「毎日勉強してるのに、成長を感じない人」が見落としているたった1つのこと

学習リストの実践紙面

毎日やることリストにチェックを入れて、「今日も勉強した」と満足しているのに、数週間後に気づく——「結局、何ができるようになったんだっけ?」

会議の合間に英単語アプリを開き、通勤電車でビジネス書を読み、夜は資格試験の問題集に向かう。TODOリストには次々とチェックマークがつき、「今日もちゃんとやった」という達成感がある。

でも、ふと立ち止まって考えると——

「TOEICの点数は少し上がったけど、実際の商談では全然英語が出てこない」
「Python入門書を3冊読んだのに、実務で使えるスキルが身についた気がしない」
「毎日勉強しているはずなのに、キャリアアップにつながっている実感がない」

真面目に計画を立て、毎日コツコツ努力しているのに、なぜか成果を実感できない。そんなモヤモヤを抱えていませんか?

その原因は、あなたの努力不足ではありません。「やることリスト」という学習計画の立て方そのものに、見落としがちな落とし穴があるのです。

本記事では、「勉強しているのに成果が出ない」というビジネスパーソン特有の悩みを解決する、「状態ゴール」を軸にした効率的な学習方法をご紹介します。

「やることリスト」の落とし穴とは?

やることリストは便利なツールです。しかし、意外な落とし穴があります。それは——

 

「やった感」にとらわれ、本来のゴールを見落としてしまうこと。

たとえば、「来年には英語で商談できるようになりたい」という目標を立て、以下のようなやることリストを作成したとしましょう。

  • 単語帳を1日2ページ覚える
  • TOEICの文法問題を30問解く
  • 海外ドラマを1話視聴
  • TOEICのリスニング模試を1セット

毎日リストにチェックを入れるたびに、「今日も勉強したぞ」と達成感を覚えます。
けれど、数ヶ月後にふと我に返る。

「たしかにTOEICの点は上がった。でも、実際に商談で使える気がしない……」

こんな経験に心当たりはありませんか?

勉強後「どんな状態になりたいか」をゴールにする

目先の達成感に惑わされないためには、どうすればいいのでしょうか? 答えは、「行動」ではなく「状態」でゴールを設定すること。
ビジネススキルに詳しい株式会社明治クッカー代表取締役の西原亮氏も、この重要性を指摘しています。*1

 

【比較してみましょう】

✕「行動」のゴール設定:参考書3章を読む

◯「状態」のゴール設定:参考書3章の内容を自分で説明できる状態にする

勉強する目的は、最終的に「何かができるようになること」のはず。「やることリスト」のタスクは、あくまでその手段です。

「勉強後になりたい状態」を明確にしないまま走り出すと、迷子になります。勉強を始めるときは、まず、「勉強後にどうなりたいか」という「状態ゴール」を明確にしましょう。

ハシゴの先にダーツの的がある

ブレずに行動できる「成長ロードマップ」とは?

「状態」をゴールに設定すれば、何を目指しているか迷わなくなります。

 

【例】

  • 「参考書3章の内容を自分で説明できる状態にする」
  • 「英単語20個を文章で使える状態にする」
  • 「Pythonで簡単なデータ分析ができる状態にする」

しかし、注意点があります。状態だけを書くと、具体的に何から手をつければいいかわかりにくくなってしまいます。 そのまま先延ばしや挫折につながることも。

そこで有効なのが、「状態」と「行動」両方のゴールを組み合わせた「成長ロードマップ」 です。

たとえば……

 
  • 状態ゴール: 参考書3章を自分で説明できる
  • 行動ゴール: 3章を読む→章末問題を解く→要点をノートにまとめる→AIに解説してみる

このように組み合わせることで、ゴールはブレず、行動しやすさや達成感も維持できます。

山の頂上に立ち旗を立てている人

今日からできる!「成長ロードマップ」のつくり方

具体的なつくり方を、筆者の実践例とともに紹介します。

ステップ1:「状態ゴール」を明確にする

勉強したあと、どんな状態になりたいかを書きます。

ポイントは、最終的になりたい状態ではなく、少し先の未来の状態をイメージすること。筆者は「英語ニュースの1コーナーを聴いて要点をつかめる」を状態ゴールとしました。

 

✕ 最終的な状態:仕事で問題なく英会話ができる

◯ 少し先の状態:英語ニュースの1コーナーを聴いて要点をつかめる

ステップ2:「状態ゴール」に向かう行動を具体化する

次に、状態ゴールに到達するための「行動ゴール」を書きます。これは普段の「やることリスト」そのものです。

筆者は次のように設定しました。

  • 英語ニュースの1コーナーを週4日、1日ひとつ聴く
  • 要点・聞き取れた単語やフレーズをメモに書き出す
  • 字幕をONにして答え合わせ・調べる
  • 音読する
  • 何も見ないで再び聴く

チェックリストやメモ欄を加えると、進捗管理がしやすくなります。出来上がった「成長ロードマップ」がこちら。

成長ロードマップの実践紙面

実践してみた感想

「音読する」「ニュースを聞き取る」など、日々のタスクをこなすこと自体は、「やることリスト」を使うときと変わりません。違いは、最初に状態ゴールと行動ゴールを結びつけているため、ブレずに勉強を進められること。

「この行動は、こういう状態になるためにしている」と常に確認できるので、うっかり脱線することを防げました。

 
  • 英語ニュースを聴いている途中で、別のニュースの見出しが気になってクリックし、延々と読み漁ってしまう
  • 音読練習をするはずが、「発音が気になる」と思い、動画教材や発音記号の解説を延々と見始めてしまう

筆者のように「うっかり脱線しがちな人」にこそ、「成長ロードマップ」はおすすめです。

***
ただ「やることリスト」を書くだけより、「勉強を終えたあと、どんな状態になりたいか」をクリアにしておくほうが、行動に一本、芯が通り、確実に勉強の成果を手にすることができます。

「スタートはできるけれど、なんだか結果がついてこない」という人こそ、「成長ロードマップ」を試してみてほしいです。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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