マッキンゼーでは当たり前。仕事では「問い」のうまい人が圧倒的に強い納得の理由

大嶋祥誉さんインタビュー「よりよい問いをするためのコツ」01

外資系大手コンサルティング企業であるマッキンゼー・アンド・カンパニーでは、「問い」というものを重視すると言います。

その理由について、マッキンゼー勤務を経てエグゼクティブコーチとして活躍する大嶋祥誉(おおしま・さちよ)さんは、「仕事の質が上がるから」と語りますが、なぜそう言えるのでしょうか。問いが仕事に与える影響とあわせて、よりよい問いをするためのコツを教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

なにを問うかで、パフォーマンスが変わる

マッキンゼーで「問い」を重視する理由は、よりよい問いをすることで仕事の質が上がるという点にあります。

私たちは、常に問いをしながら生きているものです。脳のなかで1日に少なくとも3万回、あるいはそれ以上、自分自答していると言われています。意識はしていないかもしれませんが、朝起きた瞬間から「なにを食べようか?」「どの服を着ようか?」といった具合に、問いをし続けているのです。

では、そのときにただ「なにを食べようか?」と問うのではなく、「今日の体の調子はどうかな?」「昨日は飲みすぎて胃腸の調子が悪いから、なにを食べたらいいだろう?」といった問いをできたなら、適切な食事ができてその日の体調やパフォーマンスをいい方向に導くことにもなるはずです。

もちろん、このことは仕事にも当てはまります。取引先への営業の準備をしているときに、ただ「どの資料を持っていこうか?」ではなく、「取引先の業界はいまどんな状況だろう?」「取引先が抱えていそうな課題はどんなものだろう?」「その課題解決のためになにができるだろう?」といった問いができれば、取引先のためになりそうな情報を準備できます。また、持っていく資料や営業トークにも違いが出ますし、結果、営業の結果にも差が出てくることでしょう。

だからこそ、よりよい問いをすることで仕事の質を上げることができるのです。

大嶋祥誉さんインタビュー「よりよい問いをするためのコツ」02

「探求」「学び」を止める問いはNG

では、よい問い、よくない問いの違いはどんなところにあるでしょうか? これは、基本的にはケース・バイ・ケースですが、思考を深める探究型の問いや的確な決断を促す問いは、よい問いと言えます。

たとえば、「営業先に持っていく資料はこれでいいですか?」のようにイエス・ノーの2択で答えられる「クローズド・クエスチョン」は思考を狭める問いですが、物事をはっきりと決めなければならない場面では有効な問いの形式でもあります。

ただ、先に挙げた営業先に持っていく資料を決める例のように、仕事において思考を深めるための問いにおいては、やはりクローズド・クエスチョンのような「探求を止める問い」はあまりよくないと言えます。回答した時点で思考が止まり、探求の限界をつくってしまうからです。

また、「詰問する問い」もよい問いとは言えません。なにか嫌なことがあったときに「なんでこんな目に遭うんだ?」、上司から理不尽に叱られたときに「どうして上司はわかってくれないんだ?」というような、自分が置かれた状況への不満を表したり誰かを責めたりするような問いのことです。

これらは、かたちとしては問いになっていますが、思考を深め、気づきを促すものではありません。こういった問いをすると、「学びを止める」ことになってしまいます。そうではなく、「こんな状況からでもなにか学べることはないか?」「上司の理不尽な振る舞いからひとつでも学べることはないか?」といった問いをすれば、自分にとってネガティブな状況からも成長につなげることができます。

大嶋祥誉さんインタビュー「よりよい問いをするためのコツ」03

「Why」ではなく「What」の問いからはじめよう

では、逆によい質問について解説していきます。特に、仕事において意識的に問いをすることに慣れていない人には、「Why(なぜ)」ではなく「What(なに)」で問いをすることをおすすめします。なぜなら、「What(なに)」による問いのほうが考える対象が明確になり、問いに不慣れな人でも答えを導き出しやすいからです。

「あなたは『なぜ』生きるのですか?」と問われたとしたらどうでしょう? すぐには答えられず、「どうしてだろう……」と考えが行き詰まってしまうという人が多いのではないでしょうか。

でも、「あなたは人生を通じて『なに』をしたいですか?」だったらどうですか? もちろん、この問いにもなかなか答えられない人もいるかもしれませんが、それでも「なぜ生きるのか?」という問いよりは考えやすいはずです。

もちろん、この「What(なに)」による質問は、仕事においても有効なものです。部下や同僚が大きなミスをしたとき、それこそ詰問するように「『なぜ』そんなことをしてしまったのか?」と問うよりも、「『なに』がそうさせてしまったのか?」と問うほうが、ミスが起きた原因を明確に意識して考えることができます。そうして、未然にミスを防ぐための策を導き出すようなことにもなるでしょう。

よい問いを立てられるようになると、思考は深まり、仕事の質も高まります。そのためにも、読書をすることをおすすめします。ビジネス書には「問い」や「質問力」をテーマにしたものは多いものです。それらを読んで、問いのレパートリーを増やしていくのです。どんな問いがあるのかを知れば、問いをしやすくなりますし、よりよい問いをできるようにもなっていくでしょう。

人間は、学習によって成長していく社会的動物です。常に学び続けていくことを考えてほしいと思います。

大嶋祥誉さんインタビュー「よりよい問いをするためのコツ」04

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【プロフィール】
大嶋祥誉(おおしま・さちよ)
エグゼクティブコーチ、作家、TM瞑想教師、センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。米国デューク大学MBA取得。シカゴ大学大学院修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ワトソンワイアットなどの外資系コンサルティング会社を経て独立。現在、経営者やビジネスリーダーを対象にエグゼクティブコーチング、ビジネススキル研修のほか、人材開発コンサルティングを行う。また、TM瞑想や生産性を上げる効果的な休息法なども指導。自分らしい働き方を探究するオンラインコミュニティ『ギフト』主催。『マッキンゼーで学んだ「段取り」の技法』(三笠書房)、『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』(学研プラス)、『マッキンゼーで叩き込まれた超速フレームワーク』(三笠書房)、『マッキンゼーで学んだ感情コントロールの技術』(青春出版社)、など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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