読書を習慣にしたいのに、なかなかできない……。このようにお悩みの方はいないでしょうか。
集中力が高まる、創造力が鍛えられる、ストレスが軽減されるなど、読書には様々なメリットがあります。またビジネスの世界で重要視される「アウトプット」の材料を仕入れられるという観点から見ても、知識やアイデアの源泉となる読書は必要不可欠。こういった効果を最大限享受するためにも、ぜひ読書は習慣としておきたいものですよね。
そこで今回は、全く読書習慣がなかった状態から年間150冊を安定して読めるようになった筆者自身の体験も交えながら、読書を習慣化するためのコツやポイントについてお伝えいたします。
- 習慣化の第一歩は “明確なルール決め” から
- スキマ時間を活用するポイント
- 無理なく習慣化しつつ、読書を価値あるものにするために
- 習慣化には、夜ではなく朝がおすすめ
- 読書習慣なし → 年間150冊の読書量へ
習慣化の第一歩は “明確なルール決め” から
「読書を習慣にしたい」 ただ漠然とこう思っているだけでは、それはいつまでも願望のままです。本当に習慣化したいのでしたら、まずはそのための戦略を練る必要があります。実際、将来の行動に対して曖昧な計画しか立てなかった人に比べ、詳細な計画を立てた人のほうが、実行に至る確率が2倍から3倍も高かったという研究結果が出ています。
そこで読書を習慣化するために、「週に3冊読む」といった成果に基づいた目標ではなく、「いつ、どこで、どうするか」という明確なルールを具体的なレベルにまで落としこんで設定するところから始めましょう。ちなみに筆者のルールは以下の通りです。
(スキマ時間を活用するために) 1. 仕事に向かう電車内ではビジネス書を読む 2. 仕事から帰る電車内では気分に応じて好きな本を読む
(もっと読書時間を確保するために) 3. 朝は6時に起床して30分間の読書時間を設ける
(確実に習慣化するために) 4. 夜は(もちろん読書をしてもかまわないが)習慣化のためのルールは特に設けない
スキマ時間を活用するポイント
通勤や通学で電車を利用している方であれば、電車に乗っている時間はまさにスキマ時間。ここはぜひとも有効活用したいものですよね。とはいえ、例えば「電車の中ではとりあえずスマートフォンを手に取ってしまう」といった癖がついてしまっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、習慣化を妨害する行動を起こしづらくするために、それを実行するためのハードルを意図的に高くしておきましょう。具体的には、スマートフォンの場合でしたら「手軽に取り出せる洋服のポケットではなく鞄の奥底にしまう」「電車に乗る前に電源を切っておく」といった具合です。スマートフォンの存在をあらかじめ遠ざけておくことで、新しい読書習慣を導入しやすくなりますよ。
無理なく習慣化しつつ、読書を価値あるものにするために
筆者が朝の電車内でビジネス書を読むようにしているのは、夜にビジネス書を読むのに比べて、読んだ内容を実践につなげやすいからです。
特にビジネス書や自己啓発書の場合、ただ読むことだけが目標になってはいけません。書かれている内容を実際の仕事や生活に取り入れてこそ価値が出るのではないでしょうか。
株式会社朝6時 代表取締役社長の池田千恵氏も、朝に読書をすることのメリットとして「読んだことをすぐ試せる」としています。
夜、本を読んでいて、「なるほど。試してみよう」と思っても、ひと晩寝ると何を試すのかを忘れてしまうことはないでしょうか。(中略)朝時間で読書をすると、「試してみよう!」と思ったことは、その日のうちにすぐ実践できます。
(引用元:東洋経済オンライン|「だらだら過ごす夜」の罪悪感と決別する方法)
一方で、帰りの電車内では「気分に応じて好きな本を読んでもよい」としたのは、1日の仕事を終えて心身がそれなりに疲れている状況でも無理なく読書に取り組めるように、心理的なハードルを下げる意図があります。
習慣化しようと自分を厳しく律するあまり途中で挫折してしまっては元も子もありません。そこで気分によって読む本を変えられるように、常に複数の本を持ち歩いて選択肢をあえて広げてあげたのです。
紙の書籍の場合は複数冊を持ち歩かなければいけないため荷物がかさばってしまうのが少々難点ですが、電子書籍リーダーをお持ちの方であれば取り組みやすいはず。帰りの電車では「とにかく何でもいいから本を読む」、これぐらいの心意気で読書に取り組んでみてはいかがでしょうか。
習慣化には、夜ではなく朝がおすすめ
筆者が夜ではなく早朝に読書習慣を設けているのにも明確な理由があります。
そもそも夜は何かと調子が狂いやすいもの。仕事が長引いて帰りが遅くなったり、飲み会があって酔った状態で帰ってきたりと、時間や体調といった面で毎日を同じように維持しづらいため、習慣化の枷となってしまいます。そこで夜には(もちろん読書をするのはかまいませんが)習慣化のためのルールはあえて設けず、代わりに朝に読書時間を充てることにしたのです。
朝は仕事の連絡も来ませんから誰にも邪魔されませんし、「脳のゴールデンタイム」と呼ばれている通り、脳が活性化され集中力が高まる時間帯でもあります。まさに読書には打ってつけと言えるでしょう。
ここでのポイントは、本を読む環境を前日の夜にうちに整えておくこと。いつもリビングで本を読む方であればテーブルの上に置いておいたり、ベッドで読む方であれば枕元に用意しておいたり。いざ実行しようとした際の手間を排除して行動のハードルを徹底的に下げてあげることが、習慣化への鍵となるのです。
読書習慣なし → 年間150冊の読書量へ
筆者はもともと本を全く読まない人間でしたが、手始めに1と2の「電車内での読書」を習慣づけたことがきっかけで朝読書にも目覚め、ここ数年は仕事をしながらも年間150冊の読書量を維持することができています。また併せて「読書メーター」というアプリを使って自分の読書記録をつけているのですが、読んだ本の冊数が確実に積み上がっていく感覚も、今では読書習慣の立派なモチベーションになっていると言えるでしょう。
これは読書に限った話ではありませんが、何かを習慣化しようと思ったら、 ・具体的な行動レベルで明確なルールを決める ・習慣化を妨害する行動のハードルは意図的に上げる ・習慣化したい行動のハードルはできる限り下げる といった戦略をとることが重要です。
この記事でご紹介した方法を取り入れて、ぜひ読書の習慣に身につけていきましょう。
JAMES CLEAR|The Scientific Argument for Mastering One Thing at a Time Wikipedia|恒常性 東洋経済オンライン|「だらだら過ごす夜」の罪悪感と決別する方法 茂木健一郎 著 (2013),『脳を最高に活かせる人の朝時間 頭も心もポジティブに』, すばる舎. ITmedia エグゼクティブ|習慣づくりに必要なのは「具体化」と「行動のコントロール」
STUDY HACKER 編集部
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