デキる30代が “絶対にやらない” 3つのこと。20代で高く評価された人ほど、じつは危ない

松本利明さん「デキる30代が絶対にやらない3つのこと」01

新卒で入社して数年が経ち、そろそろ30代になるというタイミングは、多くの経験を積んで仕事にも慣れてきた頃。そのため、仕事に充実感を覚えている人も少なくないでしょう。

でも、「その働き方次第では、30代以降になって壁にぶつかるかもしれない」と指摘するのは、PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手コンサルティング会社を経て独立し、数多くのビジネスパーソンのキャリア形成を支援している人事・戦略コンサルタントの松本利明(まつもと・としあき)さんです。「デキる30代」になりたいみなさんのために、デキる30代がやらないことを教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

将来の出世を左右する、30代は勝負の時

20代と30代では、ビジネスパーソンとしての役割が大きく変化します。というのも、私たちが生きるこの社会を実際に動かしているのが、じつは30代だからです。特にいまはインターネットの普及により、IT企業などには若い経営者が増えています。社会の中心というと、もっと上の世代のように思うかもしれませんが、私は30代こそがその中心にいると考えています。

もちろん、中小企業ならともかく、一般の大企業に勤めている場合なら30代で役職がつくケースはそれほどありません。でも、やはりビジネスの現場を大きく動かしているのは30代です。もっと言うと、大企業であれば将来の幹部候補になる人たちは、28歳くらいから30代のあいだにその選別が終わります。

つまり、それが意味するのは、20代の経験をふまえて30代で大きく羽ばたけないと、将来の出世が難しくなるということ。30代は、勝負の時なのです。

その勝負に勝つためには、30代が仕事で求められることを「知る」必要があります。なぜなら、20代と30代では仕事において求められることが大きく変わるからです。20代では、自分が担当している業務に関して一人前以上になることが求められます。ある程度の正解があるなかで、納期をきっちりと守って与えられた仕事を正確に仕上げることで評価されるのです。

一方、30代になると、そのような正解がある仕事はできて当たり前とみなされます。そして、それだけでなく、「自立的に活躍して、より大きな成果を挙げてほしい」と求められるようになります。たとえこれまでに経験がないことであっても、主体的に調べたりまわりから情報を得たりして、自ら動いて成果を挙げなければならないのです。

松本利明さん「デキる30代が絶対にやらない3つのこと」02

 

デキる30代は、社内であっても活躍できる場を広げていく

では、そんな「デキる30代」になるにはどうすればいいでしょうか? ここでは、それと対照的に大きく羽ばたくことができない30代がやりがちなこと、つまり「デキる30代がやらないこと」を示しながら解説しましょう。

デキる30代がやらないこと

  1. 過去の成功体験を手放さない
  2. 自分の担当業務を極めようとする
  3. 自分の正論を通そうとする

成功体験は、人間の大きな原動力となります。多くの人は、20代のときに上からの指示通りにきっちりと仕事をこなすことで評価されましたから、その成功体験をなぞろうとするものです。でも、本当にやるべきことは、20代から30代にかけてのあいだに自分の強みという持ち札を増やしていくこと。ひとつの持ち札に固執してしまうと、ある場面でだけ使い勝手のいい「作業員」になってしまいます。ですから、過去の成功体験にしがみつかず、どんどん自分の強みを増やしていくべきです。

また、2つめの「自分の担当業務を極めようとする」も、それに近いことです。多くの人が、20代のうちに自分の担当業務において一人前以上になったことで評価されますから、「この仕事はもっと極められるのではないか?」などと、いまの立場でやれることをやり尽くしてから、次のキャリアを考えようとするものです。

でも、自分の強みや活躍できる場を広げていこうと思えば、戦うフィールド自体もどんどん広げていく必要が出てきます。そのチャレンジにより、自分の強みという持ち札が増えるからです。

戦うフィールドを広げるのであれば「転職」という選択肢もありますが、同じ会社のなかでもできることがあります。新しいプロジェクトに自ら飛び込んだり部署を変えたりして、自分が活躍できるフィールドを広げるべきでしょう。そうでなければ、やはり先に指摘した、ただ便利に使われる作業員に甘んじることになります。

松本利明さん「デキる30代が絶対にやらない3つのこと」03

必要不可欠な、「みんなで成功する」という視点

デキる30代がやらないことの3つめは、「自分の正論を通そうとする」こと。20代では、先に述べたように、ある程度の正解があるなかで与えられた仕事をきっちりと仕上げることが求められます。そのため、その正解が自分にとっての正論となり、立場や意見が異なる人に対してもその正論を通そうとしがち。

でも、会社組織としてより大きな成果を挙げようと思えば、社内で立場や意見が異なる人の意見も取り入れながら、仕事の質を上げていかなければなりません。たとえば、製造と営業では立場が違うのですから、前者なら製品の質やコスト、後者なら売上を重視するでしょう。両者の意見は違って当然です。

それなのに、そこでただ自分の正論をぶつけるだけでは、組織として前に進むことはできません。「お客様のためにどうするのが一番いいのか」を念頭に、意見が異なる人たちをも味方に引き込むようなことを考えなければならないのです。

もしそれができなかったとしたら、周囲に敵をつくってしまうことになります。自分の正論を振りかざす人は、「これが正しいんだ!」と信じ込んでいますから、意見が異なる人と折り合いをつけようとはしません。そうなると、なんらかのトラブルに見舞われるなどしたとき、周囲から助けてもらえないどころか、自らがつくってしまった敵に足を引っ張られることもあるでしょう。

そして、30代になってより大切となるのは、後輩など、組織のなかで立場が強くない人を大事にすることではないでしょうか。よくないケースで言えば、営業成績はとても優秀なエース級の営業マンなのに、いつも経費精算が遅れるといったことがそうです。仕事をスムーズに進めるには、経理などバックオフィスの人たちとの連携も欠かせません。

意見が異なる人たちもうまく巻き込んで組織を動かすというと、対立する相手のほか、上層部のほうにばかり目を向けがちです。でも、実際に仕事が動き出したあとは、それに関わる後輩やバックオフィスの人たちの協力も必要不可欠。うまく仕事を進めて成果を挙げるために、その仕事に関わる人たち全員を大事にし、「みんなで成功する」ことを考えていきましょう

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【プロフィール】
松本利明(まつもと・としあき)
1970年12月12日生まれ、千葉県出身。人事・戦略コンサルタント。HRストラテジー代表。HR総研客員研究員。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手コンサルティング会社のプリンシパル(部長級)を経て現職。世界や日本を代表する大企業からスタートアップ企業まで、600社以上の人事改革に従事。5万人のリストラと7,000名を超えるリーダーの選抜と育成を行なった「人の『目利き』」。近年は企業向けのコンサルティングに加え、「誰もが自分らしく活躍する世の中」に近づけるため、自分の持ち味を活かしたキャリアの組み立て方を学生、ワーキングマザー、若手からベテランまでのビジネスパーソンに教えている。個別のアドバイスを5,000名以上にライフワークとして提供し、好評を博す。『できる30代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)、『稼げる人稼げない人の習慣』(日本経済新聞出版)、『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)、『5秒で伝えるための頭の整理術』(宝島社)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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