買ったはいいものの読み切れず、あるいは開くことさえせずに、部屋の端に置きっぱなしになっている本が多い。読もうとは思っているが、先に読みたいものや、仕事で読まなければならない本が後から後から湧いてくるので、結局 “積読” 本には手をつけられないまま……。

その姿を目にするたび、「早く読まなければ」というプレッシャーを感じている方々のために、7日間で “積読” を解消できるテクニックをご紹介します。

“積読” 解消のためのコツ1 「家で立ち読み」

「ハック」ブームの仕掛け人のひとりで、心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏は、仕事をするうえで多くの本を読む必要があるといいます。そんな同氏が取り入れているのは「家で立ち読み」。

立ったままの姿勢で読むことは多少の疲労感を生むので、読み進められる量は少なくなりますが、そのぶん読書基準が厳しくなるそう。すると、不要だと思われる箇所、つまらない箇所を読み飛ばすようになるので、結果的には効率がよくなるのだとか。

また、この方法は “積読” 本を読み始める際のハードルも下げてくれます。“ちょっと立ち読み” という気楽な感覚が、「読まなければ」という気持ちを払拭してくれるので、不思議と楽しんで読めるようになります。

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“積読” 解消のためのコツ2 「ペライチ読み」

積まれている本は忙しいからと1ページさえも読まないのに、たとえばカフェに置かれている興味深いアートイベントのリーフレットや、映画などの2つ折りパンフレットなどは、ちょっとした合間に隅から隅まで読んでしまうのではないでしょうか。

あの “どっさり” と積まれた、本の “ひとまとまり” を意識するからこそ、読むハードルが高くなるのです。ならば本も、リーフレットや2つ折りパンフレットのように「ペライチ(紙一枚)」感覚で読みましょう。手順はこうです。

1.“積読” 本の中 から本をチョイス
2.最初のページ、あるいは目次から選んだページを開く
3.開いたら、見開きページぶんだけを読んで閉じる
4.数日間はこのルールを守る(ただし1日に何回開いてもOK)
5.「もっと読みたい」が生まれたらルールを解除して読む

予防医学研究室の資料によると、看護の世界では、重要性がわかっていても、実行する自信がない慢性疾患の患者さんには「スモールステップ法」をすすめるといいます。「このくらいならすぐ読めそう」で “やる気スイッチ” を押して、“積読” を解消していきましょう。

それに、この方法は読むハードルを下げるだけではなく、1966年に社会心理学者のジャック・ブレームが考案した「心理的リアクタンス」を働かせてくれます。心理的リアクタンスとは、たとえば「この扉を開けてはダメ!」と書かれていると、そこに入りたくなってしまう心理のこと。

それまでずっと積んでおいていたくせに、“一度にペライチ(見開き)ぶんしか読めない” というルールに縛られるともっと読みたいという気持ちが高まるわけです。

“積読” 解消のためのコツ3 「マイ図書館」

もしも “積読” 本を置いているスペースが乱雑であれば、ぜひインテリアとして考えて、その場所をきれいに整理してください。そして、可能な限り置く本を厳選し、カテゴリー別に分けてあげるのです。すると、そこはインテリアとしても美しい、あなた専用の図書館になるはずです。

felice代表・美的収納プランナーの草間雅子氏は、「本はこの棚いっぱいまで」と決め、新しい本を買う際にはよく厳選することをすすめています。そうすることで、過剰な “積読” 本の増加を防げます。そして以下を考慮すべきとのこと。

・「崩れ落ちてこない」などの安全性
・「見た目のスッキリ感」といった美しさ
・「読みたいときにすぐ取り探せるか」という利便性 など

このようにして「マイ図書館」をつくり、すぐ目につく場所に取りやすい状態で、厳選された本を置けば、忙しいなかでもちょっと手に取り読む意欲がわいてくるはずです。

また、“積読” の状況を “見える化” できるので、「これも読んでないな」「これは途中だったな」「こんな本もあったのか」と再認識できます。問題解決の手法と同じというわけです。

“積読” を7日間で解消できるテクニックの意

紹介した「家で立ち読み」「ペライチ読み」「マイ図書館」すべてのコツを取り入れた場合の7日間はこんな具合です。実は、“積読” が解消され始めるのは3日目から。

1日目:簡単に「マイ図書館」をつくる
2日目:「家で立ち読み」&「ペライチ読み」開始(もちろん1日目からでもOK)
3日目:読んでも1回数分なので心地よく、“積読” 本への興味が再燃
4日目:「マイ図書館」が視界に入るとつい本を手に取るようになる
5日目:興味が広がり、同時に数冊の乱読を始める
6日目:面白い1冊に夢中になる。ルールを解除
7日目:1冊の本が読み終わる

“積読” 本を目にするたびに、ちょっと本を開いて数分読んだ場合、それを合わせて1日のうち “積読” 本に費やす時間を3日目まで15分程度、4日目から20~30分、6日目から30~60分と想定すると、7日間あれば1冊くらい読み終わります。その時点で興味が再燃し、途中まで読み進めた本を次に読もうと考えたり、別の本を選び「家で立ち読み」&「ペライチ読み」を再度始めたりするかもしれません。

とはいえ、量にもよりますが、7日間で “積読” 本をすべて物理的に解消することは不可能です

注目すべきは、3日目の時点で、視界に入るたびにプレッシャーを与えてきた “積読” 本が、自分をワクワクさせる「本コレクション」に打って変わったということ。7日間で “積読” 本を1冊読み終えたか、そうでないかは問題ではないのです。つまり、7日間あれば十分に “積読” 解消のサイクルがうまく回り始めるということです。

したがって、“積読” を7日間で解消できるテクニックとは、“積読” に向ける意識をガラリと変えること。筆者も経験済みです。ぜひお試しください!

“積読” は、決して「悪」ではない

さらに、ここでひとつ留意しておくべきことがあります。それは、“積読” が決して「悪」ではないということ。

精神科医の名越康文氏は、多くの本を “積読” にしているといいます。同氏によれば “積読” は「なりたい自分のイメージを常に手元に置く」ということなのだとか。なぜならば、本を選び、それをレジに運ぶ際にわたしたちは、その本をインプットしたあとの「成長した自分」をイメージしているからです。

心理学的にいうと、「未来のなりたい自分のイメージ」を「本」に投影している状態なのだそうです。本を見るたびに、自分のなりたい姿のイメージが喚起されるわけですから、「成長への動機づけ」という点では、“積読” はコストパフォーマンスが高い方法だと名越氏は話しています。

また、「“積読” は解消の必要なし! 東大教授に学ぶ、”積読” ほんとうの価値。」で紹介している東京大学文学部教授による「読み切れるか心配して本を買うのをためらうとき、大きな損失になる」という言葉が示すように、“積読” は、わたしたちに多大なセレンディピティーをもたらしてくれるでしょう。

***
“積読” 本は、意図せずできた(積まれた)未読・読みかけのコレクションですが、それが宝のタワーであること、未来のなりたい自分のイメージであること、そして、どこにもない自分だけのセレクションであることを、ぜひ思いだしてくださいね。

(参考)
ITmedia エンタープライズ|わたしが「家でも立ち読み」する理由
予防医学研究室|独立行政法人|国立病院機構|京都医療センター|臨床研究センター|スモールステップ法
ダイヤモンド・オンライン|ダメリーマン脱出整理術 草間雅子|なぜ本棚は買っても読まない本で溢れてしまうのか
タウンワークマガジン|本を買っても読まない“積ん読(つんどく)”の効用(名越康文)
Study hacker|“積読” は解消の必要なし! 東大教授に学ぶ、”積読” ほんとうの価値
アル・ピタンパリ著,岩崎晋也訳(2017),『すごいヤツほど上手にブレる 優れたリーダーに共通する謙虚で驕らないリーダーシップ (T’s BUSINESS DESIGN) ,TAC出版 (2017/6/21).