「結局何が言いたいの?」を卒業しよう。マッキンゼーに学ぶ "ピラミッド・ストラクチャー " という思考の技術

ピラミッドストラクチャー式・提案ノート

会議室で「素晴らしいアイデアですね!」と言われた瞬間、あなたの心は躍ったはず。

でも次に続いた「ただ、もう少し整理して再提案してもらえますか」のひとことで、その期待は一気に萎んでしまった——。

頭のなかでは完璧な提案ができているのに、いざ話し始めると「あれ、何から説明すればいいんだっけ?」となってしまう。資料をつくっても、なぜか相手の心に刺さらない。

もしかすると、あなたもそんな経験をおもちではないでしょうか。

安心してください。この問題、アイデアの質とはまったく関係ありません。単純に「伝え方の型」を知らないだけです。

じつは、見開き1ページのノートがあれば、その悩みは今日から解決します。頭のなかのモヤモヤしたアイデアを、相手が思わず「それ、やりましょう!」と言いたくなる提案に変える方法をお教えしましょう。

「ピラミッドストラクチャー式・提案ノート」とは

この手法は、マッキンゼーで使われている論理展開の技法「ピラミッドストラクチャー」を段階的に進めていくもの。

ピラミッドストラクチャーとは、結論を一番上に置き、その下に「なぜそう言えるのか?」の理由を並べる構造のことです。

身近な例で言うと

「今日は外食にしよう!」
└ なぜ?
「疲れているから」
└ なぜ疲れてる?
「今日は特に忙しかったから」

という流れです。

ピラミッド

画像の引用元:STUDY HACKER|飽きっぽい私でも集中力が続いた! "青くて○○なノート" を使ったら思わず書く手が止まらなくなった話

問題は、いきなりフレームワークを使いこなすのは難しいという点。頭のなかは散らかったアイデアでいっぱいなのに、最初から論理的に整理するなんて無理ですよね。

そこで今回は、このピラミッドストラクチャーをノート見開き1ページで整理して完成させていく方法をご紹介します。

これだけで、思考はぐっと整理され、説得力が増すはずです。

では早速見ていきましょう。

具体的な書き方

基本構造:見開き左右の役割分担

「ピラミッドストラクチャー式・提案ノート」の基本構造は以下のとおりです。

📋 基本構造

① 左ページ上
アイデアの発散(発散メモ)
思いついたことを自由に書き出す → 時系列や関連性は気にしない → 汚いメモでOK
② 左ページ下
要素摘出
発散メモのなかの重要な要素を拾い上げて羅列する
③ 右ページ上
アイデアの整理(ピラミッド構造)
左ページ下で拾い上げた重要な要素を使って、ピラミッドストラクチャーを作成
④ 右ページ下
文章化
誰が読んでもわかる、論理的に説明された文章にする

では次に、この構造を用いた実践例を挙げましょう。

実践例:社内DX推進提案の場合

この提案の主は、すでに「営業部門にAIアシスタントを導入して、提案書づくりを自動化したい」という結論をもっているとします。

問題は、その結論を "どう相手に納得させるかたちに整理するか" です。ここで「ピラミッドストラクチャー式・提案ノート」を使うと、説得の流れがぐっと明確になります。

◎ 左ページ上

発散メモ

根拠や懸念を思いつくまま書き出します。
この時に大切なのは、結論を補強する材料を洗い出すという意識です。

発散メモの画像

提案資料づくりに毎回3時間以上。営業担当者の残業が増加。AIで定型部分を自動生成できる。他社はすでにAI導入済み。導入コストとROIの試算必要。導入時期は新年度がベスト。研修で1週間あれば定着可能。

◎ 左ページ下

要素摘出

発散メモから重要な要素を拾い上げて羅列します。
提案を後押しする材料をカテゴリごとに整理すると、相手に伝えやすくなります。

要素摘出の画像

  • 効率化:提案資料作成時間の短縮
  • 働き方改善:残業削減、業務負担軽減
  • 競合優位性:他社との差別化、スピード感
  • 実現性:ROI試算、研修計画

◎ 右ページ上

ピラミッドストラクチャー

結論を頂点に置き、要素を説得の筋道に変換します。
左ページ下で拾い上げた重要な要素を使って構造化していきます。

ピラミッドストラクチャーの画像

【結論】 営業部門にAIアシスタントを導入すべき

【理由1:効率化】
┗提案資料作成時間を半減
┗営業活動に集中可能

【理由2:働き方改善】
┗残業削減
┗モチベーション向上

【理由3:競合優位性】
┗他社導入済み
┗顧客対応スピードが向上

【理由4:実現性】
┗ROI試算済み
┗研修スケジュール想定済み

◎ 右ページ下

文章化

ピラミッドストラクチャーを流れるような文章に仕上げます。
「一番上→下左側→下右側」の要素を順に拾い上げ、調整しながら組み立てていきます。

ノート見開きの文章化の場所

「営業部門にAIアシスタントを導入することで、提案資料づくりの時間を半減でき、営業活動に集中できます。残業削減により働き方改善も実現し、従業員のモチベーション向上が期待できます。他社がすでに導入を進めている状況をふまえ、顧客対応スピードの向上も見込めます。ROI試算と研修スケジュールも整っており、新年度導入が最適です」

なぜこの方法が効果的なのか

このノート術が機能する理由は、思考の自然な流れに沿った構造だからです。

多くの人は「とりあえず思いついたことを書き出す→重要なポイントを見つける→論理的に組み立てる→相手に伝わるかたちにする」という順番で考えています。この手法は、その自然な流れを見える化したものに過ぎません。

また、見開き1ページという制約があることで「本当に重要な要素だけ」を選び抜く必要が生まれ、結果として相手に刺さる提案になりやすいのです。

運用のポイント

このノート術を効果的に活用するためには、継続的な運用が重要です。運用のポイントをお伝えしておきましょう。

💡 運用のポイント

  1. その場で整理
    アイデアが散らかってしまわないうちに、打合せや雑談メモをすぐにピラミッド化するのがおすすめです。ピラミッド化は「結論と理由の骨格を押さえる」作業なので、 ここさえ残せば思考の流れを再現できるはずです。
  2. 翌日までに肉づけ
    構造にデータや事例を追加することで、そのまま提案に使えるでしょう。この作業と文章化をセットで進めると効率的です。
  3. ストックして再利用
    ノートを貯めておけば「提案の資産」に。過去案を組み合わせ新提案に応用できます。

***
「ピラミッドストラクチャー式・提案ノート」は、単なる整理術を超えて「創造的思考と論理的伝達の架け橋」として機能するはずです。

アイデアの質を保ちながら伝達力を高めることで、あなたの提案は必ず相手の心に届くでしょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト