自信過剰は成功のもと? ”根拠のない自信” が成功を呼び込むメカニズム。

こぶしを挙げる、自信があるビジネスパーソン

準備も努力もしているのに、なぜかうまくいかない時期が続いている。

「もっと勉強すれば」「もっと経験を積めば」

そう考えてしまうことはないでしょうか。

しかし実は、この躊躇や迷いこそが、あなたのパフォーマンスを下げている真犯人かもしれません。成功する人の多くは実力以上に「根拠のない自信」を先に持ち、それが行動を促し、やがて本物の自信へと変わっていくのです。

本記事では、なぜ「自信過剰」とも言える姿勢が成功を呼び込むのか、脳科学の視点から解説し、今日から実践できる「根拠のない自信」の身につけ方を紹介します。

根拠のない自信が本物の自信を生み出すメカニズム

「自信過剰」と聞くと、身の程知らずで危険な印象を抱くかもしれません。しかし、成功につながる自信とは、傲慢さとは全く別のものです。

神経科学者であり臨床心理学者のイアン・ロバートソン氏は、

自信があると成功する可能性が高まります。なぜなら、自信は脳の回路を活性化させ、気分を高揚させ、不安を軽減し、思考を鋭敏にするからです

と話します。*1

根拠のない自信をもつことで脳のパフォーマンスが向上し、成功の確率が上がる。そこで得た成果が次の挑戦を後押しし、さらに自信につながっていく。

ロバートソン氏はこれを「複利効果」にたとえます。*1

銀行預金が利息を重ねて増えるように、小さな成功体験が積み重なり、指数関数的に成長を加速させるのです。

たとえば――

  1. 「自分ならできるはず」という根拠のない自信でチーム内のプレゼンに積極的に参加する
  2. 実際に準備を重ね、意見が採用されるという成功体験を得る
  3. その体験が次のチャレンジの原動力になり、大きなプロジェクトを任されるようになる

このプロセスは、リスキリングや新しいスキルの習得にも当てはまります。

根拠のない自信であっても、行動を通じて成果を積み重ねることで「実力に裏づけられた自信」へと変わっていくのです。

📋 根拠のない自信が本物の自信を生み出すメカニズム

1
根拠のない自信が脳のパフォーマンスを向上させる

成功の確率が上がる

2
得た成果が次の挑戦を後押し

さらに自信につながっていく

3
行動を通じて成果を積み重ねる

行動することが「実力に裏づけられた自信」へと変わっていく

「でも、根拠もないのに自信を持つなんて無理だよ」

そう思うかもしれません。実は、多くの人がそう感じるのは当然のことです。

しかし、心配はいりません。「根拠のない自信」は特別な才能ではなく、誰でも身につけられる技術なのです。

ノートパソコンを操作しながら走るビジネスパーソンを表現した画像

今日から実践できる「自信過剰」テクニック

1. 不安を成功の前兆として捉え直す

「うまくいかないかもしれない」「自分には無理かも」と不安になったとき、多くの人はその感情を消そうとします。しかし、根拠のない自信を持つ人は、不安を全く別のものとして解釈します。

  • 不安に思っているけれど大丈夫
  • 不安を感じているのは、きっとうまくいくからだ

このように、不安を成功の前兆として捉え直すのです。

ロチェスター大学心理学部教授のジェレミー・ジェイミーソン氏の研究では、「試験前の不安を有益なものとして捉え直すよう求められた学生のほうが、本番で好成績を上げた」のだそう。*2

「不安こそがチャンスの証拠」というスタンスが、根拠のない自信につながるわけです。

2. 「興奮している」と自分に言い聞かせる

不安を感じたら、「私はいまワクワクしている」「興奮してきた!」と自分に言い聞かせるのも効果的です。

ハーバード・ビジネススクール経営学准教授のアリソン・ウッド・ブルックス氏の研究では、「不安を興奮として捉え直せば、交渉や重要なスピーチなどでのパフォーマンスが向上する」と明らかになりました。*2

脳内で言い聞かせたり、誰かとの会話に織り交ぜるのもいいでしょう。

  • 「来週のプレゼン、初めての大舞台だからワクワクする」
  • 「結果が未知すぎて、興奮してきた!」

3. 「まあ、いいか」で素早く立ち直る

根拠のない自信を持つ人は、失敗に対する対処も独特です。うまくいかなくても、「まあ、いいか」と学びの一部として受け流します。

その理由を精神科医の井上智介氏は「自分が発した言葉であっても、音声になって耳から聞こえて脳に届くことで、受け取り方が大きく変わり」、「ネガティブな気持ちを受け流し、切り替えることができるようにな」ると説明します。*3

「まあ、いいか」で気持ちを素早く切り替える習慣が、次の挑戦への自信を維持し続けるのです。

📋 今日から実践できる「自信過剰」テクニック

1
不安を成功の前兆として捉え直す

不安を感じているのは、きっとうまくいくからだ

2
「興奮している」と自分に言い聞かせる

不安は興奮として捉え直す

3
「まあ、いいか」で素早く立ち直る

気持ちを素早く切り替える習慣が、次の挑戦への自信を維持

オーケーサインをしながら笑顔を見せるビジネスパーソン

要するに「できる・できない」は気の持ちよう

ここで重要なのは、「できる・できない」は結局のところ自分がどう思うかの問題だということです。

前出のロバートソン氏によると、自信は次のふたつがそろったときに生まれます。

  • 「やればできる」という信念(自己効力感)
  • 望ましい結果を得られるはずだという信念(成功イメージ)*1

次の例を見てみましょう。

「しっかり準備をすれば、来週のプレゼンは成功するはずだ」

「英語の勉強をすれば、海外出張でのコミュニケーションに役立つはずだ」

このように、「やればなんとかなる」と思えたときに力を発揮しやすくなるのです。

同氏の研究では、「できる・できない」は実際の能力よりも本人がどう信じているかで決まることが明らかになっています。*4

イアン・ロバートソンの4象限の図

イアン・ロバートソンの4象限の図
※この画像は筆者が作成した

つまり、過剰に不安がる必要はないということです。

考えてみてください。できる根拠がないかもしれませんが、できないという根拠だって特にないことがほとんどです。

「経験不足だから」「知識が足りないから」と思うかもしれません。でも、知識は勉強すれば身につくし、経験なんて誰だって最初はゼロからスタートです。よく考えてみると、似たような経験なら意外と積んでいることも多いものです。

実際のスキルがなくても、「自分ならできる」「きっとうまくいく」と思えれば、それだけで高いパフォーマンスを発揮できるのです。

📋 「できる・できない」は気の持ちよう

1
「自分ならやれそう」「きっとうまくいく」の組み合わせ

この2つがそろえば自信が生まれる

2
実際の能力よりも「本人がどう信じているか」が重要

過剰に不安がる必要はない

3
「やればなんとかなる」と思えれば力を発揮できる

根拠のない自信でも十分効果がある

デスクにて笑顔を見せるビジネスパーソン

***
「根拠のない自信」は一見すると危険に思えるかもしれませんが、実は学びやリスキリングの起点となり、やがて「本物の自信」へと変わっていきます。

準備や努力だけでは突破できない壁があるとき、まず「自分ならできる」という主観的な信念を先に持つことが、行動への第一歩となります。

自信を行動につなげ、小さな成功を積み重ねていくことが、スキルアップやキャリアアップの最短ルートなのです。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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