孤独も意外と悪くない。ひとり時間が一気に充実する「3つのノート術」やってみた

孤独と付き合う

「あまり外に出られなくて、友だちにもなかなか会えない」
「在宅ワークになって、1日のほとんどを家で過ごすようになった」
こんなふうに、孤独な時間が増えている人は多いはず。孤独をストレスに感じているのならば、要注意ですよ。

ストレスが過度にたまると、自律神経に影響を与え、脳の動きが悪くなってしまいます。当然、仕事や勉強にはデメリットしかありません。

今回は、孤独を苦痛に感じている人が、孤独を味方につけ、充実した「ひとり時間」を過ごせるようになる方法をご紹介します。

孤独が身体にもたらすデメリットとは

アリゾナ大学の研究によると、社会的なつながりが薄くなること死亡率は密接に関係しているそうです。なんと、人との関わりが希薄な人は、そうでない人に比べ、早死にする可能性が30%も上昇するのだとか。これは、1日15本タバコを吸うのに匹敵するほどの死亡リスクのようです。孤独であることは、退屈や寂しさによるメンタルの落ち込みだけでなく、私たちの健康や命にも関わるのですね。

「人との接触が推奨されていないのだから、孤独は回避しようがない」と考えてしまうかもしれません。しかし、孤独の本当の意味は「人と過ごせないこと」ではなく、「意味のあるつながりを持てていないこと」なのです。人とのつながりもそうですし、自分自身とのつながりも含まれます。

たとえば、カリフォルニア大学のカーラ・ペリッシノット氏の研究によると、最も孤独な個人は結婚している人に多いということが判明したそう。孤独を解消するために必要なのは、物理的に誰かと一緒にいることではなく、誰かと意味のあるつながりを築き上げること。また、自分自身とのつながりも強化していく必要があります。物理的にひとりで過ごさなければならないときは、後者の「自分自身とのつながり」の強化に重点的に取り組むのがよいでしょう。

避けるべきなのは、「ひとりで過ごすこと」ではなく、「ひとりでいることを苦痛に思ったり、誰ともつながっていないと感じて不安になったりすること」です。それらを解消し、孤独を味方につける方法を3つ紹介していきましょう。

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1.「セルフ・コンパッション」で自分の感情を受け入れる

「孤独がつらい」「寂しい」という感情を無理に抑えようとしていませんか。感情から目を背けたり、感情を押し殺したりするのは逆効果ですよ。まずは「孤独を感じるのは自然なこと」と受け入れましょう。つらい感情を拒絶するよりも受け入れたほうが、気持ちも楽になりますよ。

そのために有効なのが「セルフ・コンパッション」という方法です。これは、社会心理学者のクリスティン・ネフ博士が世に広めている、ストレスマネジメントやメンタルヘルスケアとして欧米で注目される概念。ネフ博士は、セルフ・コンパッションを「誰かが悩んでいたり苦しんでいたりする際に、思いやりや優しさを向けるのと同じように、自分に対して思いやりを向けること」と定義しています。

「自分に優しさを向ける」ということを、普段から意識している人は少ないかもしれませんね。たとえば、あなたの親友が同じ悩みを抱えていたとき、どのように声をかけるか考えてみましょう。おそらく、共感したり、相手を理解しようと努力したり、勇気づける言葉をかけたりするのではないでしょうか?

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実際にセルフコンパッションを試してみた

筆者も実際にセルフ・コンパッションを実践してみました。セルフ・コンパッションを育む方法はさまざまありますが、今回は、第三者の視点で自分自身に手紙を書く「コンパッショネイト・レター・ライティング」というものを試してみます。方法は以下のとおり。

  1. 架空の友だちを想像しましょう。その人はとても賢く、人を愛することができ、思いやりがあります。その友だちになったつもりで、自分に手紙を書くのです。
  2. 手紙を書き終えたら、いったんそれを放置して、しばらく経ってから読んでみましょう。本当に必要になったときに、その「思いやり」の言葉を読むことで、あなたの助けとなるのです。

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実践してみて感じたのは、手紙を書いている段階で、頭の中が整理されて気持ちが安らかになっているということ。また、書いた手紙をあとから読み返すことで、誰かに励まされているような感覚になり「また頑張ろう、自分なら大丈夫だ」と思えるようになりました。

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2. 「自律傾向の高い人」になって孤独を楽しむ

メンタリストのDaiGo氏によると、「自律傾向」の高い人は孤独を楽しみ、ひとりの時間を有効に使えるそう。

自律傾向の高い人とは、自分のことがよくわかっている人を指します。自分は何をしている時間が一番楽しくて、今後どういう人生を歩んでいきたいか、何に情熱を感じるのかなど、自分の内面や将来像について深く関心を持っている人は、自律傾向が高いと言えるでしょう。

このような人は、孤独な時間を、自分の体験を振り返ったり、それらを今後の人生に活かす方法を考えたりすることに使うため、孤独な時間は必要なものであると考えます。孤独は「自分を成長させるもの」「今後の人生に役立つ時間」と考えることで、活かしていけるようになるのです。

自律傾向の高い人になるためには、ジャーナリングが有効。ジャーナリングは、頭に浮かんだことを書き出すというもの。「SIY」(SEARCH INSIDE YOURSELF。Google社が脳科学とマインドフルネスに基づき開発したプログラム)認定講師の荻野淳也氏がすすめる方法を以下にご紹介します。

  • あるテーマについて、決められた時間ずっと書き続ける
  • 頭で考えずに手を動かす
  • 気をそらせるものがないプライベートな空間で行なう
  • 脚色しないで事実や気持ちをありのままに書く
  • 誤字や脱字を気にしない

テーマは自由ですが、今回は「自分と向き合い、孤独なひとりの時間を楽しめるようになる」ということがポイントなので、たとえば、自分はどんな人間で、何をしているときが一番楽しくて、仕事では何が得意で今後どう進めていきたいのかなどがよいでしょう。

この機会に、ジャーナリングを定期的に実践し、孤独を楽しめる「自律傾向の高い人」を目指してみてはいかがでしょう。

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実際にジャーナリングを試してみた

筆者も実際にジャーナリングに挑戦してみました。時間があるぶん、家のなかでやれることが増えたのですが、いざとなるとどこから手をつけたらいいのかわからなくなってしまっていたので、やりたいことややるべきことを具体的に書き出します。

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ジャーナリングを実践したことで気持ちの焦りが減った気がします。また、頭の中で浮かべているだけだと気づきづらいのですが、家のなかでやりたいことが意外とたくさんあることがわかったので、今後もひとり時間を有意義に過ごせそうです。

3.「創作活動」で孤独のストレスを軽減させる

ハーバード大学のジェレミー・ノーベル教授によると、創作活動が孤独や寂しさを解消してくれるそう。同氏がすすめるのは「エクスプレッシブ・ライティング」という、自分のいまの感情を正直に書き出すエクササイズです。セルフ・コンパッションやジャーナリングとも通じますが、書き出すことで可視化されるので、自分の状態や感情をより深く認識するのに有効ですよ。

ノーベル教授は、エクスプレッシブ・ライティングについて、「たとえひとりで書いていても、誰かとつながっている感覚になることができる」と表現しています。紙に書き出すことで客観的になることができ、「もしかしたら、ほかの人も自分と同じような経験をしているのではないか」ということに気がつくのだそう。

前述したとおり、社会的なつながりは人間が健康に生きていくために欠かせないもの。エクスプレッシブ・ライティングは、ひとりでいながら、社会とのつながり(いまこのように苦しんでいるのは自分だけではない)を感じることができるのです。

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エクスプレッシブ・ライティングを試してみた

筆者も実際にエクスプレッシブ・ライティングを実践してみました。自分のいまの感情をひたすら書き出します。

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書き出すことで、暗い気持ちが発散された気分になりました。また、読み返してみると、それほど深刻ではないと思えましたし、きっとほかにも似たような体験をしている人がいるだろうと感じます。不思議と、自分はひとりではないのだという気持ちが湧いてきました。

***
「孤独は苦痛だから解消したい」と考えるよりも、この機会に「孤独を活かせる人」になるのはどうでしょう。ぜひ実践してみてください。

(参考)
TAC|さらばストレス!集中力を高めるためのリラックス方法はコレだ
Oxford Academic|The Potential Public Health Relevance of Social Isolation and Loneliness: Prevalence, Epidemiology, and Risk Factors
American Psychologies|Advancing Social Connection as a Public Health Priority in the United States
プレジデントオンライン|寿命が縮まる「一人ぼっち」という蟻地獄
The New York Times|The Surprising Effects of Loneliness on Health
DaiGo(2019),『コミュ障でも5分で増やせる超人脈術』,株式会社マキノ出版.
Self-Compassion|Definition of Self-Compassion
Very well mind|How to Cope With Loneliness During the Coronavirus Pandemic
Very well mind|Self-Compassion Exercises to Boost Your Happiness
Mentalist DaiGo Official Blog|孤独をチカラに変える【自律傾向の高め方】
Nikkei Style|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善
Harvard Health Publishing|Writing as an antidote to loneliness
Psychology Today|Expressive Writing

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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