マーケ用語を覚えておこう|広告の種類と基本用語編【新人さんのためのマーケティング講座 vol.10】

vol.1から9まででマーケティングの基本を学んできました。
でも、実際に会議に出ると「GDN」「DSP」「リタゲ」といった専門用語が飛び交って、何を話しているのか分からない…そんな経験、ありませんか?

今回からは「用語編」として、実務でよく使われる言葉を分かりやすく解説していきます。
vol.10では、まず押さえておきたい「広告の種類と基本用語」を紹介します。

そもそもディスプレイ広告って?

まず基本から。Web広告には大きく分けて「リスティング広告(検索結果に出る)」と「ディスプレイ広告(サイトに出る)」があります。ここではディスプレイ広告について理解しましょう。

 

ディスプレイ広告

Webサイトやアプリを見ているときに、ページの横や上に表示される画像や動画の広告。

メモ
ニュースサイトを読んでいるときに、記事の横に出てくる広告がこれです。バナー形式で表示されることが多いので「バナー広告」とも呼ばれます。

ディスプレイ広告には大きく2種類あります。

 

純広告(予約型広告)

特定のサイトの広告枠を、期間を決めて買い取る方法。たとえば「Yahoo!トップページに1週間掲載」といった買い方をします。

メモ
確実にその場所に表示されますが、費用は高めです。昔ながらの広告の買い方ですね。

 

運用型広告

配信しながらデータを見て、ターゲット設定や入札額を調整していく広告。現代の主流はこちらです。

メモ
「この広告、反応悪いな」と思ったら画像を変えたり、配信先を変えたりできます。柔軟に改善できるのが強みです。

広告配信の仕組み:アドネットワーク

ディスプレイ広告を出すとき、一つ一つのサイトと個別に契約するのは大変です。そこで「複数のサイトをまとめて配信できる仕組み」が登場しました。それがアドネットワークです。

 

アドネットワーク

複数のWebサイトやアプリをまとめて、広告を一括配信できるネットワークのこと。

メモ
たとえば100個のサイトに広告を出したいとき、アドネットワークを使えば1回の設定で全部に配信できます。効率的ですよね。

日本で最も使われているアドネットワークが、この2つです。

 

GDN(Googleディスプレイネットワーク)

Googleが提供するアドネットワーク。YouTubeやGmail、Googleと提携している何百万ものサイトに広告を配信できます。

メモ
会議で「GDNで配信」と言われたら「Googleのネットワークを使うんだな」と理解すればOKです。

 

YDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告)

Yahoo!が提供するアドネットワーク。Yahoo!ニュースやYahoo!知恵袋など、Yahoo!関連サイトや提携サイトに広告を配信できます。

メモ
以前は「YDN」という名前でした。GDNとYDAが日本のディスプレイ広告の2大巨頭です。

もっと賢い広告配信:DSP・SSP・RTB

アドネットワークでも便利なんですが、さらに進化した仕組みがあります。「広告主は安く効果的に出したい」「メディアは高く売りたい」という両方の願いを、自動で叶えるシステムです。ここが現代のWeb広告の核心部分です。

 

DSP(デマンドサイドプラットフォーム)

広告主側(Demand=需要側)のためのシステム。複数のアドネットワークに一括で広告を出せて、「どのユーザーに」「いくらで」「どの広告を」出すかを自動で最適化してくれます。

メモ
広告主の立場で「できるだけ安く、効果的に広告を出したい」を叶えるシステムです。

 

SSP(サプライサイドプラットフォーム)

メディア側(Supply=供給側)のためのシステム。広告枠をできるだけ高く売るため、複数のDSPからの入札を受けて、最も高い金額の広告を自動で選んで表示します。

メモ
メディアの立場で「広告枠から最大限の収益を得たい」を叶えるシステムです。

では、DSPとSSPはどうやって連携しているのでしょうか?

 

RTB(リアルタイムビッディング)

ユーザーがWebページを開いた瞬間(0.1秒以内)に、複数のDSPが自動で入札して、最も高い金額を提示したDSPの広告が表示される仕組み。

メモ
あなたがニュースサイトを開いた瞬間、裏側では複数の広告主が「この人に広告を見せたい!」と瞬時にオークションをしているんです。まるでオークション会場みたいですね。

DSP・SSP・RTBの流れ

1. あなたがWebサイトを開く
2. SSPが「広告枠があります!」と複数のDSPに通知
3. 各DSPが「この人には100円出します」「私は120円!」と入札
4. SSPが最高額(120円)を選択
5. その広告が表示される

これが全部0.1秒で完了!

 

賢く再アプローチする広告

一度サイトに来てくれた人は、すでに興味を持っている「見込み客」です。その人たちに、もう一度アプローチする方法がこちら。

 

リターゲティング広告(リマーケティング広告)

一度あなたのサイトを訪れた人が、他のサイトを見ているときに、もう一度同じ商品の広告を表示する仕組み。

メモ
ECサイトで見た靴の広告が、その後YouTubeやニュースサイトでも表示される…あれです。「リタゲ」と略されます。一度興味を持った人に再アプローチできるので、効果が高いんです。

広告の見せ方いろいろ

同じディスプレイ広告でも、見せ方を工夫することでユーザーに受け入れられやすくなります。代表的な2つの手法を紹介します。

 

ネイティブ広告

コンテンツに自然に溶け込むように作られた広告。ニュースメディアなら記事風に、SNSなら投稿風に表示されます。

メモ
ニュースアプリで「PR」マークがついた記事風の広告を見たことありませんか?あれがネイティブ広告です。コンテンツと似た見た目なので、ユーザーに受け入れられやすいんです。

 

インフィード広告

コンテンツとコンテンツの間(フィード内)に表示される広告。InstagramやTwitterの投稿の間に表示される広告がこれです。

メモ
インフィード広告はネイティブ広告の一種です。SNSのタイムラインにスルッと入り込むので、自然に見てもらえます。

課金の仕組み

広告を出すときに「いつお金を払うか」は重要です。主な課金方式を2つ紹介します。どちらも「無駄な費用を抑える」工夫がされています。

 

PPC広告(ペイ・パー・クリック)

広告がクリックされたときだけ料金が発生する課金方式。何度表示されてもクリックされなければ無料です。

メモ
Google広告やFacebook広告の多くがこの形式。「表示されただけで課金」だと無駄が多いので、「クリックされたときだけ課金」の方が合理的ですよね。

 

アフィリエイト広告

個人や企業が運営するサイトやブログに広告を掲載してもらい、商品購入などの成果が出たときだけ報酬を支払う広告。

メモ
「美容ブロガーが使ってみた」系の記事で商品が紹介されていて、そこから購入すると紹介者に報酬が入る…あの仕組みです。成果が出たときだけ払えばいいので、リスクが低いのがメリット。

用語は「英語の意味」で覚えよう

今回紹介した用語をもう一度整理します。

覚えるコツ

DSP → Demand(需要)Side = 広告主側
SSP → Supply(供給)Side = メディア側
RTB → Real Time Bidding = リアルタイム入札
PPC → Pay Per Click = クリックごとに支払い

英語の略語は、元の意味を知ると覚えやすくなります!

会議で「GDNとYDAで運用型広告を配信して、リタゲも回します」と言われても、もう意味が分かりますね。

次回vol.11では「効果測定の指標」として、CPC、CTR、CVRなど、数値で広告効果を測る用語を解説します。

実際の会議で分からない用語が出てきたら、その場でメモを取る習慣をつけましょう。後で調べて理解を深めれば、自然に用語が身についていきますよ。

【新人さんのためのマーケティング講座全記事はこちら】
vol.1:マーケティング部ってなにするところ?
vol.2:「顧客獲得の仕組み」をつくるって何をすること?
vol.3:考える武器 "フレームワーク" を手に入れよう。
vol.4:Webマーケティングってなにをすること? 具体的手法を整理しよう
vol.5:CTRとかCVRとかって何のこと? 数字をどう読み、どう動けばいい?
vol.6:KGIとKPIとは? マーケティングの「宝の地図」の作り方
vol.7:マーケティングファネルがわかればもう迷わない。恋愛に学ぶ「ファネル」の話
vol.8:Web広告って、結局どれがいいの? 目的別Web広告の選び方
vol.9:CPAが効果検証の要! できるだけお金をかけずにお客様に振り向いてもらおう
vol.10:マーケ用語を覚えておこう|広告の種類と基本用語編
vol.11:マーケ用語を覚えておこう|効果測定の指標用語
vol.12:マーケ用語を覚えておこう|SEO/SEM関連用語編
vol.13:マーケ用語を覚えておこう|アクセス解析用語編
vol.14:マーケ用語を覚えておこう|総合テスト編

【プロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)

スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学卒業。2010年に創業。「Study Smart(合理的に学ぶ)」をコンセプトに、科学的知見に基づく英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を設立し、人気ブランドへと成長させる。 事業拡大の要として、自らオウンドメディアとSNSの編集長を兼任。オウンドメディアは最大500万PV、Instagramでは月間700万PV、フォロワー27万人規模のメディアにするなど、広告費に依存しない集客モデルを確立する。現在はその知見を活かし、「企業の認知獲得の専門家」として、論理とデータに基づいた再現性の高いメディア戦略・ブランディング論を発信している。X(@oka_kgs)

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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