観的な満足度を基準に評価しましょう。

STEP3. 項目ごとに目標を立てる

バランスホイールで各項目を評価してみると、凸凹のある不均一な円が描かれるでしょう。そこで、円をより均一なものにするために、1か月の目標を設定します。前出の井上氏は、各項目の「『今月の目標』を3つ」立てるのだそう。(前出の「朝時間.jp」記事より)

筆者も実際に、月の目標を3つ挙げてリストを作成してみました。

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すでに満足度の高い項目は、いままでの目標を維持しながら、適宜新たな要素をプラス。目標の大幅な調整をするのは、これまで意識してこなかった、満足度の低い項目です。

筆者の場合、8つのうち最も低評価となったのは「社会貢献」の項目。これまで社会貢献というと、ボランティアに参加したり寄付したりといった特別な行動というイメージがあり、実行できずにいました。しかしよく考えてみれば、“環境に配慮する” というのも個人でできる社会貢献のひとつ。そこで以下の目標を立てました。

  • プラスチックを削減するため、マイボトルを持ち歩く
  • 好きなチョコレートはフェアトレード品を買う
  • 着なくなった服をリサイクルに回す

より身近で現実的な行動を起こせば、これまで「特別な行動だから……」と考えて実行できずにいた社会貢献を果たすことも可能なのだなと気づきました。

ここまでの作業にかかった時間は、およそ15分。人生全体を総合的に振り返る――と聞くと大変そうに感じるかもしれませんが、月に1回、15分程度なら、忙しい人でも確保できるのではないでしょうか。

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バランスホイールで振り返ると「視野が広がる」!

バランスホイールで自分の人生を振り返ると、自分の視野が狭くなっていたことに気づきました。

筆者は8つの項目を評価する際、普段から意識を向けていて「満足度が高い、低い」とすぐに言えるような項目から先に評価しました。というのも、普段あまり意識していない項目は、何を基準に評価すればいいのかすらわからなかったからです。

具体的に言うと、「仕事」「学習」「健康」「家族」――これらは、筆者の人生において優先順位が高く、評価もしやすいもの。健康管理や学びにつながることに多くの注意を向け、生産性を意識した生活を送っていることの表れですね。

しかしその一方で、「趣味」をはじめとする “人生の満足度を高める” ための項目に、意識を向けることができていないと気づきました。

米オハイオ州立大学の研究報告(2021年)によると、「余暇は人生の無駄」と考える傾向のある人ほど、幸福度が低く、ストレスレベルが高かったのだそう。(Science Direct|Viewing leisure as wasteful undermines enjoymentより)

筆者は「余暇は無駄」とまで考えていなかったものの、趣味に力を入れたり、楽しめる活動にお金を使ったりといったことは重視していませんでした。そこで、同研究に携わった、米ラトガー・ビジネス・スクールのガブリエラ・トニエット氏が述べていた、

「余暇を無駄だと思う人は、個々の余暇活動が自分の長期的な目標に役立つような、生産的な方法を考え出すと良いだろう」

(引用元:Beyond Health|「余暇はムダ」と思う人は幸福感が低くメンタルヘルスが悪化しやすい

というアドバイスを参考に、目標を考え直してみることに。

筆者には、「物語を提供する側」として活動したいという長期目標があります。そのため、「お金」や「趣味」に関する目標として、フィクション作品にお金を使う、そうした作品を鑑賞する時間をもつといった「目標に役立つような楽しみの時間」を設けることにしました。

このように、バランスホイールというツールを使ったことで、関心分野の偏りを視覚化でき、総合的な気づきを得ることができました。「仕事はまあまあ順調なのに、満足感が得られない……」といった悩みがある方に、ぜひおすすめしたいです。

***
評価や成果を追い求めるほど、“人生のゆとり” を見失いがちになります。月に一度、たとえば月末などに、人生全体を振り返る時間をとって、仕事も生活も満足のいくバランスを見つけてみてください。

(参考)
朝時間.jp|月1回の習慣でご機嫌に!「自分面談」のメリットとやり方
PositivePsychology.com|How to Apply the Wheel of Life in Coaching
Taylor & Francis Online|A Subjectively-Based Definition of Life Balance using Personal Meaning in Occupation
Indeed|Wheel of Life: What It Is and How To Use It To Find Balance
Beyond Health|「余暇はムダ」と思う人は幸福感が低くメンタルヘルスが悪化しやすい
ScienceDirect.com|Viewing leisure as wasteful undermines enjoyment

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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