深く考えられないのは、思考が偏っているから。たった2つの “魔法の言葉” で「思考のバランス」を手に入れる。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

(引用元|Japanist|日本人として覚えておきたい ちからのある言葉

これは貧しい人々のために行動し続けた、マザーテレサの言葉です。

彼女の言う通り、思考は私たちの原点であり、優れた思考力の持ち主は何をしても優秀です。言葉の選び方や気の使い方から、思考の深さがにじみ出ている。同じ時間、同じ環境、同じ情報を与えられているはずなのに、導き出される問題の解答は自分よりも早く、そして正確。あなたも、そのような人をみたことはありませんか?

優れた思考力に憧れはしますが、思考を変えるのは大変そうですよね。しかし、自分の思考の偏りを知れば、優れた思考に近づくことができるのだそう。そこで今回は、私たちの思考について考えてみます。

優秀な人は抽象的思考と具体的思考のバランスがよい

「思考」と一言にいっても、私たちには大きく2種類の思考があるということをご存知でしょうか? 1つは抽象的思考で、もう1つは具体的思考と呼ばれます。

抽象的思考というのは、物事を1つの概念としてまとめる思考のこと。例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、モモ、ナシという5つの単語があったとき、「これらは全て果物である」とする思考が、物事の本質を捉えるために必要な抽象的思考です。

具体的思考というのは、抽象的思考の逆で、1つの概念から例を考える思考のこと。「果物というのは、例えば、リンゴ、ブドウだ」という考え方で、実際に行動を起こすために必要です。

深く思考できないのは思考に偏りがあるから

抽象的思考と具体的思考は、どちらが優れているということはありません。深い考えを持てるような優秀な人は、これらの思考をバランスよく切り替えられるのだそう。一橋大学院教授の楠木建さんは、優れた経営者は2つの思考に優れていると、ファーストリテイリング社長の柳井正さんを紹介しています。

柳井さんの思考は目の前でおこっている具体的な物事と抽象的な原理原則の体系と常時いったりきたりしているのである。この具体と抽象の振幅の幅がとんでもなく大きい。振幅の頻度が高く、脳内往復運動のスピードが極めて速い。戦略ストーリーを構築する経営者の能力は、どれだけ大きな幅で、どれだけ高頻度で、どれだけ速いスピートで具体と抽象を行き来できるかで決まる。

(引用元:PRESIDENT Online|『一勝九敗』

したがって、私たちが深く考えることができないのは、私たちの思考にどちらかの思考がたりないからなのです。

例えば、仕事は一つ一つこなせるけれど、その仕事がプロジェクトのどのあたりに位置しているのかがイメージできないという方は具体的思考に偏っていると考えられます。逆に、プロジェクトの完成像はすぐにイメージできるのに、何をすべきかうまくイメージできないという方は抽象的思考に偏っていると言えるでしょう。

思考モデルで自分の思考のクセを知ろう

もっとはっきりと自分の思考のクセを知りたいという方は、トライアングルコミュニケーションモデルという思考モデルを試してみてはいかがでしょうか。トライアングルコミュニケーションモデルでは、名前の通り、三角形のチャートを用いて思考をします。

このチャートには簡単なルールがあって、三角形の中心に考えるテーマを書き、そこを中心に、上の方向にはテーマに関する抽象的な内容(目的や意味、本当に大切なこと)、下の方向にはテーマに関する具体的な内容(いわゆる4W1H的な)について考え、書き出します。

(引用元:オルタナティブブログ|抽象化思考と具体化思考―今までにない発想の広げ方

実際に書いてみると、このようになります。

TCM

このチャートを書いた際、三角形の上のほうがよく書けるという方は、抽象的思考が得意だということになります。逆に、三角形の下のほうがよく書けるという方は、具体的思考が得意だということになります。

キーワードは「一言でいうと?」と「具体的には?」

自分の思考のクセが分かったところで、どのようにしてこの思考の偏りを直していけばよいのでしょうか? おすすめなのは、抽象的思考や具体的思考へ誘導するキーワードを用いること。

株式会社電通に勤め、「『言葉にできる』は武器になる。」の著者である梅田 悟司さんは「考えているのではない。『内なる言葉』を発しているのだ」と述べています。

「内なる言葉」とは、日常のコミュニケーションで用いる言葉とは別物であり、無意識のうちに頭に浮かぶ感情や、自分自身と会話をすることで考えを深めるために用いている言葉のことです。頭に浮かぶあらゆる感情や考えは、この「内なる言葉」によってもたらされていると言っても過言ではありません。

(引用元:伝通報|考えているのではない。「内なる言葉」を発しているのだ。

したがって、キーワードを用いることで思考を制御しやすくなると考えられるのです。そこで、具体的思考が得意な方は「一言でいうと?」という言葉を意識してみましょう。

例えば、仕事の進捗状況を確認するときは、「会議に使う資料が半分ほど完成した。会議を開く旨を伝えるメールはもう送った。明日上司と打ち合わせを行うアポイントはとった」と個別の仕事を確認することに加えて、「一言でいうと、全体の何割の仕事は終わっただろうか?」ということを考えてみるのです。

そうすることで、仕事の全体像を把握でき、「このままいくと期限ぎりぎりになるな」「時間には少し余裕があるから、もう少しクオリティを上げてみよう」など、一歩踏み込んだ考えが持てるようになります。

また、抽象的思考が得意な方は「具体的には?」という言葉を意識するとよいでしょう。

例えば、定時で仕事をすべて終えたいときは、やるべき仕事を把握するだけではなく、「今日のToDoをすべて終えるには、具体的にどのようにすればよいだろうか?」「具体的に、どの仕事にどれだけの時間を費やすことになるだろうか?」といったことを考えてみてください。こうすることによって、「考えていた計画には少し無理があったな」「かなり集中して仕事しないと時間内に終わらないな」など、より現実に即した思考ができるようになります。

*** 思考力を鍛えたいと思っている方はまず、自分の思考の偏りを知るところから始めてみましょう。その上で苦手な方の思考を鍛えれば、あなたの思考は飛躍的に向上するはずです。 ぜひ試してみてくださいね。

(参考) Japanist|日本人として覚えておきたい ちからのある言葉 PRESIDENT Online|『一勝九敗』 オルタナティブブログ|抽象化思考と具体化思考―今までにない発想の広げ方 伝通報|考えているのではない。「内なる言葉」を発しているのだ。 第50回大阪教育大学国語教育学会|大会テーマ 子どもの語彙力を伸ばす― 国語科の役割と可能性 ―

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