
仕事、勉強、プライベートと膨大なタスクを抱え、心配事もたくさんある。モヤモヤしたままあれもこれもやろうとして、目の前のことに集中できないーー忙しいビジネスパーソンは、こうした状況に陥りがちだと思います。
この状況を改善するには、ノートを使って考え事を整理する方法がおすすめです。
この記事では、タスクや心配事を効率的に書き出せる「バレットジャーナル」というノート術をご紹介します。「バレットジャーナル」で頭のなかを整理し集中力を高め、日々のパフォーマンス向上を目指しましょう。
心配事を手放せば、集中力を有効に使える
「わざわざ心配事を書き出す必要はあるのか」「集中力と関係があるのか」と感じる人もいるでしょう。
しかし、人は誰でも、一日中集中し続けることはできません。集中力が限られているからこそ、注意を向ける先を厳選する必要があります。そのために、「書き出す」ことが有効なのです。
習慣化コンサルタントの古川武士氏は「『書く』ことの大きな効果は、『思考を整理できて、やるべきことが明確になる』点にある」と述べています。*1
つまり、 書いて可視化することで、「すぐにやるべきこと」と「後回しにできること」がわかりやすくなるのです。「やるべきこと」に焦点を絞れば、限りある集中力を有効に使えるでしょう。
さらに、学習コンサルタントでトレスペクト教育研究所代表の宇都出雅巳氏は「注意力を支配している心配事や関心事を書き出すことで、それらを手放すことができる」と言います。*2
書いて心配事を手放すことで、注意力の無駄遣いを減らすことができるわけです。
バレットジャーナルで「いまやるべきこと」を明確にする
バレットジャーナルは、デジタルプロダクト・デザイナーのライダー・キャロル氏が2013年に考案したノート術です。
バレットジャーナルは次の4つの基本の要素で構成されます。
インデックス(目次):各ログのページ番号
フューチャーログ:1年の予定
マンスリーログ:1か月分のカレンダーとタスク
デイリーログ:日々の予定、タスク、メモ
これらの内容を「ラピッドロギング」と呼ばれる箇条書きで記録します。たとえば、以下のような記号を使って箇条書きをしていきます。
- 予定「〇」
- タスク→「・」
- メモ→「-」
このような記号を使って、予定やメモを見分けたり、タスクを管理することができます。*3をもとに筆者がまとめた
つまりバレットジャーナルは、予定、タスク、メモなどを一冊のノートで管理できるノート術なのです。頭に浮かんだことはなんでも書いてよく、箇条書きなので時間もかかりません。さらに長期・短期どちらの予定も管理できるため「いまやるべきこと」を明らかにしやすいはずです。
バレットジャーナルの始め方
まず始めに、バレットジャーナルの最初のページに、ログ名とページ番号を記してインデックス(目次)をつくります。
使用するノートに指定はないため、筆者はバイブルサイズのシステム手帳を使っています。線を引いたり文字を書いたりしやすいよう、方眼紙を選びました。

また、バレットジャーナルではさまざまな記号を使って箇条書きをするため、同じページに記号の意味も書いておくと便利です。完成したページは、以下のとおり。

長期/短期タスクを可視化するフューチャーログとマンスリーログ
続いて、タスクを書き出して可視化します。
長期タスクは、見開き1ページを使ってフューチャーログをつくりましょう。
予定は「○」、タスクは「・」で箇条書きにしながら、年間のスケジュールを書いていきます。予定の決まっていない月は空白で構いません。終わったものには「×」をつけました。

短期のタスクは、月ごとのマンスリーログに書き出します。キャロル氏が発案した方法では「左のページはカレンダー ページ、右のページはタスク ページ」と見開きで使いますが、筆者はここをシンプルにマンスリーログだけ書いています。

フューチャーログとマンスリーログのカレンダー部分にタスクを書くので、右ページのタスクは丸ごと省略。自分の書きやすいようにアレンジして大丈夫です。
これで予定やタスクが明確になり、「いまやるべきこと」がわかりやすくなりました。

バレットジャーナルで「心配事」を手放す
さらに、バレットジャーナルで心配事を手放していきます。
日々の心配事をリリースするデイリーログ
日々の細々としたタスクや心配事は、デイリーログに記録します。日付を書いたら、頭のなかの心配事を思いつく限り書いていきます。
筆者の場合は、その日の仕事が終わったタイミングで翌日に向けて書き出していますが、特に決まりはないため寝る前や仕事を始める前に書いてもいいでしょう。
こちらも、完了したタスクには「×」を書いています。翌日以降に移動したものは「>」です。

以上、実践の画像はすべて筆者が作成した
バレットジャーナルの効果とポイント
ここからは、バレットジャーナルで「やること」を明確にし心配事を手放して実感した効果と、実践のポイントをお伝えします。
集中力を有効に使えるようになった
これまで、仕事中に別のタスクが気になって中断してしまい、多くの作業が中途半端になりがちだった筆者。しかし、バレットジャーナルでタスクやメモを書き出すようになってから、目の前のことに集中できるようになりました。
特に強く実感しているのは、前出の宇都出氏が述べている「書き出すことで手放す」という効果です。筆者は心配事があるとグルグルと考え続けてしまう性格ですが、書き出すことで思考に区切りをつけられるようになりました。
たとえば、「執筆」「画像」とタスクをバレットジャーナルに書き出すようにしてからは、余計な心配が減りました。長々と文章で書くのではなく、箇条書きで簡潔に書くことで思考も整理され「モヤモヤと考えるほどのことではない」と割り切れるようになったのです。
心配事を手放せれば、完璧に書く必要はない
これからバレットジャーナルを始めたい方にお伝えしたいポイントは、完璧にやらないことです。バレットジャーナルはフューチャーログやマンスリーログなど複数の要素があるため、すべてを毎日チェックして管理するのは難しいと思います。
筆者の場合、デイリーログは毎日、フューチャーログとマンスリーログは月1回の更新と決めています。このように自分に合わせてカスタマイズできる柔軟さが、バレットジャーナルの大きな特徴です。自分に合ったペースで、無理なくバレットジャーナルを活用してください。

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バレットジャーナルは、単なるスケジュール帳の役割だけでなく、思考整理や集中力アップの効果もあわせもつノート術です。タスクや心配事が多すぎて頭がいっぱいになりがちな人は、ぜひ「書いて手放す」方法を実践してみてください。
※引用の太字は編集部が施した
*1 StudyHacker|「紙に書き出して」思考することの最大メリット。 “頭のなか” だけではゴールにたどり着けない
*2 東洋経済オンライン|ミスの多い人がわかっていない集中力の本質
*3 BULLET JOURNAL|New to Bullet Journal? Start here!
藤真唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。