最近はビジネスだけでなく、あらゆる分野において論理的思考が必要とされるようになってきました。書店でも、その重要性や身に着け方を指南する本が大量に並んでいるのを見かけますよね。ですが、論理的思考は読んで字の如く、単なる知識ではなく“思考”。本を読んだだけで簡単に身につくものではなく、地道なトレーニングが必要です。 そこで今回は、論理的思考法を身に着けるためのトレーニング法として「センター現代文を解くこと」をおすすめしていきます。
現代文読解は理詰めのチェックテスト
センター試験と聞いて懐かしい! と思った人も、受けたことない、という方もいらっしゃると思います。センター試験を知らない方のために簡単に解説いたします。
センター現代文の問題形式は、 「〇〇とあるが、それはどういうこと(なぜ)か。その説明として最も適当なものを選べ」 という設問に対して、正しいものを4つか6つの選択肢から選ぶものが大半を占めます。 そして解答には、 「『△△』は本文に書かれていないので×」や「『□□』についての説明がないので不適当」 という、×の根拠が記されています。
このようにセンター現代文の問題は、文章中から読み取れることを過不足なく記した選択肢を選ぶことに終始します。少し余分なことが書かれていても、内容が微妙にズレていてもダメ。類似した選択肢の中からジャストな一つを選ぶ。これこそ、まさに現代人に必要とされる論理的思考そのものではないでしょうか。
質・量ともに完璧なセンター現代文
色々な本も出ている“論理的思考を鍛えるトレーニング”では、論理的に話を展開することを重要視しています。論理的思考を実現するために最初に必要なスキルは、相手の話を論理的に分析すること。 それに加えて、「論理的話し方トレーニング」や「論理的説明トレーニング」と合計三つのスキルが必要となります。
しかし、最初に必要とされる分析のスキルのトレーニング法が、後者二つに比べて少ないような気がしませんか? まず最初に相手の話の分析が出来ないことには論理的思考にたどり着かないのに、トレーニング方法が少ないというのはどういう理由でしょう。筆者は、「分析の練習に必要な"論理的に完璧な解答を持つ問題”がそもそも少ないから」ではないかと考えます。
そこで、最適なトレーニングとして挙げたのが、冒頭から説明しているセンターの現代文です。 センター試験は50万人以上が受ける試験なので、誰から見ても完璧な正解でなければいけません。そのため、解答は論理的で矛盾のないものとなっています。練習量も、過去問や問題集、センター模試等を加えれば十分すぎるぐらいの問題がそろいます。 そして上述の通り、なぜ違うのか、どこが違うのかが徹底的に細かく書かれています。これこそが“センター現代文が論理的思考を鍛える良い教材となる”と考える理由です。
また、センター現代文ではあらかじめ選択肢、つまりダメな解答も用意されているので、どうしたらロジックが整うのか、どうしたら崩れてしまうのか、という例を示してくれています。ここも論理的分析、思考、発言の初歩トレーニングとして評価できる部分です。
必要なのはセンスではなく論理的思考力
受験生時代に現代文で苦しんだ方も多いと思います。そういった方は口をそろえて「現代文はセンスだ。勉強のしようがない」と言いますが、そうではないということを改めて伝えたいと思います。先ほど述べたように、現代文の問題は誰から見ても間違いなく正しいものでなければありません。 正解は筆者の心の中でも作問者の心の中でもなく、ただ文中にのみ存在し、決して「〇〇と書いた作者の思いを想像しなさい」といった問題はありません。 文章中から読み解き、アウトプットする力こそが現代文で求められているものです。
すなわち、現代文の「センス」と言われているものこそが、今、求められている「論理的思考力」そのものなのです。
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いかがでしたか? 論理的思考を鍛えるには本を読むだけではなく、実践が大切です。センター現代文の過去問は本屋で簡単手に入れることができますので、ぜひ一度解いてみてください。