会議で発言できない内向的な人のための発言トレーニング「〇〇 "だけ" でOK宣言」

会議に集中するビジネスパーソン

「同期は会議でどんどん意見を言っているのに、自分は何も発言できない」

「的外れなことを言ってしまったらどうしよう……」

このように、会議での発言に苦手意識をもつ人は多いのではないでしょうか。大勢の人がいる会議の場で手を挙げ、注目を集めながら意見を言うのはとてもハードルが高いと感じるはずです。

かといって、何も言わなければ周囲から「やる気がない」「能力が低い」と思われそうで心配――。それなら、言いやすい内容やタイミングに絞って挑戦してみるのはいかがでしょうか?

本記事では、会議での発言が苦手な人が発言できる人に成長していくための「発言しやすくなるテクニック」をお伝えします。まずはここから始めてみてはいかがでしょうか。

なぜあなたは会議で黙ってしまうのか?

たとえば、会議中に突然「あなたはどう思いますか?」と意見を求められて言葉に詰まった経験はないでしょうか。

これは能力が低いからではなく、「すぐに答えるのが苦手」「イレギュラーに弱い」といった気質のためであると、内向型カウンセラーの井上ゆかり氏は説明します。*1

大人数が集まるうえ、考える間もなく話題が移り変わっていく会話に参加しなければならないのを苦痛に感じるのは自然なことです。

そのことで自分を責めたり諦めたりするのではなく、「どうしたら会議で少しでも楽に発言できるか」を考えましょう。

積極的に発言し、会議の中心になるにはまず「発言をためらわない」という姿勢を身につけることが必要ですよね。

悩む様子の女性

発言しやすくなるテクニック1:他者にのっかる「だけ」でOK

いきなり発言をするのが難しいと感じる場合は、誰かの意見を活用してみましょう。賛同や質問を付け加えるだけで、あなたの意見として伝えられます。

また他の人が言ったことをベースにするため、「見当違いなことを言ってしまうかも」といった恐怖心も軽減されるはず。

他者の意見をもとに発言したいとき、取り入れたいの「リフレクティブ・リスニング」です。リフレクティブ(reflective)には、「反射する」という意味と、「思慮深い、内省的な」という意味の大きく2つがあります。

「意見を “言う” のにリスニング?」と思うかもしれませんが、脳科学者の西剛志氏は「相手が言ったことをそのまま反射して返す」のがリフレクティブ・リスニングだと説明します。*2

具体的には、次のようなイメージです。

◆同僚「新人教育にもっと時間を割くべきです」

◇自分「“新人教育に時間を割く” という意見について、具体的にどういった内容を考えているか教えていただけますか?」→ 他者の意見を繰り返す + 質問を加える

◆同僚「顧客の声を聞くべきだと思います」

◇自分「自分も “顧客の声を聞くべき” という意見に賛成です。SNSなどを活用できそうだと思いました」→ 他者の意見を繰り返す + 賛同 + 自分の見解を加える

リフレクティブ・リスニングを取り入れると、相手は「『私のことを理解してくれている』という安心感」を得られると言う西氏。*2

会議の場でも、人の話をよく聞いているという印象アップを期待できそうです。

さらに西氏は「『〇〇なんですね』とワンクッション挟むことで、会話に余白が生まれ、次の質問がくるまでに考える時間もできる」とメリットを挙げています。*2

自分が意見を言う準備ができるうえ、周囲の人も話を噛み砕いて考える時間を確保できるのです。

会議で発言するときにリフレクティブ・リスニングを活用すれば、周囲によい印象を与えながら意見を言うことができるでしょう。

会議で発言するビジネスパーソン

発言しやすくなるテクニック2:準備しておいた発言内容を言う「だけ」でOK

目まぐるしく話題が移り変わる会議で、その瞬間に合った気の利いた意見を言わなければ――と思ってしまうでしょうが、気負う必要はありません。

質問に対してすぐに答えるのが苦手な人は、事前に意見を準備しておけばいいのです。

アメリカのエグゼクティブコーチ、メイ・ブッシュ氏は「会議中に緊張してしまい、気の利いたコメントを思いつくのが難しい場合は、事前に発言内容を準備しておく」ことをすすめています。とくに、以下のふたつの要素を準備しておくといいそうです。*3

■要素1. 自分の専門分野について話せるようにしておく

(例)私が担当する現場では、導入費用や先行事例の少なさがネックとなり、契約を迷われる顧客が多い印象です。

(例)システム面では、特定の状況でエラーが発生するため対応中です。

■要素2. 質問したいことをまとめておく

(例)課題が発生した背景について、もう少し詳しく教えていただけますか?

(例)この案について、別の部署や顧客の立場から見るとどんな懸念が考えられるでしょうか?

このような自分の見解や質問を事前にメモしておき、会議で発言するだけ

事前に会議の議題を聞いたり資料を確認したりすると、より意見をまとめやすいのでおすすめです。

会議で資料を持ちながら話すビジネスパーソン

発言しやすくなるテクニック3:最初に話す「だけ」でOK

積極的に発言するのが苦手な人が、急に会議で何度も手を挙げるのは難しいはず。

まずは会議中に一度でもいいので「発言できた」という成功体験を重ね、苦手意識を少しずつ克服しましょう。

とはいえ、「いつ発言しようか」と機会をうかがうのもプレッシャーになってしまいます。そこで、会議の一番最初に発言すると決めてしまうだけいいのです。

キャリア支援を行なうジル・チャン氏は、会議の最初に質問すれば「考える材料にもなるため、どんな質問も愚問にはならない」と述べています。

まだみなが混乱している状態の中、最初に質問をして議論の材料を出すことは会議にとっても生産的ですし、自分にとっても有意義です。

いつも最初に質問していると、マネージャーやまわりからは非常に積極的だと評価されます。

また、質問した後は「すでに自分は話した」と思えるので、落ち着いて話を聞いて、さらに突っ込んだ意見を考えることができます。*4

このように、会議の最初に質問をすることは自分と周囲の人、両方にメリットがあるのです。

また、会議の最初であればまだ議論が起こってないため、「間違えるかも」という心配もありません。最初に質問をすることを繰り返せば、会議での発言にも少しずつ慣れていけるはずです。

とはいえ、何を言えばいいかわからない……という人は、先に述べたとおり「事前に準備しておく」ことが有効です。とっさの対応が苦手な人でも、会議の最初にリスト上の質問をするだけなら簡単でしょう。

会議で発言するビジネスパーソン

***
普段、会議でなかなか発言できないという人は、事前準備や他者の意見を聞くことで自分が発言しやすい環境をつくってみましょう。「○○するだけ」という低めのハードルを設定して、少しずつ発言に慣れていってください。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
藤真唯

大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト