社会人・学生向け理想的モーニングルーティン9選

理想的なモーニングルーティン

モーニングルーティンとは「朝の習慣」のこと。一般的に、「起床してから家を出るまでの毎朝の流れ」を意味する言葉です。芸能人やYouTuberによる「モーニングルーティン動画」がブームになり、「理想的な朝の過ごし方」を模索する人が増えています。

モーニングルーティンは、心身のコンディションを整え、仕事や勉強のパフォーマンスを高めるために重要です。社会人・学生向けに、一日を気持ちよくスタートできるモーニングルーティンをご紹介します

おすすめの習慣については「仕事&勉強がきっとうまくいく『脳にいい習慣』7選」もご覧ください。

モーニングルーティンの目的

まずは、モーニングルーティンの目的を確認しておきましょう。

身体を目覚めさせる

モーニングルーティンによって身体を動かし、刺激することで、心身が覚醒します。シャキッとした気分で元気よく一日をスタートできるでしょう。

一日の準備をする

モーニングルーティンには、着替えなどの身支度や家事も含まれます。一日の計画を立てたり、仕事や勉強の準備を整えたりすることも同様です。

自己投資をする

最重要と言ってもいいモーニングルーティンの目的は、将来のための自己投資です。脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝は脳が最もさえており、外から邪魔が入らないため、ひとりでの活動に最適なのだとか。自分の将来についてじっくり考えたり、夢の実現に向けて勉強したりなどの「自分磨き」に取り組むのも有意義です。

これら3つの目的を意識しつつ、どんなモーニングルーティンを行なうか、次の章から考えていきましょう。

モーニングルーティンの目的

社会人・学生向けの理想的ルーティン

社会人・学生におすすめのモーニングルーティンとして、9つご紹介します。あなたはどれを取り入れますか?

ベッドで準備運動する

「モーニングルーティン以前に、眠すぎてなかなかベッドから出られない」という方には、ベッドの上で準備運動をするルーティンがおすすめです。腕や脚を動かすことで血行がよくなり、身体が覚醒します。以下は、精神科医の保坂隆氏がすすめる「脳をフル回転させる」準備体操です。

  1. 仰向けになって両腕を上げる
  2. 両手を10回ほど振る
  3. 両膝を立て、大きくゆっくり回す。左回りと右回りで10回ずつ
  4. 四つんばいになり、両手足を直角に立てる
  5. 息を大きく吸いながら胸を突き出し、背を反らす
  6. 息を吐きながら、へそをのぞき込むように背を丸める
  7. 4~6を5、6回繰り返す
  8. 四つんばいで背を伸ばし、深呼吸しながら首をゆっくり左右に大きく振る。尻をのぞき込むイメージ
  9. 四つんばいのまま姿勢を低くし、全身の力を抜く。そのまま10秒

朝起きるのが苦手な方は、この体操をぜひ実践してみてください。

水を飲む

起床後は、水を500mlほど飲みましょう。脳科学者の池谷裕二氏によると、寝ているあいだに身体から多くの水分が失われるため、朝は軽い “脱水状態” なのだとか。体内の水分が少しでも足りないと、頭痛や吐き気が生じるだけでなく、記憶力や認知能力が低下する恐れすらあるそうです。

イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学による2013年の共同研究でも、知的作業の前に500mlの水を飲んだ被験者は、飲まなかった被験者より14%も反応時間が速かったと判明しました。体調不良を防ぎ、脳を働かせるため、起きたら水を飲む習慣をつけましょう。

朝日を浴びる

ベッドから出たら、カーテンを開けて朝日をたっぷり浴びましょう。精神科医の樺沢紫苑氏によれば、目の奥にある網膜が太陽の光をキャッチすると、神経伝達物質・セロトニンが分泌されるそう。セロトニンは、精神の安定や脳の覚醒に深く関わっています。セロトニンが増えることで心身が目覚め、すがすがしい気分で一日をスタートできるのです。

また、朝日を浴びれば、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌がストップします。作業療法士・菅原洋平氏によると、メラトニンの分泌を止めるには、1,500~2,500ルクスの明るさが必要だそう。窓から1m以内であれば、室内でも3,000ルクス程度の光を浴びられるとのことです。

カーテンを開けるためにベッドから出ることすらつらい方は、光式の目覚まし時計を使うのも手です。時間が来ると数万ルクスの強力な光を照射し、起床を促してくれます。

散歩する

セロトニンを分泌させるには、散歩も効果的です。前出の樺沢氏によると、「リズム運動」でセロトニンが活性化するそう。

樺沢氏は、起きてから1時間以内に15~30分散歩することを推奨しています。晴れた日は、近所や公園を歩き回ってみましょう。セロトニンが分泌されるだけでなく、自律神経のバランスが整うそうですよ。

朝食をとる

朝食をとることも、基本的かつ重要なルーティンです。2010年に発表された東北大学と大塚製薬の共同研究では、

  • 栄養調整食品(400kcal)
  • 糖液(400kcal)
  • 水(0kcal)

という3種類の朝食を用意し、それぞれの条件下で被験者にテストを行なわせ、脳活動を測定したそう。「栄養調整食品」の条件では、ほかの条件に比べて以下のような結果が得られました。

  • 疲労感が弱い
  • 集中度が高い
  • 脳の前頭前野が活発に働く

つまり、朝食をとるのはもちろん、朝食の栄養バランスを考慮することで、脳のパフォーマンスを高められるのです。最低でも、以下に挙げる栄養を朝食に取り入れましょう。ひとり暮らしの場合、特に意識してみてください。

ブドウ糖

ブドウ糖は、脳と身体を動かすのに不可欠です。主にパンやお米などの主食を通じて得られます。

管理栄養士・大島菊枝氏によると、朝のおすすめは「米食」。消化・吸収のスピードがゆるやかで、ブドウ糖が長時間供給され続けるためです。いわゆる “腹もちがいい” ということですね。脳研究者の瀧靖之氏は、白米よりさらに吸収がゆるやかだとして、玄米をすすめています。

◆おすすめの食品

  • 玄米
  • 五穀米 など

ビタミンB群

ブドウ糖をエネルギーとして使うには、ビタミンB群が必要です。ビタミンB群が不足すると、せっかくのブドウ糖を活用できず、エネルギーが足りなくなってしまいます。主食だけでなく、ビタミンB群が豊富な食品を食べましょう。

◆おすすめの食品

  • 納豆
  • 豚肉
  • 玄米 など

タンパク質

タンパク質は、身体の組織をつくったり機能させたりするのに欠かせません。

◆おすすめの食品

  • 大豆
  • 牛乳 など

3種類の栄養素を軸に、バランスのいい朝食をとりましょう。糖分とビタミンB群の両方を含む玄米、ビタミンB群とタンパク質を含む卵・納豆・豚肉は、特におすすめです。

◆おすすめの朝食メニュー

  • 玄米+目玉焼き+ツナサラダ
  • 玄米+納豆+焼き魚
  • 五穀米+ハム+鮭フレーク

柑橘類を食べる

可能であれば、柑橘系のフルーツも朝食に取り入れてみましょう。精神科医の西多昌規氏によると、柑橘類、特にレモンは、心を落ち着かせる物質「GABA」の働きを弱めて脳を目覚めさせるそうですよ。

◆朝におすすめの柑橘類

  • グレープフルーツ
  • オレンジ
  • レモン
  • レモン系飲料

ToDoリストをつくる

仕事や勉強に取りかかる前は、その日やるべきことをToDoリストにしましょう。一日をムダなく過ごし、実り多いものにするために欠かせません。行動科学コンサルタントの冨山真由氏は、以下のようなつくり方をすすめています。

  1. その日やるべきことを、期限が近い順に書き出す
  2. 必ずその日にやるべきことに「○」、翌日以降でもいいことに「×」をつける
  3. 午前・午後前半・午後後半に一日を3分割し、タスクを割り振る

このようにToDoリストをつくれば、タスクに手をつける順序が明確になり、仕事・勉強を効率よく進められます。

「書く」ことで頭を整理する

なんだか心が落ち着かない。頭がモヤモヤしている……。そんな朝には、思考や感情を紙に書き出し整理してみましょう。「朝イチ業務改革コンサルタント」の池田千恵氏は、以下に挙げる5つの項目を、週に1度ほど書き出すことをすすめています。

  • 締切が近い課題は何か?
  • 読むべき・読みたい本や資料は何か?
  • 連絡しないといけない人はいないか?
  • やりかけたままの計画はないか?
  • 手つかずの目標や夢はないか?

いますべきことは何か、将来に向けてどう準備すべきかなど、大局的に把握できます。思考や感情を整理する手段としては、思いつくままに言葉を書き出す「ジャーナリング」もおすすめです。詳しくは「頭に浮かぶことを “紙に書く習慣” 始めませんか? 科学的に証明された『ジャーナリング』のすごさ。」をご参照ください。

重要な仕事や作業に取り組む

朝は脳がフレッシュな状態で、邪魔が入りにくいため、何かに集中するには最適の時間帯です。以下のように集中力・創造力を要するタスク、特に重要性が高いタスクは、朝の時間帯に回しましょう。

「朝に30分だけ作業する」というモーニングルーティンを続ければ、大きな成果を得られます。

社会人・学生向け理想的モーニングルーティン9選

モーニングルーティンをさらに学ぶ本

モーニングルーティンについてもっと詳しく知りたい方は、以下の本も参考にしてみてください。

『ストレスが消える朝1分の習慣』

精神科医の西多昌規氏による『ストレスが消える朝1分の習慣』。医学的な知見に基づき、心身のコンディションを整えるモーニングルーティンの具体例を紹介してくれます。この記事で紹介した以外にも、

  • 冷水で顔を洗う
  • 鏡の前でつくり笑いをする
  • 通勤電車で音楽やラジオを聴く

などの簡単なルーティンが多数掲載されているので、朝の習慣を改善したいならまず手に取ってみてください。

ストレスが消える朝1分の習慣

ストレスが消える朝1分の習慣

  • 作者:西多昌規
  • フォレスト出版
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『脳を最高に活かせる人の朝時間』

脳科学者・茂木健一郎氏が合理的な朝の過ごし方を解説する『脳を最高に活かせる人の朝時間』。身体的な刺激によって脳を活性化させるテクニックや、

  • 達成感を積み上げる
  • ポジティブな言葉を発する
  • 「歩行禅」を行なう
  • 「好奇心のサイクル」を回し、やる気を高める

など、精神的なアプローチも多く紹介されています。

『朝1時間ですべてが変わる モーニングルーティン』

「朝イチ業務改革コンサルタント」・池田千恵氏による『朝1時間ですべてが変わる モーニングルーティン』。池田氏によると、朝の1時間は「将来への種まきの時間」なのだとか。この時間を活用すれば、あらゆる悩みや問題が解決できるそうです。

具体的には、朝1時間のうち30分を「その日の計画」に、残り30分を「将来に向けた計画・活動」に当てます。『朝1時間ですべてが変わる モーニングルーティン』は、その詳しいやり方を解説してくれるほか、以下のような基本テクニックも教えてくれますよ。

  • 早起きのコツ
  • 朝活を継続するコツ
  • 朝の1時間を捻出するコツ

モーニングルーティンや朝活を始めたい方にぴったりの入門書です。

***
どんなモーニングルーティンをするか迷っている方は、ご紹介したものをぜひ実践してみてください。

(参考)
THE21オンライン|「朝の3時間」は、最速で仕事がはかどるゴールデンタイム
Precious.jp|生涯現役の頭を手に入れる!簡単で続けられる「脳を老化させない朝習慣」5選
NewsPicks|脳科学的に考える、朝を最強にする方法
WIRED.jp|水を飲むと脳が活性化する:研究結果
mi-mollet|名医が教える「朝、1杯の水を飲む」だけで健康でいられる理由
Precious.jp|「朝型が得する4つの理由」を、時間術に詳しい精神科医の先生に聞いた!
すやすや部|毎日を充実させる睡眠の法則5
BEST TiMES|「朝散歩」が健康に役立つ最強ルーティンの理由
東洋経済オンライン|うつが「すぐ治る人」「重症化する人」の決定的差
大塚製薬|朝食の質で脳活動が変わる(東北大学 川島隆太教授と大塚製薬 佐賀栄養製品研究所の共同研究)
農林水産省|農林水産省/朝ごはんを食べないと?
東洋経済オンライン|「朝食メニューと成績」の意外に密接な関係
リバーシティクリニック東京|低GI値の食品がおススメ
サーブコープブログ|【管理栄養士監修】ハイパフォーマンスを出したい時に意識したい、栄養素と朝食メニュー
ITmedia ビジネスオンライン|朝食を抜きがちなビジネスパーソンに残された最終手段「だけ朝食」とは?
西多昌規(2015), 『ストレスが消える朝1分の習慣』, フォレスト出版.
新R25|朝「よし!始めよう」と声に出すだけで、仕事スイッチが入る科学的な理由
池田千恵(2016), 『朝の余白で人生を変える』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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