「メンタルが強い人」には、プレッシャーに強く、トラブルに動じず、チャレンジ精神旺盛といった特徴があります。「あんな人になりたい」と憧れたり、「自分はメンタルが強いほうかな? 弱いほうかな?」と気になったりしたことはありませんか?
そんなあなたは、この記事を読めば、メンタルが強い人の特徴&メンタルが強い人になる具体的な方法がわかりますよ。
メンタルが強い人の特徴
「メンタルが強い」とは、どのような状態なのでしょうか? メンタルを強くするため、「メンタルが強い人」の行動を具体的にイメージしてみましょう。
メンタルが強い人がもつ5つの特徴を解説します。
自分の意見を言える
どんな状況でも堂々と意見を主張できるのは、メンタルが強い証拠。自分は自分、相手は相手と割りきっているので、反論を恐れず自分の考えを言えるのです。
産業カウンセラーの大野萌子氏によると、ストレスから自分を守るコツは、「自分と相手の感情や行動を一緒にしないこと」。自分の意見を言える人は、相手と適度な距離感を保てるため、相手と対等に関われるのですね。
反対に、ストレスに弱い人は、「他人からどう思われるか」を自分の気持ちより重視する傾向があるそうです。相手との距離が近くなりすぎ、消耗しがちなのだとか。
気乗りしないお誘いを受けたときでも、メンタルの強い人は「自分が行きたいかどうか」で判断するため、きっぱり断れるのです。
気持ちの切り替えがうまい
メンタルが強い人は、職場などで嫌なことがあっても上手に気持ちを切り替えられます。
『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』(PHP研究所、2020年)の著者で産業医の武神健之氏によると、不安やストレスにうまく対処できる人は、好きなことや趣味で気分転換しているのだそう。好きなことをやれば、3つの効果が生まれるそうです。
- 気持ちが満たされ、適度に疲れ、よく眠れる
- 仕事を早く切り上げ、煩わしいお誘いに「ノー」と言えるようになる
- 「仲間」や「居場所」ができる
読書や映画鑑賞、スポーツや語学学習など好きなことや趣味に没頭していると楽しくて、仕事や生活のストレスから解放されるものです。あなたには、ストレスを発散できる、好きなことや趣味はありますか?
人にうまく頼れる
困ったとき、素直に人に頼ることができるのは、メンタルが強い人です。「精神力の強い人は甘えたりしないんじゃ?」と思うかもしれませんが、精神科医の和田秀樹氏は、本来の「心が強い人」をこう説明しています。
「ストレス下でも心の病に陥りにくい人」であり、「仮に陥ったとしても重症にならずに済み、快復力のある人」
(引用元:和田秀樹(2014),『「うつ」だと感じたら他人に甘えなさい』, PHP研究所.)
困難にぶつかったとき助けを求められる人は、適度にストレスを発散でき、「へこたれない心」を保てるのだとか。逆に、人に甘えられない状態は強烈なストレスになるため、他人に頼れない人ほどうつ病になりやすいそうです。
心の強い人がもっているのは、「困難に打ち勝つ意志」や「プレッシャーに負けない精神力」ではなく、「心のダメージをうまくコントロールできる力」なのですね。
すべてをひとりで抱え込まずに、うまく人に頼れていますか?
チャレンジ精神がある
強い精神力をもつ人は、チャレンジ精神が旺盛です。自己肯定感が高いため、困難に直面しても「きっとうまくいく」と自分を信じることができます。
自己肯定感とは、ありのままの自分に満足でき、価値ある存在だと受け入れられること。心理カウンセラーの中島輝氏によると、自己肯定感が高いほど毎日が楽しくなり、気持ちが安定し、前向きな行動力が湧いてくるのだとか。
メンタルが強い人は、「私は私のままでいい」「必ずいいことがある」と自分や未来を信じられるため、失敗を恐れず、果敢にチャレンジできるのです。
「なんとかなる」と考える
逆境に見舞われたとき、「もうだめだ」とネガティブな考えに支配されず、「きっと、なんとかなる」とポジティブに考えられるのも、メンタルが強い人の特徴。
『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版、2010年)の著者であり、病気の家族を抱えながらビジネスの成功者となった佐々木常夫氏は、メンタルの強さの源を3つ挙げています。
- 鈍感力:気にしない・悩まない
- 楽天性:どんな状況でも活路を見いだす
- 受容力:思い通りにならないこともあると認める
メンタルの強い人は、成果を生み出し、よい人生を送るため、心が疲れないようにしているのですね。
以上が、メンタルの強い人の特徴です。あなたは、いくつ当てはまりましたか?
メンタルが強い人になるには
「メンタルの強い人の特徴に当てはまっていなかったけど、どうしたらいいんだろう?」と思ったら、この方法を実践してみてください。
「好きなもの」リストで自分軸を見つける
自分の意見を堂々と言えるのは、「自分軸」がしっかりしているから。『仕事に生かすアート思考 感性×論理性の磨き方』(日経BP、2021年)の著者・町田裕治氏は、自分軸をこう説明しています。
「好きなもの」「おもしろいと思うもの」「過去に誰かから指示されることもなく自ら進んでやったこと」であり、「自分の行動の指針」だとか「人生の目的・目標」となりえるもの
(引用元:STUDY HACKER|仕事に生かす「アート思考」の基本と最初の一歩。まずは “自分軸” を見つけよう)
自分軸を意識することで「思いと行動が一致し、その行動に対して自分を突き動かす情熱が湧いてくる」のだとか。困難にぶつかっても、強いモチベーションをもって乗り越えていけるそうです。
「私の自分軸ってなんだろう?」と思ったら、町田氏が実践している「好きなものリスト」をつくってみましょう。
- これまでの人生を振り返り、「好きなもの」「おもしろいと思うもの」「指示されたわけでもなく進んでやったこと」をリストアップ
- リストアップしたものに共通の要素を抽出
町田氏は、STUDY HACKERのインタビューで、こんな例を見せてくれました。
【好きなもの・おもしろいもの・進んでやったこと】
- 絵を描く
- 学園祭のイベントを演出する
- レストランメニューをデザインする
- わかりやすく説明する
- あっと驚かせる
- 楽しい雰囲気
- 本を読む
- 人に教える
- 美術留学
- ジャズ など
【共通の要素】
- 自分だけでなく、さまざまな人の創造性を高めること
- 静かな時間をもつこと
参考にして、あなたもやってみましょう。
悩みの解決策を紙に書き出す
失敗して落ち込み、「気持ちを切り替えなくちゃ」と思っても、できないこともありますよね。そんなときは、どうやったら悩みを解決できるか考え、思いつくまま紙に書き出してみてください。
『神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り』(KADOKAWA、2018年)の著者・星渉氏は、悩んでいる状態から前進するため、こんな方法を実践しているそうです。
- 悩みを解決するため「いまできる選択肢」を書き出す
- 選択肢のなかから、よさそうなものを選ぶ
- 選んだ選択肢を実行する
なかなか選べないなら、ひとつの選択肢につきA4用紙を1枚用意してください。半分に折って線をつくり、線の左右にメリットとデメリットを書きます。
たとえば、「仕事のやる気が出ない……」と悩んでいる場合、「いまできる選択肢」として思い浮かぶものを書き出します。
- 休暇をとる
- ビジネススキルを磨く
- 転職する
そしてA4用紙を3枚用意し、それぞれにメリットとデメリットを書いていきましょう。
各選択肢のメリットとデメリットを比較すれば、どれを選ぶべきか判断しやすくなります。気持ちを前向きに切り替えたいとき、ぜひお試しください。
好きなことや趣味をもつ
気持ちの切り替えが上手な人は、好きなことや趣味を楽しむことで気分転換しています。「自分は何が好きなんだろう……」という方は、武神氏おすすめの「好きなことを見つけるワーク」をやってみましょう。
- 紙の縦横に線を引き、4つのスペースをつくる
- 「ひとりでできること」を考え、屋内/屋外に分類
- 「数人でできること」を考え、屋内/屋外に分類
完成したら、手をつけやすいものから実行してみましょう。
武神氏によると、「頭で考えるだけではなく、実際に行動に移す」のがポイント。本当に「好き」かどうか、深く考える必要はないそうです。難しく考えず、まずはやってみましょう。
人に頼む経験をする
人に甘えることも大切です。しかし、他人に頼ることが苦手な人も多いもの。なぜ、人を頼るのは難しいのでしょうか?
アメリカの社会心理学者、ハイディ・グラント・ハルヴァーソン氏によると、頼った相手から低く見られたり断られたりするのではと思い込んでいるから。そのため、助けを求めるよりは自分で抱え込むほうがましだと考えてしまうのです。
しかしハルヴァーソン氏によると、誰かを助けたがっている人は多いそう。頼られると、人の役に立てることを嬉しく感じ、助けを求めてきた相手に好印象をもつとのことです。
あなたは、誰かに頼られたらどう思いますか? 「できるだけのことはしてあげよう」と思うのではないでしょうか。「私を信じてくれてるんだ」と嬉しくなり、少し重荷に感じはしても嫌ではないはずだ――と前出の和田氏も語っています。
「どうやって頼ればいいんだろう……」という方は、以下のコツを実践してみてください。
- どのような助けを必要としているか、具体的に説明する
「ちょっとお願いできますか? 明日午前10時までにプレゼン用の資料を準備しなければならないのですが、ひとりでは間に合いそうにありません。差し支えなければ、こちらの資料を一緒につくっていただけないでしょうか?」 - 自分を助けたらどうなるか、イメージできるよう説明する
「プレゼンでこの企画が通れば、今期の目標が達成できます」 - 「助けられるのは自分だけ」と感じさせる
「いつも仕事が早くて丁寧な〇〇さんに、ぜひ協力していただきたいのです」 - 助けてもらった結果を報告し、感謝の気持ちを伝える
「昨日は、資料作成をお手伝いいただきとても助かりました。〇〇さんのおかげで資料がすべて整い、プレゼンがうまくいきました。ありがとうございました」
お願いする際は、以下の3点に気をつけてください。
- 相手が自分を助けられる状態か確認する
- 無理な量を丸投げしない
- 思っていたのとは違う方法でも、相手のやり方に任せる
「ありがとう」と感謝されることで、プライドが満たされます。「すみません」「申し訳ありません」ではなく、「ありがとうございます」「助かります」といった言葉を使ってください。
人に頼る経験を積み、メンタルが強い人のように、自分のストレスをコントロールできるようになりましょう。
人の役に立つスキルを身につける
メンタルが強い人は、自己肯定感が高いもの。前出の中島氏によると、自己肯定感は、周囲や社会に役立っているという「自己有用感」で高まるのだとか。
自己有用感を育むため、人の役に立つスキルを身につけてみてはいかがでしょう。たとえば、ビジネスや生活に活かせる英語。
グローバル化が進む現代では、世界中の企業やお金、人やモノが複雑かつ緊密に絡み合っています。国際情勢の変化が、私たちの仕事や生活に大きく影響する時代です。そのため、世界中から発信される最新情報をインターネットで収集できれば、職場や家庭で頼りにされ、自己有用感がグングン高まるはず。
インターネットで最も利用されている言語は英語です。経済や技術に関するデータを収集・グラフィック化するカナダのVisual Capitalist社によると、最もアクセスの多いWebサイト上位1,000万件のうち、60.4%が英語。日本語はわずか2.1%でした(2021年3月発表)。
つまり、人気の高い定番のWebサイトで情報を得るには、英語力が必要なのです。英語の必要性は、これからの時代も変わらないのですね。
英語運用能力を効率よく伸ばすには、どうしたらいいのでしょう? おすすめは、スマートフォンで独学できる「ENGLISH COMPANY MOBILE」。コストパフォーマンスがよく、スキマ時間を活用して気軽に勉強できます。
- 単語学習
- チャンクリーディング
- サイトトランスレーション
- シャドーイング
……というトレーニングができるだけでなく、日本経済新聞社の英字新聞「Nikkei Asia」の購読権がついています。英語能力を鍛えられるだけでなく、ビジネスの情報を収集できるのも嬉しいポイント。まさに一石二鳥です。詳しくは、公式サイトでご確認ください。
以上、メンタルを強くする方法を5つ見てきました。興味の湧いたもの、できそうなものはありましたか? ぜひ実践し、「メンタルの強い人」の特徴を自分のものにしましょう。
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メンタルの強い人の特徴を得れば、ストレスに煩わされることなく、自分の思うように前向きな人生を歩むことができます。英語などのスキルを高めて人の役に立ち、「ありがとう」と感謝されたら、自信が湧いて気持ちが安定するでしょう。
「自分はメンタルが弱いかも……」と感じても、大丈夫。これまで見てきた「メンタルが強い人になる方法」を、さっそく試してみてください。
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星渉(2018),『神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り』, KADOKAWA.
武神健之(2020),『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』, PHP研究所.
中島輝(2019),『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』, SBクリエイティブ.
和田秀樹(2014),『「うつ」だと感じたら他人に甘えなさい』, PHP研究所.
和田秀樹(2018),『自分を信じるということ ありのままで生きる』, マガジンハウス.
ハイディ・グラント・ハルヴァーソン 著, 児島修 訳(2019),『人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学』, 徳間書店.
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。