「仕事で人と話すとき、頭が真っ白になってしまう。」
「なにを言えばいいのかわからなくなり、気まずい沈黙が流れるたびに胸がギュッとなる」
職場でまわりの人が自然にコミュニケーションをとり、信頼関係を築いている場面を目の当たりにすると、自分ももっと周囲との信頼関係を強固にしたいのにと思うこともあるのではないでしょうか。
上司や同僚とうまくコミュニケーションがとれず壁があるように感じたり、まわりから信頼されていないような気がして落ち込むことは誰にでもあるでしょう。
信頼関係を築くことが上手は人は、相手に伝わりやすく「肯定的な言葉選び」をすることに長けています。
この記事では、このようなお悩みをもつビジネスパーソンに向けて、好感度を上げ信頼関係を築く実践的な言葉選びをご紹介します。
「肯定的な言葉」というと、単に相手を褒めたり認めたりする表現を思い浮かべるかもしれません。しかし、この記事では少し違った意味でこの言葉を使っています。
肯定的な言葉が相手に与える心理効果
肯定的な言葉は、話す相手に好印象を与え、信頼関係の構築に役立ちます。
一方で、否定的な言葉は「相手に“高圧的で上から目線”と受け取られることがある」と文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う山口拓朗氏は述べます。
高圧的に上からものを言うような話し方は、相手を委縮させ、建設的なコミュニケーションをとれなくさせてしまいます。
また、山口氏は以下のようにも述べています。
人は否定されるとやる気が起きにくく、肯定されるとやる気が起きやすくなるからです。なかには「否定表現」で言われると、怒りや悲しみを感じる人もいます。また「否定表現」がストレスとして蓄積されると、そのストレスから逃げたいという本能も発動します。人によっては、その本能が「反感」や「反抗」という形で表出する人もいるでしょう。*1
つまり、否定的な表現で言葉をかけられると、人はネガティブな反応を起こし、相手との信頼関係を築くことができなくなってしまうのです。
反対に、肯定的な表現を使えば相手に受け入れてもらいやすくなり、あなたの好感度は上がります。このことが、信頼関係の土台になるのです。
肯定的な言い回しとは「理解しやすい」もの
肯定的な言葉とは「わかりやすい」「理解しやすい」言葉です。たとえば、自分の知らない専門用語ばかりを並べて話されたとしたら、まるで「こんな用語も知らないのか」と否定されている気持ちになるのではないでしょうか。相手に肯定的な態度を見せたいのであれば、誰にでも理解しやすい言葉で話さなければなりません。
元フジテレビアナウンサーの松尾紀子氏も、「一度で聞き取れて、意味を理解しやすい言葉」が「自分と相手にふさわしい『ちょうどいい話し方』だと言える」としています。また、「言葉選びの基準は『小学生にもスッと意味が伝わる言葉』」とも語ります。*2
つまり、専門用語などは使わずに、誰にでも理解しやすい言葉選びをすることが肯定的な言葉選びなのです。
肯定的なコミュニケーションを意識する
肯定的なコミュニケーションを生む言い回し
職場では多数の人とコミュニケーションをとる機会があります。コミュニケーションを円滑にする、伝わりやすく肯定的な言い回しの具体例を挙げましょう。
「その視点は思いつきませんでした。勉強になります。」
「〇〇さんの提案で、チームの方向性がより明確になりました。」
「ご指導のおかげで、順調に進めることができています。」
「〇〇さんから以前いただいたアドバイスを活かして進めています。」
「〇〇さんと一緒に仕事をすると、いつも新しい学びがあります。」
「この成果は、〇〇さんのリーダーシップがあってこそだと思います。」
「一緒に取り組んでいただいて心強いです。」
「〇〇さんのアイデアがあったから、いい方向に進みましたね。」
「〇〇さんと一緒に仕事をすると、すごくやりやすいです。」
「次回もまた一緒に進められると嬉しいです。」
「〇〇さんの経験を活かせると思いますが、ご協力いただけませんでしょうか」
「この部分はとてもよい着眼点ですね。さらにこういう視点でとらえると、よりよくなると思います」
「〇〇様だからこそ、安心してお任せできます。」
「〇〇様ならきっとよい結果を出していただけると信じています。」
「○○さんのご意見は大変参考になります。それをふまえたうえで、別の視点から検討してみてはいかがでしょうか」
「〇〇様とお取引させていただけること、大変嬉しく思います。」
「お力添えいただければ非常に心強いです。」
このように相手に肯定的な言い回しを取り入れることで、あなたの好感度が改善され、より建設的なコミュニケーションが可能になります。肯定的な表現を意識的に使うことで、信頼関係を強固にすることができるのです。
肯定的なコミュニケーションを生む質問
また、相手との会話をテンポよく進めるために役立つ質問もご紹介しましょう。*3を参考にまとめた
1. 相手が答えやすい質問をする
相手の興味や関心があること、または知識や経験に基づいて答えられる質問を選びましょう。
- 「新規で契約をとるとき、どんなこと気をつけていますか?」
2. 相手との共通点がある質問をする
相手と共通点のあることに関する質問を選びましょう。
- 「私も最近AIについて学んでいるのですが、〇〇さんが取り組んでいる方法で特に効果的だったことはありますか?」
3. 相手の話を広げやすい質問をする
相手の話を広げやすい質問を選びましょう。
- 「担当されていたプロジェクト、大成功だったんですね! 特に苦労した点や工夫した点はありますか?」
こうした質問は相手がリアクションをしやすいうえに、質問をしたほうも肯定的な言葉を返すことができます。このことが肯定的なコミュニケーションとなり、信頼関係を築くきっかけとなるでしょう。
言葉の選択が信頼関係を深める鍵になる
会話に困り頭が真っ白になってしまうことがある人も、上に紹介したようなフレーズを押さえておけばコミュニケーションが止まってしまうことはありません。信頼関係を築くためには、肯定的な言葉を選んで会話することが欠かせません。言葉の力を大切にすることが、円滑なコミュニケーションと信頼の土台となるのです。
***
好感度を上げて信頼関係を築くためには、言葉の選択のひとつひとつが大切です。ぜひ、肯定的な言葉を取り入れて、職場でのコミュニケーションに活かしてください。
※引用の太字は編集部が施した
*1 リクナビNEXTジャーナル|【否定表現 vs 肯定表現】どっちが仕事で成果を出しやすいのか?
*2 ダイヤモンド・オンライン|【コミュ症の人の特徴】「信頼感のある人」がやっている「伝わる言葉選び」たった1つのコツ<元フジ女子アナが教える>
*3 アスタワーク|ライフスタイル【コミュ障や人見知り必見】職場でストレスをためない5つのコツ
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。