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「カフェで勉強していると、周囲の話し声が気になって集中できない」「電車の中だと揺れや騒音で勉強が手につかない」

そんな人、結構いるんじゃないでしょうか?
一方で、ファミレスやカフェなどちょっとざわついているくらいの方が集中できる、という人もいるはず。さて本当のところ、どちらがより効率よく勉強できるのでしょうか。今日は、科学的研究に基づいて、一体どちらの環境が勉強に優れているのか検証してみました。

最も効果的な暗記法や「静かなところで、覚えたい内容を聞く」こと

結論からいうと、勉強するなら静かな場所の方がいいようです。日本建築学会の小熊氏らは、以下のような実験を行いました。

話し声程度の雑音がする場所と静かな場所で、単語を暗記できるか調べる実験。暗記の方法は、単語を読み上げるか、それとも流れているものをリスニングするか、という条件を設定し、実際にどの条件がもっとも効率よく暗記できるかを検証しました。すると、「静かな場所で、等間隔で聞いた方が覚えやすい」ということが明らかになったのです。

小熊氏によれば、やはり「集中してひとつの作業に取り組めるか」ということが大事なファクターらしく、なぜ音読よりも聞くだけの方が効率が上がったかについてはこう語っています。

それに対し音読は、声に出す回数を三回と指定しているため、回数を意識し集中力が阻害されたと推察できる。

(引用元:小熊淳, 古賀誉章, 佐野奈緒子, 辻村壮平, & 秋田剛. (2011). 40057 暗記学習効率に音環境が与える影響に関する研究 (知的生産性, 作業効率, 環境工学 I). 学術講演梗概集. D-1, 環境工学 I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境, 2011, 127-128.)

音読が悪いということわけではなく、あくまで集中が乱されたかどうか、ということです。周囲の雑音は、大なり小なり集中を乱すことにつながるのでしょう。

平日1日1時間でも、英語力大幅アップでTOEIC830に。無駄をそぎ落とした科学的トレーニング。
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雑音が集中力を高める場合もある。

一方で「雑音が集中力を高める」研究もあります。Study Hackerでも何度か記事にしたことがあるので、ご存知の方が多いかもしれませんね。ストックホルム大学のSöderlund氏などによる研究によれば、集中力の足りない学生に、「ホワイトノイズ」と呼ばれる雑音を聞かせたところ、学習効果が上がったというのです。ホワイトノイズの身近な例としては、テレビやラジオで一般に砂嵐と呼ばれているものがあげられるでしょうか。

赤ん坊に砂嵐を聞かせると泣き止む、という都市伝説のような話も聞いたことがありますが、ひょっとしたら本当なのかもしれませんね。しかし、これは雑音がホワイトノイズだった時の話。カフェやファミレスでの、他人の話し声はどうなのでしょう。

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他人の話し声は集中力を低下させる

同じく日本建築学会の辻村氏によれば、人の話し声には学習効率を低下させる効果があるんだとか。

辻村氏は、被験者にヘッドフォンでニュース放送と無意味な雑音を聞いてもらい、その間漢字の暗記と暗算をさせました。すると、ニュース放送を聞いている時には漢字の暗記の点数が、雑音を聞いている時には暗算の点数が下がったというのです。(参考:辻村壮平. (2008). 40017 無意味及び有意味騒音が知的作業時の妨害感に及ぼす影響 (音環境, 環境工学 I). 学術講演梗概集. D-1, 環境工学 I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境, 2008, 33-34.)

雑音の中に言語情報が入っていたため、無意識にそちらを聞き取るほうに意識がいった結果、暗記への集中力が妨害されたということなのですね。このロジックで言えば、音声が入っている音楽もやはり集中力の妨げになるもの。「雑音が勉強効率を上げる」という説は、ホワイトノイズという特殊なものでなければ意味がないということでしょう。

カフェやレストランの方がはかどる、という人はひょっとしたら、それは集中した「つもり」になっているだけかもしれません。一度静かな場所に慣れてみましょう。そうすれば、ぐっと成績が上がるかもしれませんよ。

参考
小熊淳, 古賀誉章, 佐野奈緒子, 辻村壮平, & 秋田剛. (2011). 40057 暗記学習効率に音環境が与える影響に関する研究 (知的生産性, 作業効率, 環境工学 I). 学術講演梗概集. D-1, 環境工学 I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境, 2011, 127-128.
Göran BW Söderlund14*, Sverker Sikström2, Jan M Loftesnes3 and Edmund J Sonuga-Barke(2010). The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children : Behavioral and Brain Functions 2010, 6:55
辻村壮平. (2008). 40017 無意味及び有意味騒音が知的作業時の妨害感に及ぼす影響 (音環境, 環境工学 I). 学術講演梗概集. D-1, 環境工学 I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境, 2008, 33-34.


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。