
——1週間前から準備した案。でもうまく説得できず「もう少し深く考えてから発言して」と上司から言われてしまった……。
——同期と似たような内容を説明しているのに、なぜ自分だけ「考えが浅い」と評価されるの?
会議やプレゼンで発言したとき、「考えが浅い」と思われてしまったことはないでしょうか? でも、それはあなたの思考力の問題だとは一概に言えません。むしろ、注目すべきは「話し方」にあるのです。
今回は、ビジネスシーンで無意識にやってしまいがちな「考えが浅いと思われる話し方」の特徴を3つご紹介。これらを避けるだけで、発言力が向上し、周囲からの評価も変わるはずです。
1.「みんな思っています」は言わない
「でも、みんなこのサービスに興味をもってます」
上司から新企画への懸念を示されたとき、つい使ってしまう「みんな」という言葉。これが「考えが浅い」と評価される原因かもしれません。
「みんなって?」と聞かれたら、その根拠を差し出すのは難しいはず。「みんな」は幻想にすぎないからです。多摩大学名誉教授、白藍塾塾長の樋口裕一氏は、「みんな」という言葉は、根拠が曖昧になりやすいと指摘します。
「みんな」と言っても、誰がそう言っていたかは記憶にない。じつは一人か二人しか言っていない気もする。あるいは、自分しか言ったことがなかったかもしれない。それでも、自分の話を補強するために、つい「みんな言ってます」と言ってしまうのだ。*1
チームや上司を説得する際に「みんな」という言葉は、「主観に偏りがち」だと捉えられてしまいます。その結果「自分の提案に、根拠もないのか……」と「考えが浅い」と受け止められる可能性があるのです。
一方、評価される人は、必ず具体的な根拠とセットで話します。
❌ NG例:根拠のない発言
✅ OK例:具体的な根拠
「提案+根拠」で話す習慣を意識してみましょう。「事実をふまえて考えたうえで話している」と評価につながるはずです。

2.「出来事から」話さない
「昨日の夕方、部長から修正指示が出て、それで夜にデータを集め直して、今朝になって……」
要点を聞かれたのに、つい時系列で説明してしまう。これは「何を言いたいの?」と思われる典型パターンです。
「結論から話す」ことの重要性は、多くのビジネスパーソンが耳にしているでしょう。しかし、意外と身につけるのが難しい話し方でもあります。
「頭のいい人が話す前に考えていること」の著者である安達裕哉氏は、結論から話すことができる人は少なく、「出来事の順番通りに話す」人が多いと話します。なぜなら、「順番通りに話す」ことは、日本人の思考パターンにフィットするから。*2
特に以下の状況では、思わず「出来事から言ってしまう」傾向にある、と安達氏は指摘。
答えを急かされたとき
上記のような「ピンチのとき」の話し方で、普段から「考えているor考えていない」と判断されてしまう可能性があるのです。
では、どうすれば「結論から話す」習慣を身につけられるのでしょうか? 解決策は簡単です。安達氏が以前、コンサルティング会社で上司から提案されたのは「『結論から言うと』を枕詞にさせる」こと。*2
「結論から言うと~~」を一番始めに話し、そこから意見を述べるということです。これは、「出来事から話す」従来の考え方のクセを直す方法です。
❌ NG例:出来事から話す
✅ OK例:「結論から言うと」を枕詞にする
「結論から言うと……」と冒頭にもってくれば、要点を素早く言うクセも身につきます。いつも答え(結論)から言える人になれば、「頭が整理されている人」として評価されるようになりますよ。

3.「わかりません」は言わない
「すみません、ちょっとわからなかったのですが……」
「わからない」ことを認めるのは、謙虚である証。ただし、人に質問する際に「わからないのですが……」と率直に言うのは、注意が必要です。
「『育ちがいい人』だけが知っていること」の著者、マナー講師の諏内えみ氏は、「ちょっとわからなかったのですが……」など、「わからない」だけを訴える質問は「説明者の力不足を指摘しているように聞こえて」しまうと指摘。*3
率直に「わからない」と相手に訴えるのは、一見謙虚な姿勢のように思えますが、聞き手によっては「説明が不十分である」と伝わってしまう可能性があるのです。
私たちは単に「わからない気持ち」を訴えるために質問をしているわけではなく、「わからないことを理解したい」からこそ、質問しているはずです。相手に伝えるためには、「わからない」ではなく「何を知りたいか」を明確に伝えましょう。
❌ NG例:曖昧な質問
✅ OK例:具体的な質問
「何がわからないか」ではなく「何を知りたいか」を明確にするだけで、あなたの質問は「深く理解しようとする姿勢」として評価されます。
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「深く考えている」と思われるには、反射的に口に出すのではなく、言葉に注意を払うことが大切です。言葉の扱い方に慎重になれば、「考えて話している人」とあなたの評価も高まるでしょう。
*1 DIAMOND online|頭の悪い人が使っている日本語、納得の「3つのフレーズ」とは?
*2 Books&Apps|なぜ「結論から話す」が、なかなかできないのか、観察したら、理由が分かった。
*3 東洋経済 ONLINE|会議ですぐバレる「仕事ができない人」のNGワード</a
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。