いるだけで職場の空気がよくなる。EQの高い人が絶対に“やらない”3つのこと

名札をつけた女性スタッフが、胸に手を当てて笑顔でお辞儀している様子。明るい室内で親しみやすい雰囲気。

「チームに貢献したい」「組織にいい影響を与えたい」——そう思って頑張っているのに、なぜか手応えを感じられない。周りの反応も今ひとつ……。そんな経験はありませんか?

もしそう感じているのなら、知らず知らずのうちに逆効果な行動をしているのかもしれません。チームの生産性を高める人には、共通して「やらないこと」が3つあります。今回は、その理由を科学的な視点から紐解いていきます。

チームの雰囲気をよくする人がやらないこと1. 自分が主役になる

「チームに好影響を与える人材」の共通点は、高い「EQ」(Emotional Quotient:感情知能指数)を持っていることです。

『世界最高の話し方』著者でコミュニケーション戦略研究家の岡本純子氏は、EQが高い人は「自分が主役にならない」と述べています。

EQが低い人と高い人とでは、話し方に以下のような違いがあるそうです。

EQが低い人 「私はすごい」と "できる人" を演じてしまう。

EQが高い人 「あなたはすごい」と言える。相手の話をじっくり聞ける。

他者の発言を遮断し、あらゆる話題を自己中心的に展開したり、比較によって自分の優位性を誇示する行為は、組織内での信頼関係構築を阻害します。

むしろ組織で評価されるのは、共感力と人間的魅力を持つ人材です。「この人と一緒にいたい、働いてみたい、話してみたい」と思わせる好感度こそが、現代の社会で最強の武器になるのだと、岡本氏は言います。

また信頼を得たいと思うのならば、まずは人の意見を聞くこと。そして、よく考えてから、しかるべきタイミングで自分の意見を述べるとよいそうです。

屋外で作業服姿の男性とスーツ姿の女性が、タブレットを見ながら笑顔で会話している様子。

チームの雰囲気をよくする人がやらないこと2. 不機嫌な顔をする

いるだけでチームの雰囲気をよくする人は、表情にも気を配っているようです。

前出の岡本氏によると、周囲から好かれる人は、人前で不機嫌な顔をしないのだそう。もし嫌なことがあった場合でも、それを表情に出さないのです。たとえプロジェクトが難航していても、それを表情で周囲に伝えることはありません。このプロフェッショナルな姿勢が、チーム全体の士気を維持するのです。

さらに、ネガティブな感情は伝播すると指摘します。自分ひとりが不機嫌な表情をするだけで、周囲の人まで嫌な気持ちにさせてしまうことを、EQが高い人は自然と心得ているのです。

また心理学者のゴールマン氏は、EQが低い人は感情的になりやすいと指摘し、理性を失った行動を「情動のハイジャック」と呼んでいます。「ネガティブな感情は業務の質を著しく低下させ、問題解決能力を奪う」と言うように、チーム内に感情的な人材が存在すると、組織全体のパフォーマンスが低下するため、会議などの場で感情的に振る舞ったりすることは避けるべきです。

とはいえ、まったくイライラせずに仕事をするのは難しいはず。そこで、怒りの感情が湧いてきたときは、日本アンガーマネジメント協会の代表理事・安藤俊介氏の提唱する、怒りをコントロールする「6秒ルール」を試してみてください。

・怒りを感じたら6秒待つ

6秒で怒りを消すことが目的ではありません。少しでも理性的な判断をするための6秒です。もし誰かと会話をしている最中であっても、6秒待ってみてください。

・6秒間、口角を上げる

無理やりにでも口角を上げ、笑顔をつくることで、人間は気持ちがほぐれます。イライラしたときこそ、意識して口角を上げて気持ちをコントロールしましょう。

キッチンで料理中の女性と、それに対して怒っている男性。女性は困った表情をしている。

チームの雰囲気をよくする人がやらないこと3. 途中で投げ出す

いるだけでチームの雰囲気をよくする人は、「途中で投げ出す」ことはしません。最後まで最善を尽くします。

EQベースのビジネスカウンセラーである大芝義信氏は、「EQの高い人は何事にも粘り強く取り組み、結果を出すための努力を怠らない」と述べています。EQが高い人は、感情コントロールに長けているため、困難に遭遇して「もう、諦めてしまおうか……」と思っても、一時の感情に流されることがないのだそう。

一方で、EQの低い人は共感性が低いので、「まわりの人がどう感じるか」よりも「自分の感情」を優先させてしまうと大芝氏は言います。困難な状況下で自分が「もう無理だ!」と感じたら、チーム全体のことなど考えずに、仕事を投げ出してしまうなど、EQの低い人は厳しい現実から逃げがちなのです。

とはいえ、仕事をしていたら途中で投げ出したくなるようなこともあるでしょう。そんなときは、大芝氏のすすめる「マインドフルネス」を試してみてください。ストレスや不安が払拭され、EQが高まるそうです。

  1. 背筋を伸ばして座り、目を閉じる
  2. よい姿勢を保ち、心のなかで4秒数えながら息を吸う
  3. 2秒間軽く息を止める
  4. 6秒間かけてゆっくりと息を吐ききる
  5. 自然に息を2秒間止める

上記の手順で呼吸のみに意識を向け、頭のなかに浮かんだ感情や思考は手放すことが大切だとのこと。

ストレスを感じたときは、心を休める効用があるマインドフルネスで気持ちをリセット。プレッシャーを感じたときこそ、精神状態をリセットし、新たな視点でタスクに取り組みましょう。最後まで責任を持つプロフェッショナルな姿勢は、必ずチーム全体にポジティブな影響を与えます。

白い背景に、紫色の「E」と黄色の「Q」が並んだ文字オブジェクト。EQ(感情知能)を表している。

チームの雰囲気をよくする「EQ」とは?

最後に、そもそもEQとは、米国の心理学者サロベイ博士とメイヤー博士が提唱した概念で、日本語では「心の知能指数」と訳されます。 従来、ビジネスでの成功は主に「IQ」(知能指数)で予測されると考えられてきました。

しかし両博士の調査により、IQが高くても成功しない事例が多数確認され、成功者の共通点は「自己の感情を管理し、他者の感情を知覚する能力に優れている」ことだと判明しました。 この「感情の認識と制御能力」がEQの本質です。EQの高い人材は優れた共感力を持ち、相手の視点から最適な行動を選択できるため、成功に近づきやすいのです。

前出のゴールマン氏は著書『ビジネスEQ』で、ビジネス成功要因におけるIQの寄与は最大25%、残り75%はEQが決定すると断言。組織に好影響を与える人材は、単に好かれるだけでなく、実際のビジネス成果にも直結するのです。

***

今回解説した内容を、以下の表にまとめました。

やらないこと なぜ避けるべきか 対策
自分が主役になる 信頼関係の構築を阻害し、共感力が低下する まず人の意見を聞き、よく考えてから自分の意見を述べる
不機嫌な顔をする ネガティブな感情が伝播し、チーム全体の士気が低下する 怒りを感じたら6秒待ち、口角を上げる
途中で投げ出す 自分の感情を優先し、チーム全体への影響を考えられない マインドフルネスで気持ちをリセットし、粘り強く取り組む

今回解説した3つの特徴のうち、いまのあなたに当てはまるものはありましたか? どんな仕事も、自分ひとりで完結するものではなく、ほかの人と協力する場面が多いはず。あなたも、いるだけでチームの雰囲気をよくする人を目指してみてください。

(参考)

*1: 書籍|ダニエル・ゴールマン著、リチャード・ボヤツィス著、アニー・マッキー著、土屋京子訳(2002)『EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方』日本経済新聞出版。
*2: 書籍|ダニエル・ゴールマン著、梅津祐良訳(2000)『ビジネスEQ―感情コンピテンスを仕事に生かす』東洋経済新報社。
*3: 東洋経済オンライン|頭の良さより「好感度」で人生が決まる納得理由
*4: Precious.jp|人間レベルが高い人はココが違う!周囲から「あの人は凄い」と思われる人になる5つの習慣
*5: アドバンテッジJOURNAL|感情の能力=EQを高めるための4つのステップ
*6: Schoo for Business|EQの高い人の特徴とは? EQ(心の知能指数)を高める人材育成について解説
*7: EQグローバルアライアンス|EQとは?
*8: YouTube|安藤俊介の「6秒ルール」アクサ生命保険
*9: EQバンク|【2022】EQを高めるにはどんな方法がある?知っておきたい習慣と本

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