文章の質は論点が決める。クリアで知的な文章を書くための「論点の定め方」

皆さんは文章を書く上で最も大事なことは何だと思いますか? 鋭い切り口や鮮やかな比喩、はたまた流れるような論理構成。書き手によって多種多様な意見があると思います。 しかし多くの編集者や論文を執筆する教授など文章のプロは、ライティングで最も重要な要素は「論点」だと考えているのだそう。 この論点さえしっかりしていれば、初心者でも文章を書くハードルが低くなります。たとえ文章のテクニックや、書こうとする事柄に関して広く深い知識を持っていなくても、読み手の心を動かすことができるのです。 そこでこのコラムでは、論点が文章において果たす役割と、論点を定めるコツについて紹介します。

論点とは問題意識である

論点という言葉をよく聞くことはあっても、「論点とは何か」について明確に説明できる人は、そう多くないかもしれませんね。そこでまず、論点とは何なのかについてご説明しましょう。 論点とは、文章を貫く問いのことです。筆者の問題意識であり、独自の切り口とも言われます。 例えば、「社会人一年目として何を学ぶべきか?」「良い文章は何が秀でているのか?」といったクエスチョンは論点です。しかし論点は、文章にして人に届けようとした途端、次のような問題を起こすことがあります。 それは、自分が述べようとしていることの論点と相手の期待している論点が、すれ違ってしまうということ。 就職活動中の学生が、書類の自己アピール欄に「学生時代に最も頑張ったことは音楽活動である」と書いたとしましょう。学生のここでの論点は「私の音楽に対する情熱はどれほどか?」です。一方、企業の採用担当者が書類の自己アピール欄に書かれる内容から知りたいことは、「応募者が自社の仕事への適性があるか?」ということのはずですよね。 つまり、学生がいくら音楽活動を頑張ったことをアピールしたとしても、それでは学生・採用担当者双方の論点が噛み合っていません。学生の主張が企業側に響かなくても、当然と言えます。逆を返すと、「音楽活動で培った経験を、いかに仕事に還元できるか?」という論点で書けば、相手の印象に残る文章に様変わりするのです。 このことは、就職活動だけでなく、仕事上の日々のメールや、書類の作成、記事のライティングなどでも同様のことが言えます。まずは、メッセージを伝える相手、つまり、上司や取引先、読者が、自分に何を期待しているのかをキャッチしましょう。そして、双方の興味が交差する論点を用意するのです。 互いの論点整理こそが、他人に響く良い文章を書く第一歩です。

テーマと論点の違い

次に、多くの人が混同しやすい、「テーマ」と「論点」の違いについて説明します。 例えば、「世界平和」というテーマが与えられ、そのまま「世界平和について」という文章を書いたとしましょう。しかし、「世界平和について」は文章の大枠でしかありませんから、このまま書くと、あまりにも壮大で非常にぼやけた文章になる可能性が高くなってしまいます。 ですから、テーマをそのまま論点にすればよいのではありません。テーマから問いを立てて論点を絞り込む、つまりピントを合わせるという作業が必要なのです。 情報整理術を説いた書籍『「超」整理法』などのベストセラーで知られる野口悠紀雄氏は、文章術について説いた著書『「超」文章法』のなかで、次のように述べています。
広いテーマを一定の字数で論じようとすれば、どうしても浅く、薄くなってしまう。間口ばかり広くて、深みのない内容になる。通勤電車をどう過ごすかなら、一五〇〇字あれば意味ある文章が書ける。しかし、人生をどう有意義に過ごすかをこの字数で論じようとしても、意味ある内容にはなるまい。

(引用元:野口悠紀雄著(2002), 『「超」文章法』, 中央公論新社.)

そこで『BRUTUS』という雑誌を見てみましょう。この雑誌は、ジャンルにとらわれず様々なテーマから企画を立てていることが特徴の雑誌なのですが、毎号、論点がテーマから明確に絞り込まれています。以下はその一例です。
  • アート(テーマ)→現代アートを暮らしに取り入れるには?(論点) -2016年10月15日発売号
  • 映画(テーマ)→外れない映画の選び方は?(論点) -2016年12月1日発売号
  • グルメ(テーマ)→2017年にお取り寄せするべき食べ物は何ですか?(論点) -2017年1月13日発売号
独特でありながら具体性を伴う、面白い論点ばかりですね。壮大なテーマから、しっかり問いを絞り込んでいます。 このようにテーマと論点は異なるもの。文章を書く際には、両者を混同しないように気を付けてください。テーマは「枠」であるのに対して、論点は「点」のイメージです。 ではここからは、論点を定めるコツを紹介します。

論点を定めるコツ1:意見と論点を一貫させる

問い(論点)には必ず答え、すなわち「意見」が存在しています。
  • (論点)良い文章は何が秀でているのか?
  • (意見)良い文章は「論点」が明確で独特である。
先に意見を明確にしてから論点を言葉にするも良し。逆に、先に論点を定めてから意見を導き出してもかまいません。大事なのは意見と論点が対応し、一貫したメッセージを発信していることです。これは仕事だけでなく大学の論文などすべての文章に言えることです。 しかし、論点と意見が一貫しないことはよく起こります。次の例を見てください。
  • (論点)ライターの心構えは何か?
  • (意見)良い文章は「論点」が明確で独特である。
この場合は、論点に対して意見が答えになっていませんね。 Webサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』で「おとなの小論文教室。」を連載中の山田ズーニー氏(文章表現インストラクター)によると、執筆者が、文章を書いているうちに夢中になって文章が脱線してしまうことはよくあるそうです。だから常に文章を俯瞰し、自分の取り上げた「問い」に対して、自分の意見・結論が打ち出せているかをチェックすべきだと指摘しています 意見と論点はまさに表裏一体。しっかりと両者を呼応させましょう。

論点を定めるコツ2:論点は「疑問形」にする

論点は文章を貫く問題意識ですので、常に疑問形で設定する癖を付けるべきです。 例えば「良い文章について」と書き出すのではなく、「良い文章の条件は何か?」というようにクエスチョンにするのです。そうすることで、文章の方向性が指し示されます。この疑問文に応えながら文章を書き進めていくと、「構成は?」「書き手は?」「文体は?」など、様々な観点から突っ込みを入れつつ、独自の意見を導き出すことができます。 だから文章の書き始めに迷うときは、疑問文から始めてみてください明確な問いを最初に提示すれば、自分の意見がふわふわと何処かへ流されていくことを防ぐことができるのです。
*** まさに「論点を制するものが、文章を制する」。どんな文章も、問いを立て論点を定めることが、ライティングにおいては不可欠だと言えるのではないでしょうか。 文章を書く際には、本日紹介したポイントを意識してみてください。きっと以前よりも相手に響く文章が書けるはずです。

(参考)

  • 山田ズーニー著(2001), 『伝わる・揺さぶる!文章を書く』, PHP研究所.
  • 野口悠紀雄著(2002), 『「超」文章法』, 中央公論新社.
  • マガジンハウス | BRUTUS

会社案内・運営事業

  • 恵学社

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、大学受験の予備校「学び舎東京」「烏丸学び舎」や、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」を運営。
    >> HPはこちら

  • 学び舎東京

    烏丸学び舎

    東京・京都に校舎を構える個別指導の予備校。勉強に過度な精神性をもちこまず、生徒1人1人に合理的な勉強方法を提示することで「東大・医大に合格できた!」「3ヵ月で偏差値が15上がった!」などの成果が続出。
    >> HP(東京校舎)はこちら
    >> HP(京都校舎)はこちら

  • english company

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >> HPはこちら