今さら人に聞けない「クリティカルリーディング入門」 4つの手順で深い理解を。

最近、クリティカルリーディングという言葉をよく耳にするようになりました。直訳すれば、「批判的に読むこと」。なんとなく意味がわかるような気がしても、はっきりとした意味ややり方までは説明できない……という人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな方のために、クリティカルリーディングの基本について紹介します。クリティカルリーディングの何がそんなに良いの? と思っていた人も、きっと今日からクリティカルリーディングを試してみたくなりますよ。

クリティカルリーディングとは……?

まず、クリティカルリーディングとはどのようなものでしょうか。文部科学省によると、

そのテキストについて、内容、形式や表現、信頼性や客観性、引用や数値の正確性、論理的な思考の確かさなどを「理解・評価」したり、自分の知識や経験と関連づけて建設的に批判したりするような読み

(引用元:文部科学省|読解力向上プログラム

のことをクリティカルリーディングと言います。

簡単にまとめると、文献の内容を精読し、正確に理解したうえで、どうして著者はそのような主張をしているのか、その内容は本当に正しいのか、自分だったらどう思うか、などと考えながら読むこと。本の内容に対し、「なぜ?」と批判的にきりこんでいくのですね。

クリティカルリーディングを実際にやってみよう

では次に、クリティカルリーディングの手順を見ていきましょう。兵庫大学の河野稔准教授の解説によると、クリティカルリーディングは次の流れで行います。

1. 著者の主張から、中心となる話題や重要な説明をピックアップする。 読んだ文献の中で、自分が関心を持った内容や、重要だと思った箇所をピックアップしましょう。なぜ自分がその点に着目したのか、理由・根拠をはっきりさせておくことが肝心です。

2. 文献の内容に対して、自分視点での疑問をもち、その答えを探しながら読む。 あらかじめ読む前から自分が持っていた疑問や、文献を読み進めていくうちに生まれた疑問などの答えを探していきます。

3. 文献にある意見や事実の正しさについて、論理的に評価する。 文献の内容は、きちんと客観的な事実に基づいて書かれているのか、具体的かどうか、矛盾がないかなどを確かめます。事実を漏れなく読み取るために、いわゆる5W1Hを意識するとよいでしょう。

4. 文献の内容について、自らの意見を発信する。 3の過程で批判すべきところが見つかれば、説得力のある自らの意見を構築し、それを発信していきましょう。SNSやブログなど、普段自分が使っている発信ツールがある人は、そういうものを使えば便利だと思います。あるいは、読書ノートを付けたり、読書記録のWebサービスを使ったりしても良いかもしれません。

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クリティカルリーディングは、「その後」につながる

クリティカルリーディングのやり方が分かったところで、クリティカルリーディングができるようになると、どんなメリットがあるのかについても知っておきましょう。

クリティカルリーディングが上手くいくと、自分の考えを論理的にまとめる力が向上します。

クリティカルリーディングでは、まず著者の主張を正確に理解したうえで、その内容を論理的に評価するというステップを踏むこととなります。文献の内容を順序立てて理解し、自分の意見を組み立てることになりますよね。ただぼんやりと感想を考えるのとは違い、著者の主張をより正確に理解しようと意識するため、自分の疑問や意見を整理しやすくなるのです。

大学などで参考文献を読んでからレポートを書くとき、たくさんの資料をもとに論文を書くとき、受験や就職活動などの論述試験などで、クリティカルリーディングの手法は力を発揮するでしょう。

またビジネスシーンなら、プレゼン資料や企画書などを作るときに、参考文献を効果的に使えるようになり、論理的で説得力のある主張ができるようになるはずです。日々のビジネスニュースや時事問題などについても、クリティカルリーディングの手法で批判的に読み・考える癖をつければ、情報に流されず、自分なりの思考や意見を持ちやすくなります。提案や発言の内容に独自性を持たせることができるようになるかもしれません。

*** クリティカルリーディングは、「読む」というインプットにとどまるものではなく、「考える、発信する」というアウトプットの質を高めることでもあります。

最初はうまくいかなくても、数をこなしていくうちにきっとできるようになるはずです。ぜひクリティカルリーディングの習慣を身に着けてみてください。

(参考) Kei-Net|PISA型読解力について考える 第7回 基礎ゼミ|基礎ゼミ - 第7回 レポートの書き方Ⅰ (3) 文部科学省|読解力向上プログラム

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