「東大読書」と「京大読書」を比べてみたら、本の “読み方” と “選び方” が真逆だった。

「東大生や京大生がやっている読書術」と聞いたら、効果がありそうで実践してみたい気がしませんか? 世の中に読書術は数あれど、日本最高峰の頭脳をもつ東大生・京大生の読書術なら、やってみて間違いはないはず。

そこで今回は、東大式の読書術と京大式の読書術を徹底調査しました。両者の読書法の間にはどんな共通点や相違点があるのか、そして、どういう場合にどちらの読書法を参考にすればいいのか、考えていきたいと思います。

東大読書・京大読書の実践者たち

はじめに、東大読書と京大読書の代表的な実践者をご紹介しましょう。

まず東大読書のほうは、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』の著者である西岡壱誠氏。高校3年生時点で偏差値35だったにもかかわらず、二浪目中に読書法を一変させて知識の身につけ方を変えたことにより見事東大文科二類に合格した、いわば東大読書術の体現者です。2018年度時点で東大3年生の西岡氏は、現在学内書評誌『ひろば』の編集長、人気漫画『ドラゴン桜2』に情報提供を行う東大生チーム「東龍門」のプロジェクトリーダーを務めるほか、勉強法にまつわる多くの著書があります。

一方の京大読書は、『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」』の著者である粂原圭太郎氏。自身で学んだ勉強法を活かして高校時代に最高偏差値95を出し、京大経済学部に首席合格を果たしたという驚異の合格エピソードをお持ちの方です。粂原氏は2014年度に京大を卒業後、現在は「勉強革命.com」を運営し、オンライン学習指導塾「粂原学園」の代表として全国の受験生を指導しています。

以下、東大式の読書法を「東大読書」、京大式の読書法を「京大読書」として、ご紹介していきます。

東大読書と京大読書の共通点

ではここからは、西岡氏と粂原氏の著作を読み解きながら、東大読書と京大読書の詳しい内容を紹介していきましょう。まずは、両校の読書術の共通点についてまとめます。ポイントは主に以下の3つです。

東大読書・京大読書の共通点 1. 読む前に目標を決める。 2. 内容を鵜呑みにせず、常に疑問を持つ。 3. 感想をアウトプットする。

共通点1. 読む前に目標を決める

東大読書を実践する西岡氏は、「目標・目標達成の道筋・現状」の3つを付箋に書いて本の見返しに貼っておくことを勧めています。また京大読書実践者の粂原氏は、ゴールを明確にしておくと達成のために効率的な読み方ができ、記憶の定着もよいと言います。

自分はこの本を読むことによってどんな知識を得たいのか、どのような疑問を解消したいのか――。こうした「読書の目標」をあらかじめ設定しておくと、自然と自分に必要な知識を探しながら読むことになります。東大生や京大生は、ただ漫然と読むのではなく、目標を意識して読書をしているのです。

共通点2. 内容を鵜呑みにせず、常に疑問を持つ

これは、東大の西岡氏が特に強く主張しているポイントです。西岡氏の読書のキーワードは「能動的に」。読者ではなく、「記者」になったつもりで本に質問や疑問をぶつけると、内容への理解が深まると同時に考える力も伸びるのだと言います。また、京大の粂原氏も、読書本来の効果は立ち止まって自分の頭で考えることによってこそ得られるものだとして、速読には警鐘を鳴らしています。東大生も京大生も、「考えながら読書する」ことを重視しているのですね。

共通点3. 感想をアウトプットする

両氏とも、本を読んだ後はSNSやノートに自分なりの感想を書くことを勧めています。その狙いは、共通点2で述べたことと同じ。本の内容を丸ごと受け入れるのではなく自分の頭でしっかり吟味し、考えたことをアウトプットすることにより、より深い理解が得られるのと同時に自らの考えも深まるのです。

この3点を通じて見えてくるのは、東大読書も京大読書も、自分から本へ積極的に働きかける能動的な読み方を重視しているということ。東大生や京大生は、本を読む目的を明らかにし、常に疑問を持ちながら読み、最後には感想をまとめるというステップを通じて、日ごろから読書の効果を最大限に得ているようです。

東大の学び方は「深く広く」、京大の学び方は「狭く深く」

東大と京大の読書術には上記のような共通点もあれば、もちろん大きく違う点もあります。その前提として、両校が重視する学び方に違いがあることを説明しておきましょう。

東大の西岡氏は知識のつけ方について「浅いよりも深いほうがよくて、狭いよりも広いほうがいい」と言います。一方粂原氏は、京大生は興味のある分野を深く追求する気質があり、狭くて深い」学び方をしていると断言。2校のアドミッション・ポリシーを比べても、主体性を重要視していることはどちらも同じですが、東大は「広い視野」、京大は「自由な発想」という言葉を繰り返し使って強調しています。このように、東大と京大が重んじる学び方には明確な違いがあるのです。

粂原氏は、その違いは両校の入試問題にも顕著に表れていると言います。

東大の入試問題は、分量が非常に多く、素早く処理をしていかなければなりません。一方、京大の入試では、単純な知識問題は少なく、時間をかけてじっくり考えなさいという問題が多く出題されます。

(引用元:粂原圭太郎(2019),『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」 仕事にも勉強にも必須な 「理解力」と「連想力」が劇的に身につく』,KADOKAWA.)

よく「東大生は官僚向き、京大生は研究者向き」と言いますが、まさにそうなのですね。東大では広い視野とバランス感覚、京大では自由な感性が重視されます。そしてこうした学び方の特徴は、読書術にも明確に表れています。

「1冊の読み方」に見る、東大読書と京大読書の違い

1冊の本を読む際の、東大読書と京大読書の違いを説明しましょう。

■ 東大読書流・1冊の読み方

西岡氏によると、東大読書では「マクロ視点」を重視するのだそう。文章全体の構成を把握しながら読むのが特徴で、西岡氏はその読み方を「整理読み」と名付けています。

「整理読み」とは、文章の中で筆者が伝えたい主張の部分と、その補足説明の部分を分け、主張に注目することでその本の中心的な主張を理解する、という読み方。主張と補足説明の構成には、以下のようにある程度型があるのだとか。知っておけば論理展開の理解がスムーズになりますね。

・「例示」最初に主張を言い、その例を出して補足説明をする。 ・「比較」2つの事物や考え方を比較する。大抵、2つ目が主張となる。 ・「追加」主張から新たな主張を展開していく。 ・「抽象化・一般化」具体的な説明をし、最後に抽象的な主張でまとめる。

また、西岡氏は読後の要約も勧めています。内容を短くひと言でまとめるには、いかに補足説明を削り主張を取り出せるかがカギ。その本の核となる主張を理解するために、整理読みをすることはとても大切なのです。

■ 京大読書流・1冊の読み方

一方、粂原氏の京大読書では、「have to(しなければならない)」ではなく「want to(したい)」を重視します。1冊の本を読む際、本のジャンルや読む目的によって、全部読み通したり、必要なポイントだけを拾ってあとは読み飛ばしたりと読み方を変えるのです。

例えば、何か得たい情報があって専門書を読む時は、その情報が得られそうな箇所だけ抜き出して読んでもいいでしょう。それに対して、もちろん小説は全体で一つの作品なので、全部読み通します。

粂原氏はこのように言います。

本を読破することに意味があるのではなく、自分に必要な知識を血肉にすることが重要なのではないでしょうか。 (中略) 今はこの部分だけが必要だけど、1年後には同じ本でも違った部分が必要になるかもしれません。そのときに、その部分を読めばいいだけです。

(引用元:同上)

京大読書が重視するのは、自分が今何に興味があり、どんな知識を求めているのかということ。粂原氏は「本は楽しんで読むものだ」と言っていますが、まさにその通りでしょう。楽しめなければ、読書が苦痛になってしまいますからね。

「本の選び方」に見る、東大読書と京大読書の違い

2校の違いは、選書法にも表れます。詳しく紹介しましょう。

■ 東大読書流・本の選び方

東大読書では、何を読めばいいかわからなかったらまずベストセラーを選ぶことを勧めています。ベストセラーは必ずしも良い本とは限りませんが、多くの人に読まれるにはそれなりの理由があります。西岡氏によると、ベストセラーは少なくとも毒か薬にはなるので、一読の価値があるのです。

また西岡氏は、本選びについてこう言っています。

「食べず嫌い」だと栄養が偏ってしまうのと同様に、「読まず嫌い」だと読書が偏ってしまいます。「自分にとって読みやすい本」ばかりを読んでいると、知識が偏ってしまいがちなのです。

(引用元:西岡壱誠(2018),『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』,東洋経済新報社.)

知らない分野・苦手意識のあるジャンルでも幅広く読み、様々な知識を身につけるのが東大読書なのですね。

■ 京大読書流・本の選び方

対する京大読書は、ベストセラーは本選びに無関係だと言います。京大読書ではここでもやはり「自分が何を読みたいか」を最優先します。粂原氏は、帯や目次を見てピンとこない本は読まないそうですよ。

粂原氏はこう言います。

自分の感性に任せて本を選ぶことがいいのかなと思います。 「本選びにルールはない」ということも、一つ心に留めておいてください。

(引用元:粂原圭太郎(2019),『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」 仕事にも勉強にも必須な 「理解力」と「連想力」が劇的に身につく』,KADOKAWA.)

自分の興味が赴くままに、狭く深く楽しんで本を読むのが、京大読書なのです。

東大読書・京大読書を使い分けよう

では私たちは、どんな場合にどちらの読書術を実践すればいいのでしょうか?

■ こんな人には東大読書がおすすめ!

東大読書では、より体系的で広い視野の知識を得られます。したがって、ある程度広い領域の知識をつけたい、また複数の分野の関連性を見たい人などには、東大読書がおすすめです。東大読書を実践すれば、広い知識だけでなく、「マクロ視点」が身につくはずですよ。定まったルールに沿って読んでいき、時には苦手な分野にも踏み込むので、決まった作業や努力が苦にならない人は、特に東大読書が肌に合うと思います。

■ こんな人には京大読書がおすすめ!

一方、京大読書の大前提は、楽しんで読むこと。ですので、現状で読書に苦手意識があり、これから読書を楽しめるようになりたい人には、京大読書がおすすめです。もちろん、自分の興味の方向が定まっていて「狭く深く」読書をしたい人にもうってつけでしょう。本の読み方にあまりかっちりとしたルールがなく、最終的には読者自身に委ねられるのが京大読書の特徴です。自由や創造性を重んじる人は京大読書が合うと思います。

*** 東大読書を紹介する西岡氏の著作の「おわりに」は、こう締めくくられています

変わらなければいけないのは、「読み手」のほう。本を読む側の人間が変われば、本を読む姿勢が変われば、「読書術」が変われば、あなたが読む本はきっと「いい本」になるはずです。

(引用元:西岡壱誠(2018),『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』,東洋経済新報社.)

どのような本であれ、読み方次第で自分にとって有益な本になり得るのだということ。読まず嫌いをしないことの大切さがよくわかりますね。

一方、京大読書を紹介する粂原氏の著作の「おわりに」はこうです。

本書では、「読書術」と題してさまざまな方法を紹介しました。 どれも僕が実践しているものばかりです。 その中でも特に大切だなと実感したのは、やはりなんでも「楽しく面白く」ということだと思います。

(引用元:粂原圭太郎(2019),『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」 仕事にも勉強にも必須な 「理解力」と「連想力」が劇的に身につく』,KADOKAWA.)

「本は楽しんで読むものだ」。これが、京大読書における最重要事項なのですね。

共通点もありつつ、真逆な面もある東大読書と京大読書。今の自分を変えて視野を広げる東大読書と、今の自分の感性を信じて突き進む京大読書、あなたはどちらを試したいですか?

(参考) 西岡壱誠(2018),『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』,東洋経済新報社. STUDY HACKER|偏差値35から “読書で” 東大合格! 最強の『東大読書』の真髄を探る。 STUDY HACKER|「身にならない読書」してませんか? 『“東大式” 選書法&読書法』で読書の質は劇的に上がる。 粂原圭太郎(2019),『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」 仕事にも勉強にも必須な 「理解力」と「連想力」が劇的に身につく』,KADOKAWA. 東京大学|東京大学アドミッション・ポリシー 京都大学|京都大学入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

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