良い行動や考え方を習慣化できれば、人生をもっと良く変えられるのに。そう思っていても、悪い習慣を脱して良い習慣を身につけるのは、なかなか難しいものですよね。今回は、人生を輝かせてくれる習慣化のコツをご紹介します。
- 習慣化とは
- 習慣化のコツ
- 習慣化に失敗する理由
- 習慣化したいことを決めよう
- 読書・勉強を習慣化する方法
- ダイエット・運動を習慣化するコツ
- 早起きを習慣化するコツ
- 掃除・片づけを習慣化するコツ
- 習慣化に役立つアプリ
- 習慣化に関する本
習慣化とは
習慣化とは、歯磨きのように、意志の力を使わず無意識に繰り返し行動している状態のこと。『30日で新しい自分を手に入れる「習慣化」ワークブック』の著者で習慣化コンサルタントの古川武士氏(習慣化コンサルティング株式会社代表取締役)は、習慣化を次のように定義しています。
習慣化とは、行動や思考を無意識的に繰り返す状態になることと定義しています。
(引用元:Study Hacker|習慣にもタイプがある——人生を変える習慣化にある「3つの次元」とは?)
たとえ朝5時起きの習慣を身につけようと決意しても、やる気のみに頼ってしまうと、つい「今日は気分が乗らないからやめよう」などと考えてしまい、継続するのは難しいもの。しかし、いったん習慣化してしまえば、やる気がなくても行動を継続することができるのです。まずは、習慣化のメリットを詳しく説明します。
習慣化のメリット1:幸福度が上がる
習慣化は、幸福度を上げることにつながります。古川氏によると、習慣は、心の豊かさを高める「ポジティブ心理学」の「幸福の公式」と関係があるのだそう。「幸福の公式」は次の通りです。
幸福(Happiness)= 規定値(Set point)+ 生活状態(Condition of living)+ 自発的活動(Voluntary Activities)
(引用元:Study Hacker|「幸せの90%は『習慣』で決まる」という新常識。ポジティブ心理学が人生を変える!)
古川氏によれば、「規定値」とは思考習慣、「自発的活動」は行動習慣を指すのだそう。幸福度への影響力は、規定値(思考習慣)が40%、生活状態が10%、自発的活動(行動習慣)が50%とのこと。
思考習慣と行動習慣を合わせると、幸福度全体の9割にもなりますね。つまり、良い習慣を身につけることで心が豊かになり、幸福度を上げられるというわけです。
習慣化のメリット2:仕事力が上がる
習慣化は、ウィルパワーを節約することにもつながります。ウィルパワーとは、集中力を維持するために思考や感情をコントロールする力。意思決定をするごとに消耗していきます。仕事のやり方を習慣化し、意思決定の機会を減らせば、ウィルパワーを節約できます。すると、本当に必要な機会までウィルパワーを保て、大事な仕事に集中できるのです。
また、習慣化は、仕事を継続するうえで大切な健康維持にも役立ちます。退社時間を決めて自由な時間を持つ・睡眠時間を増やす・軽い運動を取り入れるなど、心身の健康に良い習慣を身につけることでストレスが軽減されれば、仕事のパフォーマンスを上げることができるでしょう。
習慣化のメリット3:面倒なことでも継続できる
習慣化の最大のメリットは、面倒な物事でも楽に継続できることです。たとえば、早起きが苦手でも、起床時間や目覚めてからの行動を決めてルーティン化すれば、「どうしよう」「何をしよう」と悩まず、すぐに行動できますよね。脳科学者の茂木健一郎氏は、やる気を出して習慣化するのではなく、むしろ、やる気がないから習慣化が大事なのだと語っています。
朝型を習慣化するには、やる気が必要なのだと思っているかもしれませんが、習慣にやる気って必要ないんですよ。(中略)そうではなく、やる気がなくてもやれるように習慣化することが大事なのです。
(引用元:THE 21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方)
習慣化に成功すれば、幸福度や仕事力が上がり面倒なことでも持続できるなど、さまざまなメリットがあるのです。
習慣化のコツ
メリットだらけの習慣化。では、どうすれば習慣化が可能となるのでしょうか? 習慣化を成功させるコツをご紹介します。
習慣化に必要な期間を知る
特定の行動を新たな習慣として定着させるには、どれくらいの期間が必要なのでしょうか? 古川氏は、著書『30日で人生を変える「続ける」習慣』の中で、習慣化に必要な期間の目安を、習慣のレベル別に紹介しています。
- レベル1 行動習慣(勉強・日記・片づけなど):1か月
- レベル2 身体習慣(ダイエット・運動・早起き・禁煙など):3か月
- レベル3 思考習慣(論理的思考力・発想力・ストレス発散思考など):6か月
このように、習慣化に必要な期間は習慣の内容によって異なります。上記の目安を参考にしつつ、「もう少しで習慣化できそうだ」と、継続を頑張ってみてはいかがでしょう?
小さな習慣から始める
新しい習慣を身につけたいなら、まずはシンプルで小さな習慣を設定してみませんか? たとえば、「スクワットを毎日100回する」のように最初から大きすぎる習慣を設定してしまうと、始める前からやる気が失せてしまい、習慣化失敗の原因になりかねません。
ベストセラー『小さな習慣』の著者、S・ガイズ氏によると、習慣化を成功させる秘けつは「スクワットを毎日1回」など「小さすぎる目標を立てる」こと。まずは、小さい目標をクリアして、成功体験を積み重ねていきましょう。
アクション・トリガーを設定する
習慣化を成功させるには、アクション・トリガーを設定することも有効です。アクション・トリガーとは、行動の引き金のこと。習慣化したいことについて、時間・場所・行動を具体的に決め、手帳などに書き出しておきます。
(例)
朝起きたら顔を洗う→屈伸を5回→ダイニングテーブルで30分間英語の勉強→朝食を食べる。
このように、いつ・どこで・何をするかが決まっていると、悩まずに行動できますよね。アクション・トリガーは、そのときの状況や感情に左右されず、困難な目標を習慣化するために、大変効果的な方法なのです。
ニューヨーク大学のP・ゴルヴィツァー教授とチューリッヒ大学のV・ブランドスタッター教授は、1997年に大学生を対象に行なった実験を紹介し、アクション・トリガーが習慣化に効果的であることを報告しています。「いつ・どこで・レポートを書くか」というアクション・トリガーを書き出したグループは、そうしなかったグループに比べ、課題の達成率が2~3倍にもなったそうです。
Study Hackerの記事「小さなことから着実に。3ステップの「習慣化計画」で続けられる人になる。」より、習慣化計画ワークシートを紹介しますので、アクション・トリガーを書き出す際の参考にしてみてください。
(画像引用元:Study Hacker|小さなことから着実に。3ステップの「習慣化計画」で続けられる人になる。)
習慣化したいことがあるのに、なかなか達成できずお困りなら、アクション・トリガーを決めてみてはいかがでしょう?
いつもの習慣につけ加える
すでに習慣化していることに、新しい習慣をつけ加える方法もおすすめですよ。南カリフォルニア大学教授のW・ウッド氏も、特定の状況下で繰り返される動作は継続しやすいことを指摘しています。
たとえば、毎日5分間のデスク掃除がすでに習慣化していたとすれば、そのあとに10分間読書する習慣を追加してみては? 掃除の仕上げに読む本をデスク上にセットしておけば、迷ったり考えたりする余地なく読書の態勢に入れますよね。
新しい習慣を身につけたいと思ったら、今ある習慣と合体させてみてはいかがでしょうか。
仲間と一緒に取り組む
仲間と一緒に取り組むのも、習慣化を成功させるには有効です。筑波大学大学院体育科学研究科の横山典子氏らは、「中高年の運動の習慣化」を目標とした自由参加の運動教室で、個人運動のみのグループと集団運動を取り入れたグループを比べ、習慣化について調査しました。その結果、集団運動を取り入れたグループのほうが、習慣化の成功率が高かったそうです。
もし、同じ習慣に取り組んでいる友だちがいたら、成果をLINEなどで報告し合ってモチベーションを高めてもよいですし、後述するアプリケーション「みんチャレ」で仲間を見つけ、一緒にチャレンジすることもできますよ。
以上、ご紹介した習慣化のコツを、目標に合わせ実践してみてくださいね。
習慣化に失敗する理由
習慣化が成功しやすくなるコツだけでなく、習慣化の失敗を招く原因も把握しておきましょう。何度チャレンジしても、なぜか習慣化に失敗してしまう……という人は必見です。
高すぎる目標を掲げている
習慣化の目標が高すぎるのは、失敗の原因。たとえば「腕立て伏せ100回」のように、いきなり高い目標を掲げてしまうと、失敗したときに自信を失って習慣の継続を諦めてしまう「どうにでもなれ効果(The what-the-hell effect)」が現れる危険があるのです。
「どうにでもなれ効果」とは、綿密に立てた計画が少しでも狂うと、自制心が効かなくなり、どんどん計画が崩れてしまう現象のこと。トロント大学の心理学者、J・ポリヴィ氏とC・P・ハーマン氏によって発表されました。京都大学こころの未来研究センター准教授の阿部修士氏は、「どうにでもなれ効果」を回避する方法について、ダイエットを例として次のように述べています。
短期的にあまり厳しいルールを自分に課すのではなく、長期的に、すなわち1度や2度の失敗には過度に反応せず、長い目でダイエットを成功させる、といった目標設定が重要となる
(引用元:阿部修士(2018),“より良い意思決定の実現に向けて:脳とこころの傾向と対策”,日本健康教育学会誌,第26巻,第4号,pp.404‐410.)
また、古川氏が指摘しているように、0か100かという完璧主義的な思考も、習慣化を妨げる原因として要注意です。腕立て伏せの目標を100回と定めていて達成できなかったら、たとえ毎日10回できていても、習慣化に失敗したと考えてしまうからです。たとえ100回という目標に至らなかったとしても、これまで0回だったものを10回にできたのですから、それはある程度の成功といえるのではないでしょうか?
「どうにでもなれ効果」や完璧主義的思考という、習慣化を阻む要因を回避するため、確実に成功できるくらいの小さな目標から始めてはいかがでしょう。
やる気に頼っている
習慣化には、まずやる気が必要だと考えることも、失敗の原因になります。何かを習慣化しようと決意して、「頑張らねば!」とやる気を出そうとしてしまいませんか?
習慣は、やる気があろうがあるまいが、何度も繰り返すことで身につきます。「やる気が出ないから、今日は歯磨きをやめよう」とはなりませんよね? ガイズ氏は、モチベーション頼みの危険性を次のように指摘しています。
行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。(中略)この考えが行き着く先は、怠け癖のサイクルでしかありません。
(引用元:スティーヴン・ガイズ著,田口未和訳(2017),『小さな習慣』,ダイヤモンド社.)
やる気に頼っていると、「今日はやる気がないからできないや」というように、「やる気」を習慣化失敗の言い訳にしてしまいがち。それに、「やる気を出すにはどうすればよいのだろう?」と、習慣化とは関係のないことについて悩み、時間を消費してしまいます。
習慣化に成功するには、やる気にかかわらず、動作の繰り返しを継続することが大切なのです。習慣化を成功させるのに、やる気は関係ありません。
脳は安定を好む
習慣化が失敗する理由のひとつには、安定を保とうとする脳の性質「ホメオスタシス(生体恒常性)」があります。古川氏は、このホメオスタシスを「習慣引力」と呼んでいます。新しい変化に抵抗する機能が、「三日坊主」を引き起こしているのだそう。また、習慣引力は、「いつも通り」を維持する機能を持っているため、悪い習慣がなかなかやめられない原因でもあるのです。
逆に、新しい習慣を脳が「いつも通り」だと認識すれば、ホメオスタシスが働いて、習慣の継続が容易となります。三日坊主になりそうなときは、ホメオスタシスの存在を意識し、ホメオスタシスをうまく利用できるようになるまで習慣化を頑張ってみてください。
習慣化したいことを決めよう
習慣化すべきことを知るために何をしたらよいか、お悩みではありませんか? 何を習慣化するか決めるための手順をご紹介します。
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日記をつける
何を習慣化するか迷っているなら、まず日記をつけてみてはどうでしょうか。日記に自分の行動を記録しつづけることで、無意識に行なっている現在の習慣が可視化されます。悪い習慣があれば、その原因を考えて書いてみましょう。悪い習慣を良い習慣に置き換える解決法が見つかるかもしれません。
たとえば、食べたものを全て日記に記録するとします。そうすれば、「炭水化物ばかりの食事が習慣化していて野菜が少ない」などの状況に気づけ、野菜を食べる習慣を身につけようと意識できますよね。
筆者もかつて、健康診断をきっかけに、食事を手帳に毎日書き出すようにしていました。すると、ほとんど野菜をとらない、バランスの偏った食事が習慣化していたことがわかったのです。試行錯誤の末、いちばん空腹感の強い食事の最初に必ずサラダを食べきってから、ほかの料理に移るようにしたところ、野菜を食べることを習慣化するのに成功しました。
隙間時間にちょこっと日記にメモしていく程度でも、自分の現状が分かり習慣化すべきことが見えてきますので、ぜひ試してみてください。
習慣化したいことは「~する」に置き換える
習慣化したいことを、「夜更かししない」など否定語で決めていませんか? 古川氏によれば、習慣化したいことを否定語で決めると、ほとんどの場合で失敗するそうです。その理由は、脳が否定語を認識できないから。「夜更かししない」と決めても、夜更かしをしている状態を脳がイメージしてしまうので、誘惑に負けてしまうのです。
良い習慣を身につけたいのなら、習慣化したい言葉を肯定語に置き換えてみてください。たとえば「夜更かししない」ではなく、「朝6時に起きる」といった具合です。
10分運動のススメ
何を習慣化するか決めかねている人には、軽い運動がおすすめ。適度な運動は脳の活性化を促し、仕事や勉強のパフォーマンスを上げてくれます。脳の活性化には、10分程度の軽い運動で十分。激しいスポーツをする必要はないのです。
筑波大学教授・征矢英昭氏らによって2018年に行なわれた実験では、被験者たちが自転車こぎなどの軽運動を短時間行なっただけで、ヒトの学習・記憶を司る海馬を中心とした記憶システムが活性化しました。
室内でできる運動としては、けん玉もおすすめ。順天堂大学教授の白澤卓二氏によると、けん玉はゆっくり歩く程度の有酸素運動に相当するのだそうです。自転車や歩きで買い物に出かける、雨の日はけん玉で遊ぶなど、毎日10分間の運動を習慣化して、無理なく脳を活性化させましょう。
読書・勉強を習慣化する方法
仕事や人生の成功につながる読書や勉強は、ぜひ習慣化したいものですよね。けれども、忙しい毎日の中で、どうやったら読書や勉強を継続できるのでしょうか? 読書や勉強を習慣化する方法をご紹介します。
時間と場所を決めてルーティン化する
読書や勉強の習慣化には、場所や時間を決めてルーティン化することが有効です。東京大学を首席で卒業した、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏によると、生活習慣を固定することが習慣化のコツなのだそう。ベッドに入る時間・食事の時間・会社を出る時間などを固定すれば、一日の限られた時間のなかで読書や勉強に使える時間が見えてきますよね。
起床してから朝食を食べるまで30分から1時間程度、机で勉強する。通勤・通学の電車で読書するなど、隙間時間を見つけて読書や勉強の予定を組み込めば、気分に左右されることなく、歯磨きのようにごく当たり前の行動として、習慣を続けやすくなるでしょう。
精神科医の樺沢紫苑氏によると、人間の集中力の限界は15分であるとのこと。多忙な日々でまとまった時間が取れない、長時間の読書や勉強は耐えられないというビジネスパーソンでも、5分・10分・15分と、読書や勉強の時間を自分の集中力に合わせて短く区切り積み重ねる方法なら、隙間時間を利用して無理なく習慣化できるのではないでしょうか。短時間の勉強・読書をルーティン化すれば、勉強や読書はあなたの生活の一部になるはずです。
楽にスタートできる工夫をする
心理学者のL・ズーニン博士によると、行動を始める→行動を続ける→行動を終えるという一連の流れのうち、最も気が重たくなるのは「初動」のときなのだそう。物事を始めて4分が経過すれば心理的負担が弱まり、モチベーションがアップしていくのだそうです。つまり、いったん取りかかれば、あとは楽になるということですね。
なので、読書や勉強を始めるのに気が進まずつらいという人は、楽にスタートできるよう、トリガー(きっかけ)を決めてみてください。人間の心理に詳しいメンタリストDaiGo氏も、習慣を身につけるために大事なことのひとつとしてトリガーを挙げています。
たとえば筆者には、「朝一番にダイニングテーブルで水を飲む」という習慣があります。この習慣をトリガーにして、「15分間の読書」という新たな習慣を追加してみました。あらかじめテーブルに本を置いておくと、すぐに読書する態勢に入れますし、アラームをセットしておけば、いちいち時間を気にせず音が鳴るまで集中して読書できるため、習慣化に成功することができました。
「朝の歯磨き」など、すでに身につけている習慣をトリガーと定め、「自分のデスクで30分勉強」など読書や勉強の時間を追加すると、意志に関係なくスタートしやすくなり、習慣化を成功させやすくなりますよ。
ダイエット・運動を習慣化するコツ
ダイエットや運動を習慣化したいのに、いつも失敗続き……とお悩みではありませんか? ダイエットや運動がなかなか続かないのは、スタート時の苦痛が大きいためなのだそうです。たしかに、ダイエットのため食事制限すれば激しい空腹感に苦しみ、急に運動すれば筋肉痛に悩まされること、ありますよね。
古川氏は、苦痛という負の感情が、習慣化を阻む大きな要因になっていることを指摘しています。そのため、ダイエットならまず食事制限のみに取り組むなど、習慣化することを1つに絞って負担を軽減してみましょう。運動なら、苦手な筋トレではなく気軽なウォーキングにするなど、自分が楽に取り組めそうな方法を選んでください。できるだけ快感を覚えられるように工夫することが、習慣化に成功する鍵なのだそうです。
ダイエットを習慣化させるコツ
ダイエットしているはずなのに、なぜか痩せられない。そんな悩みを抱えている人、多いのではないでしょうか。管理栄養士の岡田明子氏によると、痩せられない原因には「間食習慣」および「夕食過多」という食習慣があるのだそうです。もし両方の原因に心当たりがあるのなら、まず間食習慣から改善していきましょう。 岡田氏による間食習慣の行動項目例を参考にまとめると、次の通り。
- 間食をやめる
- 間食の回数を週数回に減らす
- 間食の量を半分に減らす
- 間食による摂取カロリーを200kcal以下にとどめる
- 甘い飲み物はやめ、水・緑茶・ブラックコーヒーだけにする
習慣化を成功させるには、無意識のうちにやっている状態になるまで行動を続けることが肝心です。上に挙げた中から、まずは無理なく実行できそうな行動を1つだけ選び実践してみてはいかがでしょう?
運動を習慣化させるコツ
運動をするまとまった時間がとれないとお悩みなら、日常生活の範囲でできる手軽な筋トレを取り入れてみてはいかがでしょう? 青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導者・中野ジェームズ修一氏によると、簡単にできる下半身の筋トレでも、全身の血行を改善し、健康維持に効果的なのだそうです。
中野氏おすすめの、運動する時間がない人でも習慣化しやすい4つの動作をまとめてみました。
- 毎日、椅子から片足立ち:椅子に座っている状態から立ち上がるとき、片足だけを使う。バランスを取るのが難しければ、机やテーブルに手をついてもよい。
- 毎日、空気椅子スクワット:椅子に座る前の10秒間や、立ち上がる前の10秒間、スクワットの要領でお尻を浮かせた状態をキープする。呼吸を止めないようにすることがコツ。
- 毎日、くつ下を片足ばき:くつ下をはくときに、座りながらではなく立ったままはく。
- 毎日、階段を使う:エスカレーターやエレベーターを使わずに、4階くらいまでなら階段を使う。
筆者は、いちばん継続しやすかった「毎日階段」を、運動の習慣化のために取り入れています。交通機関の乗り換え時だけでも、エスカレーターでの移動を全て階段に置き換えると、かなりの運動量になり、始めたばかりの頃はかなり息が上がりました。
しかし、3週目くらいから徐々に慣れ、身体が軽くなったと感じています。体力や時間のゆとりのないときには下りだけ階段にするなど、状況に合わせて臨機応変に工夫すると続けやすいですよ。
どれも普段の生活の流れでできるものばかりなので、皆さんも自分に合った動作を1つ選んで運動の習慣化に活かしてみてはいかがでしょう?
早起きを習慣化するコツ
朝5時起きの習慣化にチャレンジしてみたい。そう思っても、夜型の生活習慣から抜け出せずにすぐ挫折してしまうとお悩みではありませんか? 早起きを習慣化するためのコツをまとめてみました。
起床時間のハードルを下げる
たとえば、起床時間を朝7時から朝5時に突然変えようとすれば、ハードルが高すぎるため、失敗しやすくなってしまいます。はじめは、いつもの起床時間を5~10分早める程度の、毎日確実にクリアできる起床時間を設定してみてください。
寝る時間を毎日そろえる
古川氏によると、早起きに成功する人は、寝る時間を必死に守ろうとする人なのだそう。そして、快眠セラピストの三橋美穂氏は、良質な睡眠を得るため、25歳で7時間・45歳で6時間30分・65歳で6時間くらいの睡眠時間が適切だと指摘しています。
以上のことから、もし20代後半のビジネスパーソンが良質な睡眠を取りつつ朝5時起きを習慣化するのなら、夜10時頃に寝る習慣もセットで身につける必要があります。スマホいじりなど就寝時間を遅らせる悪い習慣があれば、5分間ストレッチしてから寝るなど、リラックス効果のあるトリガーを決め、寝る時間もセットで習慣化してみましょう。
朝の活動をパターン化する
朝の活動をパターン化すると、早起きが習慣化しやすくなります。古川氏によると、早起きを成功させるため、「残業は朝にする」のがおすすめとのこと。毎日仕事を切り上げる時間を決めて、余った仕事を片づけるのを朝の活動としてパターン化すれば、早朝出勤とセットで早起きが習慣化できるのです。
「脳のゴールデンタイム」である朝時間を有効活用している茂木氏は、起きたらTwitterのチェック(1分)→近くのコンビニまで歩く(往復10分)というように、朝の活動をパターン化させているそうです。また、山口氏も、朝起きたらすぐ机に向かって座り、本を読み始めることを習慣化しています。
朝起きたら顔を洗う→机に向かって10分間読書するというように、アクション・トリガーを設定して紙に書き出し、枕元やデスクなど目につくところに貼って、朝の活動をパターン化してみてはいかがでしょう?
朝日を浴びる
早起きを習慣化するには、起きたらすぐカーテンを開けて朝日を浴び、目覚めることも大切です。理由は、太陽の光を浴びると、脳の覚醒を促すホルモン・セロトニンが放出され、朝目覚め夜眠くなるという生体リズムが整えられるから。茂木氏が朝にコンビニまで歩くのは、朝日を浴びて脳を覚醒させるためなのだそうです。
古川氏も、太陽の光を利用することを勧めています。太陽の光を浴びると、睡眠物質であるメラトニンが消えていくため、スムーズに起きることができるのだそうです。もし、暗い部屋で起きるのが習慣になっているなら、カーテンを開けて朝日を浴びることを習慣化してみてください。
掃除・片づけを習慣化するコツ
自宅は散らかり、職場のデスクは書類の山。そんな乱雑な環境から抜け出すため、掃除・片づけをぜひ習慣化したいものですよね。掃除や片づけを習慣化するためのコツをご紹介します。
収納場所を決めて小まめに片づける
全てのモノに対し、あらかじめ収納場所を決めておくこともおすすめです。たとえば、財布やスマートフォン・リモコンなどの収納場所が決まっていないと、探すのにいちいち無駄な時間を使ってしまいますよね。
収納場所を決めるコツは、そのモノを無意識に置いたり、モノを使用したりする場所を選ぶこと。たとえば、帰宅後にカバンを玄関に置くクセがあるのなら、玄関にカバン置き場を作りましょう。また、テレビのリモコンはテレビのそば、筆記用具はデスクの上など、その道具が必要とされる場所に収納場所を定めます。小まめに片づけることが習慣化すると、探す手間も時間も節約できて快適ですよ。
ついでに掃除する
歯磨きなど日常の習慣をトリガーにして、ついでに掃除してしまうのもおすすめです。たとえば、洗面所にお掃除シートを常備しておけば、歯磨きのついでにササッと鏡や洗面台を拭き掃除できますよね。毎日歯磨きをするたびに掃除していれば、自然ときれいな状態を保つことができるでしょう。
掃除や片づけに苦手意識があっても手軽に取り組める習慣化のコツを、ぜひ試してみてください。
習慣化に役立つアプリ
習慣化に役立つアプリを2つご紹介します。
コソ勉
習慣化に役立つ手軽な無料のスマホアプリをお探しなら、時間管理アプリ「コソ勉」(iOS)がおすすめです。15分勉強するごとに、1つのマスを塗りつぶすだけ。塗りつぶしの色は12色から選べます。たとえば、「英語」の色を青に設定して1時間勉強したら、青色で4マス分塗るわけです。何をどれくらいの時間勉強したか、ひと目でわかりますね。
「科目名」は自分で決められるので、読書・運動・掃除というように、勉強以外の内容も入力できますよ。ちなみに、こっそり&しっかり勉強したい人のためというコンセプト上、SNS機能はありません。
詳しい内容については、「大ヒット記事『ぬり絵勉強法』がスマホアプリになりました! 春から勉強時間を記録しよう。」を参考にしてみてくださいね。自分が頑張った成果をすぐに可視化できて、見た目もおしゃれな勉強管理アプリ「コソ勉」を、習慣化に活用してはいかがでしょう。
みんチャレ
これまで何度も習慣化にチャレンジしては失敗続き……とお悩みなら、仲間と挑戦できる「みんチャレ」(iOS/Android)を試してみては? 「みんチャレ」とは、エーテンラボ株式会社が運営する「三日坊主防止アプリ」で、Google Playにおける「2017年 ベストアプリ」のソーシャル部門に入賞を果たしたほどの人気です。
まず、チャレンジしたい習慣を、ダイエット・英語学習・読書など50のカテゴリーから選択します。次に、同じ目標を持つ5人組のチームを探して参加し、習慣化の成功を目指します。ニックネームによる参加が可能なので、本名を出すのはちょっと恥ずかしい……という人でも安心ですね。
Study Hackerの記事、「習慣化は “誰かと一緒” でうまくいく! 『習慣ともだち』を2ヶ月続けたら早起きできるようになった話。」にあるように、Study Hackerのライター・梅野凌矢氏は、朝が弱いため「みんチャレ」のカテゴリー「早起き」を選択しました。その結果、チームで取り組んだおかげでモチベーションや達成感を強く感じることができ、1人では成しえなかった早起きの習慣化に成功したそうです。
自分1人ではなかなか習慣化に成功しないとお困りなら、仲間と一緒にチャレンジしてみてはいかがでしょう?
習慣化に関する本
最後に、習慣化を実践するためにおすすめの本を2冊ご紹介します。
『完訳 7つの習慣』
真の成功をつかむため、まず自分自身の人格を磨く習慣から始めてみませんか? バラック・オバマ氏など歴代大統領の助言者を務めたリーダーシップ論の権威、S・R・コヴィー氏によるビジネス書・自己啓発書の世界的名著『7つの習慣』をご紹介します。
コヴィー氏は、1776年のアメリカ合衆国建国以降に出版された、成功に関する文献の調査から、真の成功のためには誠意・謙虚・勇気・忍耐・勤勉など優れた人格を形成するための習慣が必要であることを発見し、7つにまとめました。
「主体的である」(第1の習慣)・「まず理解に徹し、そして理解される」(第5の習慣)など、成功者に共通する7つの習慣が、コヴィー氏の子育て体験など身近で具体的な事例を交えながら、分かりやすくまとめられています。一流の成功者から学べる『7つの習慣』を、行動・思考習慣のガイドブックとして活用されてはいかがでしょう?
『理想の人生をつくる習慣化大全』
習慣化の具体的な方法を即座に実践したいという人には、習慣化コンサルタント・古川武士氏による習慣化成功ノウハウが凝縮された『理想の人生をつくる習慣化大全』がおすすめ。早起きや禁煙など、成功させたい習慣の項目を行動・思考・感情・環境の4つの切り口からすぐに調べられるので、便利ですよ。
腕立て伏せが10回できたらアイスを食べるなど、自分を奮い立たせるためにぴったりな取り組み方が多数掲載されています。習慣化を成功させるための具体的な方法が知りたい人におすすめの1冊です。
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習慣は、やる気に関係なく無意識に繰り返している状態まで続けることで身につきます。無理のない方法で習慣化を成功させ、人生をより良いものに変えてみませんか?
(参考)
古川武士(2019),『理想の人生をつくる習慣化大全』,ディスカヴァー・トゥエンティワン. 古川武士(2010),『30日で人生を変える「続ける」習慣』,日本実業出版社.
スティーヴン・ガイズ(2017),『小さな習慣』,ダイヤモンド社. 古川武士(2016),『30日で新しい自分を手に入れる「習慣化」ワークブック』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.
古川武士(2014),『7つの心のブレーキを外せば「すぐやる」習慣』,朝日新聞出版.
スティーブン・R・コヴィー著,フランクリン・コヴィー・ジャパン訳(2013),『完訳 7つの習慣』,キングベアー出版.
横山典子(2003),”中高年者における運動教室への参加が運動習慣化個人的要因に及ぼす影響 ー個別実施運動プログラムと集団実施運動プログラムの比較ー” 体力科学,Vol. 52,pp.249-257.
阿部修士(2018),“より良い意思決定の実現に向けて:脳とこころの傾向と対策”,日本健康教育学会誌,第26巻,第4号,pp.404‐410.
Peter M.Gollwitzer,Veronika Brandstatter(1997),“Implementation Intentions and Effective Goal Pursuit”,Journal of Personality and Social Psychology,Vol.73,No.1,pp.186-189.
Study Hacker|「幸せの90%は『習慣』で決まる」という新常識。ポジティブ心理学が人生を変える!
Study Hacker|「習慣化」が仕事力を上げる——習慣化コンサルタント・古川武士さんインタビュー【第1回】
Study Hacker|世界のエリートはなぜ「ウィルパワー」を重視するのか? 頭がスッキリする効率的仕事術
THE 21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方
Study Hacker|勉強・読書……インプット行動を習慣化するテクニック——習慣化コンサルタント・古川武士さんインタビュー【第3回】
Study Hacker|習慣化の成功率が3倍もアップする! 『アクション・トリガー』のすごい効果
Study Hacker|「良いルーティン」を身につけろ! 習慣化を成功させる “科学的な” 5つの戦略
Study Hacker|小さなことから着実に。3ステップの「習慣化計画」で続けられる人になる。
Study Hacker|“ちょっと失敗しても許す” のが続けるコツ。習慣化できない人が陥る「どうにでもなれ効果」を防ぐには?
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【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。