「今年、何をしたっけ?」で終わらせない。成果を変える「年末5分」の“振り返りノート”戦略的振り返り

年末の振り返りでスマホのカレンダーや写真を見ながらメモを取る女性

「今年もあっという間だった」
「目の前の仕事をこなすだけで終わってしまった」

年末、ふと手帳を見返してこう感じることはありませんか?

もしそうなら、あなたのこの1年の頑張りは、
単なる「消費」で終わっているかもしれません。

忙しい20代、30代のビジネスパーソンに今必要なのは、
時間をかけて思い出に浸ることではありません。

脳の仕組みを利用し、「やりっ放しの経験」を「来年の成果を生むリソース(資源)」に変換する作業です。

年末のスキマ時間、たった5分から始められる「戦略的振り返り」の技術をお伝えします。

なぜ、優秀な人は「振り返り」をサボらないのか?

「経験を積めば、人は成長する」
これは半分正解で、半分間違いです。

組織行動学者のデイビッド・コルブが提唱した「経験学習モデル」によれば、
人はただ経験するだけでは学習しません。

「経験」したことを「省察(振り返り)」し、
そこから「概念化(教訓化)」して初めて、次の「実践」に活きる
とされています。

「目標実現のスペシャリスト」でメンタルコーチの大平信孝氏は、
振り返りの効用は「成果を出しやすくなる」ことだと述べています。*1

つまり、どんなに激務をこなしても、
振り返りのプロセスが抜けていれば、
それは「経験」ではなく、単なる「時間の通過」に過ぎません

同じ失敗を繰り返す人と、短期間で急成長する人の差は、
能力ではなく「経験を教訓に変えるサイクル」を回しているかどうかにあります。

来年、確実に成果のレベルを上げたいなら、
年末のこの時期に「経験の棚卸し」をスキマ時間で行なってしまいましょう。

やるべきことはシンプルに2つだけです。

Step 1. スマホを「外部記憶装置」として使い、事実を客観視する

1年の行動を振り返るためにスマホで写真フォルダやカレンダーを確認する様子

「1年を振り返ろうにも、何をしていたか思い出せない」
これは脳の機能上、仕方のないことです。

人間の記憶は曖昧で、直近の出来事や印象的なトラブルばかりを
優先して思い出す「利用可能性バイアス」がかかりやすいからです。

そこで、記憶に頼らず「事実(ファクト)」に当たりましょう。
最強のツールは、あなたの手元にあるスマートフォンです。

 
  • Googleカレンダー(または手帳)
  • 写真フォルダ(カメラロール)
  • Googleマップのタイムライン

これらは、あなたの行動ログそのものです。

リラックスして思い出に浸るのではなく、
「自分という社員の1年間の業務日誌」を確認するつもりで、
月ごとにざっとスクロール
してください。

ポイントは、12ヶ月分を完璧にやろうとしないこと
「ベビーステップ(小さな一歩)」で十分です。

移動中や寝る前の数分間、
「1月はこんなプロジェクトがあったな」
「8月はここに行ったな」と事実を拾い上げ、簡単なメモを残す。

これだけで、脳内のバイアスが外れ、
1年の全体像がファクトベースで可視化されます。

たとえば、こんな具合です。

スマホの写真やカレンダーを見ながら月ごとの出来事を書き出した振り返りノートの例

実際に筆者が試してみたところ、
1ヶ月分ならだいたい5分程度で振り返ることができました。

Step 2. 思考のフレームワーク「GPS振り返り」で、経験を資源化する

事実を把握したら、次はそれを「使える資源」に加工します。

すべての出来事を振り返る必要はありません。
「心が動いたこと」「特に成果が出た(あるいは出なかった)こと」を
いくつかピックアップし、深掘りします。

ここでは、習慣化コンサルタントの古川武士氏が提唱する
「GPS振り返り」をおすすめします。

短時間で「次のアクション」まで導き出せるフレームワークです。

【GPS振り返りのフレーム】

Good(よかったこと)

  • うれしかったこと、楽しかったこと、できたことは? 成長したことは?
  • 感謝できること、気づけたこと、経験できてよかったことは?

Problem(反省点)

  • やろうと思ってできなかったこと、うまくいかなかったことは?
  • 失敗したこと、認められなかったこと、後悔していることは?

Solution(改善行動)

  • 「Good」のなかで継続することは?
  • 「Problem」を改善・解決する行動は? *2

【実践例】

筆者は今回、「ルーティンづくり」と「仕事Bの進め方」について
振り返ってみました。

すると、具体的で実践しやすい解決策が自然と思い浮かび、
気づけば気持ちもすっと軽くなっていました。

GPS振り返りフレームワークを使って Good・Problem・Solution を書き出したノートの実践例

こうして整理した「Solution」は、
そのまま来年の目標づくりにも直結します。

これこそが「経験の資源化」です。

年末の「5分」が、来年の自分を助ける

振り返りを行なわない限り、私たちは来年もまた、
同じような場所で躓き、同じような景色を見ることになります

年末の多忙な時期だからこそ、
移動中や待ち時間の5分を使ってください

スマホの写真を見返し、GPS振り返りでメモを取る。

この小さな「知的生産」のプロセスが、
あなたの今年の経験を、来年の武器へと変えてくれます

気持ちよく新年を迎え、ロケットスタートを切るために。
今日から早速、スマホのカメラロールを1月まで遡ってみませんか?

よくある質問(FAQ)

Q. 年末の振り返りは何分くらいかかりますか?

A. 1ヶ月分の振り返りなら約5分程度で完了できます。スマホのカレンダーや写真フォルダを月ごとにスクロールし、気になった出来事をメモするだけなので、移動中や待ち時間のスキマ時間でも十分に実践可能です。

Q. 振り返りに使えるおすすめのツールは何ですか?

A. スマートフォンに標準搭載されている「Googleカレンダー(または手帳アプリ)」「写真フォルダ(カメラロール)」「Googleマップのタイムライン」がおすすめです。これらは日々の行動ログとして機能し、記憶に頼らず事実ベースで1年を振り返ることができます。

Q. GPS振り返りとは何ですか?

A. GPS振り返りとは、習慣化コンサルタントの古川武士氏が提唱するフレームワークです。「Good(よかったこと)」「Problem(反省点)」「Solution(改善行動)」の3つの視点で経験を整理し、次のアクションにつなげる手法です。短時間で実践でき、来年の目標設定にも直結します。

 

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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