仕事で「期待される人」と「期待されない人」2つの違い。“○○の仕方” で差がつく!

期待されているビジネスパーソン

「上司に逐一『メモはとった?』と確認される。信頼されていないんだな……」
「同僚は大きな仕事を依頼されることが多いな。自分はルーティンワーク以上の仕事は頼まれないのに……」

上記のように感じることがよくあると、「自分はあまり期待されていないのかもしれない」と悩んでしまいますよね。

仕事で “期待される人” と、残念ながら “期待されない人” 。両者の違いはどこにあるのでしょうか? じつは、大きな成果を出せるかどうかだけでなく、日頃の考え方や言動にもその差は表れるのです。

今回は、仕事で期待される人とそうでない人の差をご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

1.「フィードバックのとらえ方」で差がつく

ネガティブなフィードバックを避けたがる人は少なくありませんが、「指摘を受けるのは嫌だ」という考え方のままでは、期待される人にはなれないかも。

上司やまわりからの期待を得ることができるのは、ネガティブなフィードバックを学べる機会ととらえ、“失敗したプロセス” を冷静に考えられる人なのです。

そのような物事のとらえ方の違いについて、日本ポジティブ心理学協会認定レジリエンス・トレーナーの菅原聖也氏は、次のように説明しています。これは、スタンフォード大学教授で心理学者のキャロル・ドゥエック博士が提唱する、ふたつのマインドセットのことだそうです。

  • 硬直マインドセット(Fixed Mindset):
    自分の能力は変わらないと考える
  • しなやかマインドセット(Growth Mindset):
    自分の能力は努力と経験で伸ばせると考える

(「ログミーBiz|失敗の捉え方で「本当の自分」がわかる 人間が内包する2種類のマインドセットとは」よりまとめた)

上司から「資料の粗さが目立つ」という指摘を受けたケースを例に、両者の違いを考えてみましょう。

硬直マインドセットをもつ人の場合、「取引先に提出するものなのに、資料の粗さが目立ちます」と言われたら、「自分はもともと注意力に欠けている。だから資料の粗さはこの先も変えられない」と考え、そこで諦めてしまいます。最悪の場合、ネガティブな意見を無視する癖がつくかもしれません。

一方、しなやかマインドセットをもつ人は、資料の粗さに対する指摘を素直に受け止め、「今度は資料を作成したら推敲し、ほかの人にもチェックを頼もう」と、次への学びとして活かすことができます。「成長できる」と思うからこそ、謙虚に失敗を振り返るのです。

上司から見れば、失敗からどんどん吸収しようとする人のほうが、明らかに “期待できる人材” ですよね。

失敗の後でも前向きに仕事に取り組むビジネスパーソン

「そうはいっても、自分はもともと前向きなタイプではないから……」と悲観的に考える人もいるかもしれませんが、ご安心ください。

菅原氏によると、人は必ずしも片方のマインドセットしかもたないのではなく、「多くの人が両方を持っている」そうです。つまり、誰にでも、向上心につながる「しなやかマインドセット」は備わっているということ。ケースバイケースでどちらかに偏るだけなのです。(カギカッコ内引用元:同上)

ではどうしたら、自分のなかにある「しなやかマインドセット」を前に出すことができるのでしょうか。

米国の心理学者で『The Growth Mindset Workbook』著者のエレイン・エリオット・モスクワ氏は、課題に直面したとき「自分を責めるのではなく、その感情を認識」することが大切だと述べます。(カギカッコ内参考:BBC|The 'growth mindset' all workers need to cultivate

「上司から資料の粗さを指摘された」「プレゼンに失敗した」といった場面で、自分を責めても効果はありません。大切なのは、そのときの「恥ずかしい」「悔しい」といった自分の感情を素直に受け止めること。感情を認識してこそ、次の行動に移せるのです。

さらに、英国のマインドセットコーチであるイザベラ・ヴェナー氏は、「課題を細かく分割する」ことを助言します。対処不可能に思える大きな課題も、小さく分割して難点を絞り込むことで、次の対応をする準備ができるわけです。(カギカッコ内および上記参考:同上)

たとえばプレゼンに失敗したなら、下記のようにプロセスを丁寧にひもといてみましょう。改善できるところ、変えられるところが浮かび上がるはずです。

  • プレゼンの手順を間違えた
    → 準備不足による緊張が原因。今度は準備を徹底しよう
  • 周囲が集中して聞いてくれなかった
    → 話を整理しておらず、冗長になった。次回は話す前に内容をもっと整理しよう
  • 聞き手の疑問点に答えられなかった
    → 根拠となるデータの補足資料を揃えていなかった。今後はデータの準備もしておこう

「ネガティブなフィードバックを受けた」「失敗した」――そのとき、「こんな自分じゃうまくいかない」と諦めるのではなく、しなやかな気持ちで対処してみましょう。周囲からの期待はきっと高まりますよ。

失敗してもしなやかに対処している女性

2.「指示に対する確認の仕方」で差がつく

「上司に信頼されていない」と感じるのなら、上司はもしかするとあなたに対して「自分の指示内容を本当に理解できているのだろうか?」と思っているのかもしれません。

仕事で期待されるのは、指示を受けたときの確認の仕方が的確な人。上司などから仕事の指示を受けたとき、その内容をまとめたうえで「こういうことですね?」と確認すれば、相手に信頼感を抱かせることができます。

公認心理師で、大手出版社で1,000名以上の著名人にインタビューした経験をもつ船見敏子氏は、次のように語ります。

うなずきやあいづちに加えて聴き上手な人がしているのが、「伝え返し」です。相手が言ったことばをそのままそっくり伝え返すスキルです。
(中略)
「伝え返し」は、「私はあなたのことばをしっかり受け取りました」という合図になります。相手を安心させる効果があるのです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|1000人の著名人を取材したインタビュアーが実践!「伝え返し」と「要約」の極意

ともすれば、人は間違った解釈や思い込みをしてしまうもの。上司から指示を受けて「はい」「承知いたしました」としか返答しなければ、上司に「本当に指示内容を理解しているのだろうか?」と疑問を抱かせてしまう場合もあります。

ですが、伝え返しで確認をとれば、「しっかり伝わっている」と上司を安心させることができます。上司はきっと「この人なら、指示内容をちゃんと理解できる」と、あなたに対し期待を寄せるでしょう。

なお、伝え返しをする際は、相手から伝えられた内容をそのまま返すのみならず、内容を要約するのも大切なポイントです。船見氏によれば、そのコツは次のとおり。

「要約」する際には、「今の話は○○ということですね」と、自分の解釈を伝えます。できるだけ相手のことばを引用しますが、かみくだいた表現を用いたり、相手を立てるためにことばを盛ったりしてもかまいません。

(引用元:同上 ※太字は編集部が施した)

たとえば、上司から次のような長い指示を受けた場合。

<上司からの指示>

「先日の会議で議論に上がっていたことなんだけど、うちの商品の包装資材のことでさ。なかの食材を取り出しにくいし、ちょっと単価も高めだよね。原材料も値上がりしていることだし、この機会に包装資材を変えてみるのもいいんじゃないかと思っている。

ただ、気になるのは環境に配慮する消費者が増えていることなんだ。プラスチックのものはできるだけ避けたい。安価で見栄えのいい紙の資材を探してくれないかな。調査してくれると嬉しいんだけど」

以下のように要約したうえで、確認をとるとよいでしょう。

<要約して確認する>

「先日の会議で、包装資材の変更に関する話があったのですね。低コストで環境に優しく、かつ素敵なデザインを提供するメーカーを調査しようと思います。何かご意見がありましたら、お知らせいただけると大変助かります」

上司の指示を自分の言葉で要約し、なおかつ自分なりの表現で言い換えをするだけで、スマートな印象を与えますよね。

「この人なら任せられる」と思われるために、指示の確認方法をひと工夫してみてはいかがでしょうか。

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成果を出すことはそう簡単ではありません。しかし、物事のとらえ方や言動を見直すのは、今日からでも可能なはず。周囲から “期待される人” に近づき、あなたがいっそう活躍されることを願っています。

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