「職場の人たちは私を認めてくれる。だけど、自分ではなぜか納得感がもてない……。このモヤモヤはいったい何なのか……」
こうした悩みをもつあなたは――もしかしたら、以下に示すような人ではありませんか?
- 周囲が認めるような能力と実績をもつ人
- 自分では「まだ本気を出しきれていない」と感じている人
あなたを客観的にとらえると、まだまだ伸びる可能性がある優秀な人。とても素晴らしいことです。
それは、失敗を恐れ、高望みが激しく、こだわりすぎている部分があるからかもしれません。
本記事では、優秀でなおかつポテンシャルも高いのに、それを十分に発揮できずモヤモヤしている人の問題点と、具体的な改善方法をご提案します。
自分の可能性を羽ばたかせるため、どう行動すべきかがはっきりすれば、あとは実践あるのみ。きっと、あなたが求める高みへとグングン上昇できるはずです。
ポテンシャル高めでくすぶる人の特徴
周囲から高く評価され、自分の伸びしろを認識しながらも、いつまでもプスプスとくすぶっている人には、以下の共通点があるのではないでしょうか。
- 【完璧主義】:優秀ゆえに準備を完璧にしようとこだわる
- 【自己要求が過度】:自分に求める基準が高すぎて満足できない
- 【失敗回避傾向】:高評価を受けているため、リスクをとったチャレンジを避けてしまう
それならば、「行動しながら修正していく仕組み」を手に入れることで、いい方向へと進める可能性があります。その仕組みがあれば、自然と「準備に時間をかけにくくなるから」です。
大切なのは、
完璧ではなくてもまず動く
とはいえ、そんなことを言われても「知っているよ」という感じですよね。「とにかく動け」「完璧より終わらせることが大事」――耳にタコができるほど聞いた話でしょう。
問題は「じゃあ具体的にどうやって動くの?」ということ。
今回は、その対処法をふたつご提示します。
改善案1:「計画A→B→C...」の発想
ビジネスにおける人間関係を語る第一人者として、多くのベストセラーをもつ、アラン・ピーズとバーバラ・ピーズ夫妻は、とにかく動く発想を紹介しています。
ザッと説明すると、こんな感じです。*1
- 「計画A」がうまくいかなければ(あるいは難しければ)
- →「計画B」以下を繰り上げて実行
- →「計画A」は繰り下げる
- →機が熟したら最初のそれを「計画A」に戻して実行
夫妻いわく*1
「計画A」がうまくいかなくても
気にすることはない。
アルファベットは
あと25文字も残っている。”
つまり、この「計画A→B→C...」の発想は――
「完璧にできるまで」ではなく、いったん目標達成リストの順番を入れ替えて、できることから進めていくという、非常にシンプルで柔軟な発想なのです。
実践例
ここで、実践例を示しましょう。
たとえば優秀なITエンジニアの方が、以下のように計画したとします。
- 計画A:新しいフレームワークの基礎を学習する
- 計画B:そのフレームワークを使って小規模なプロジェクトでリーダー経験を積む
- 計画C:次の大きなプロジェクトのアーキテクト役に立候補する
しかし、その際に「新しいフレームワークを完全に習得しなければ」と完璧を目指しすぎると、なかなか前に進めないかもしれません。
その場合――
たとえば以下のように優先順位を入れ替えて、実行可能な計画から踏み切ることで、あなたのなかにあった伸びしろを埋めていくことができるはずです。
- 計画B⇒計画Aに変更:まずは既存のスキルを活かして小規模なプロジェクトでリーダー経験を積む
- 計画A⇒計画Bに変更:リーダー経験を積みながら新しいフレームワークの基礎を学習する
- 計画C⇒Cのまま:経験と知識が揃ったタイミングで次の大きなプロジェクトのアーキテクト役に立候補する
簡単な発想の割には、厚い障壁を取り除くような効果があるはず。
ぜひ一度、お試しください。
改善案2:「価値あるアイデア」発想
グーグル共同創業者ラリー・ペイジ氏の名言には、こんな言葉があります。*2
アイデアに価値はない。それを実行できてはじめて価値になる
グーグルマップやグーグルアースなど、当初は「非常識」と言われたアイデアを次々と実現させてきたラリー・ペイジ氏。
じつは、同氏がアイデアの実現に執念を燃やすようになったきっかけは、優れた頭脳とアイデアをもちながら、借金を抱えて人知れず亡くなった天才発明家ニコラ・テスラの人生を知ったからでした。
どんなに素晴らしいアイデアも、実行されなければテスラのように埋もれてしまう。この教訓が、ペイジ氏の「実行第一」の哲学の原点となっています。*2
この考えは、「ポテンシャルが高いのに、いつまでもくすぶる人」の思考パターンに、一石を投じるはず。
とにかく試す。もし「ちょっと違うな」と思ったら、その都度修正していけばいいのです。
実践例
実践例を示しましょう。
最適な業務改善のアイデアをもちながらも、「完璧に進めなければ失敗する」と二の足を踏んでいた優秀なITエンジニアの方が、実行に移したことを想定した例です。
そこで発想を転換!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓
💡 アイデアをもとに3日(※)でプロトタイプをつくる
→完璧な設計書ではなく、とりあえず動くものを。頭でイメージしているだけではわからなかった問題点も見えてきます。
🔧 職場の人にプロトタイプを試してもらう
→完璧でなくても、実際に触れるものがあることで具体的な議論ができます。
📑 アンケートでフィードバックを収集し、改良する
→最初から完璧を目指すのではなく、実際の声を聞いて段階的に改善。
(※)時間があると「もっとよくできる」と完璧を目指すが、3日という短期限を設けてしまえばその発想を物理的に封じ込められる。また、3日なら「失敗してもそれほど痛手にはならない」という心理的なハードルの低さも。
これにより、頭のなかに浮かんだ何かは、かたちになり、価値あるものに変わったはず。それは自分自身の成長にも、納得感にもつながるのではないでしょうか。
つまり、「価値あるアイデア」を目指してとにかく実行するスタンスをとれば、いつの間にか『くすぶっていた自分』とも「さよなら」できるのです。
「準備は行動しながら整えていけばよい」と考え、できることから始めてみてください。
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どれだけ高いポテンシャルを秘めていても、行動に移さなければ報われることはありません。まずは一歩、自分の力を信じて踏み出してみませんか?
あなたの可能性が、大きく花開いていくはずです。
*1: SUNMARK WEB|準備にばかり時間をかける人と期限を決めてすぐにやる人の圧倒的な差
*2: Forbes JAPAN|「イノベーションは小さなグループから起こる」 グーグル創業者ラリー・ペイジの名言5選
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。