「何しても満たされない」人が試すべき、科学的に幸福度が上がる“1日6つの習慣”

「意識せずとも幸せでいられる人」になるための “最高の1日” の過ごし方01

月曜日の朝、アラームで目覚めた瞬間から「また一週間が始まる……」と憂鬱な気持ちになる。 会議資料の準備、締切に追われるプロジェクト、次々と舞い込む急な依頼——気がつけば一日が終わり、「今日も何だか満たされない」とため息をつく毎日。

「そういえば最近、心から笑ったのはいつだろう?」

仕事の忙しさに追われるあまり、好きだった趣味に時間を使えなくなったり、友人との食事でも「明日の会議のことを考えてしまい、話に集中できない」という経験はありませんか? 頑張って働いているのに、なぜか幸福感が薄れ、毎日がルーティンワークのように感じてしまう——。

でもじつは、特別な時間をつくらなくても、仕事のある日の朝・昼・夜に少しだけ意識を変えるだけで、幸福感を高める方法があるのです。今日からすぐに実践できる「簡単な幸せ習慣」をご紹介します。ストレス解消と幸福感アップを同時に叶えて、仕事もプライベートも充実した毎日を手に入れましょう。

【朝の幸せ習慣1】太陽の光を浴びる

朝起きたら、スマホをチェックする前に、まずはカーテンを開けて日光を浴びましょう。

東邦大学名誉教授の有田秀穂氏によると、朝日を浴びるとセロトニンの分泌を促せるそうです。セロトニンとは、幸福ホルモンとも呼ばれる脳内の神経伝達物質のひとつ。心を安定させる働きをし、この分泌が低下するとうつ病を引き起こしかねないと言います。*1 幸せでいるためには、セロトニンを増やす習慣が重要なのです。

また、作業療法士で睡眠指導も行なう菅原洋平氏によると、起床後すぐに太陽光を浴びることで、睡眠ホルモンのメラトニンが抑制され、目覚めがよくなるそう。*2 その時点で一日の体内時計をスタートできるので、睡眠のリズムが整いやすくなり、寝つきの改善にも効果があるようです。睡眠の質がよくなれば、自然と満ち足りた気分になれそうですね。

有田氏によると、朝日を浴びる時間は最長でも30分程度でいいとのこと。*1 菅原氏は、起床後すぐ窓際に移動し、そこで朝食をとったりニュースのチェックをしたりすることをすすめています。*2

ベッドから起きてすぐリビングの窓際に向かう、洗面所の窓を開けて歯磨きをするなど、いつもの朝の動線を少し窓側にずらすだけで効果が期待できます。ぜひ明日から、朝過ごす場所を少しだけ変えて、太陽のパワーを取り入れましょう。

「意識せずとも幸せでいられる人」になるための “最高の1日” の過ごし方02

【朝の幸せ習慣2】深呼吸する

有田氏は、セロトニンを増やすには毎日の「リズム運動」も大切だと言います。さまざまなリズム運動があるなか、有田氏が歩行運動と並んですすめるもののひとつが「呼吸法」です。*1

呼吸法というと、マインドフルネスのような少し難しいものを連想するかもしれませんが、有田氏が言うのはもっと手軽なもの。息を吐くときに「ひとつ、ふたつ」と数を数え、息を吸うときは自然に任せる——それをしばらく繰り返すだけで、セロトニン分泌を促せるそうですよ。

さらに忙しいビジネスパーソンにおすすめなのが、“マインドフル子育て教育者” のミシェル・ゲール氏が忙しい人向けにすすめる「スキマ時間の呼吸法」。*3

電車のドアが閉まるのを待つ数秒間、エレベーターが到着するまでの時間、会議室に入って資料を準備する前のひととき——どんなに忙しい毎日でも、日常のなかで意外と多く存在する数秒から数十秒の空白時間。そんなときに、目を閉じて呼吸を3回する。それだけでも、マインドフルネスを取り入れることができ、心が少し落ち着くのだそうです。

「呼吸なんて誰でもしている」と思われがちですが、意識的に行なうことで脳への効果は格段に変わります。朝の準備中、ふっと手が止まったその瞬間に、少しだけ意識して深呼吸をしてみましょう。朝はもちろん、ほかの時間帯にもぜひ取り入れてみてくださいね。

「意識せずとも幸せでいられる人」になるための “最高の1日” の過ごし方03

【昼の幸せ習慣1】仮眠をとる

「昼休みに寝るなんて時間がもったいない」と思っていませんか? じつは、昼休みには積極的に"ちょっとまどろむ" 時間をもつことが、午後のパフォーマンス向上の秘訣なのです。

新宿ペリカンこころクリニックによると、20分ほど目をつむり、うとうとすることで、セロトニンが分泌され幸福感がアップするのだそう。興味深いことに、脳は完全に眠るよりも "半覚醒" のときに、最もセロトニンを分泌させるのだとか。また同クリニックは、視覚情報をシャットアウトするだけで、脳疲労を大幅に軽減できるとも述べています。*4

そんな “うとうと” を越えて本格的な仮眠をとることにも、嬉しいメリットが。NASAの研究によれば、26分間の仮眠をとったパイロットは、仮眠をとらなかったパイロットと比較して、注意力が54%、仕事の成果が34%上昇したそうです。同研究は、仮眠は気分の改善にも効果的だとしています。*5

デスクでそっと目を閉じる、休憩室のソファで横になる、車の中で少し体を休めるなど、完璧な環境でなくても効果は十分期待できます。昼休みには、スマートフォンを見続けるのではなく、少しでも目をつむり、目から入る情報をしばらくシャットアウトしてみましょう。幸福感をチャージして、脳の疲労回復もできれば、午後の仕事をいい気分で進められそうですね。

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【昼の幸せ習慣2】感謝する

「今日もクレーム対応で疲れた」「また無理な締切を押し付けられた」 ——社会人にとって平日の日中は、多くの人とやり取りしたり、厄介なタスクに対処したりしなければならず、心がざわついてしまうことも多いもの。そんな負のスパイラルに陥りがちなときこそ、心のなかで「感謝できること」を見つけてみましょう。

英ウォーリック大学のアレックス・M・ウッド氏(所属は研究当時)らが行なった実験によって、感謝の気持ちをもつことでストレスが軽減され、うつ症状が緩和されることが明らかになっています。*6 同氏を含む別チームの研究では、感謝をすることでよく眠れるようになることもわかったそう。*7

感謝の言葉をノートに書いたり、相手に直接感謝を伝えたり……といった方法でも効果が立証されていますが、「それはちょっと面倒」と感じる方もご安心を。ハーバード大学医学大学院によると、心のなかで感謝するだけでも感謝の気持ちが育まれるそうですよ。*8

「そんなこと言っても、感謝なんて見つからない」と思う日もあるかもしれません。しかし、理不尽な上司に悩まされても「おかげで忍耐力がついている」、面倒な会議があっても「おかげでメリハリのある日々を送れている」など、視点を変えれば感謝できるポイントは意外と見つかるものです。

ふとストレスを感じたとき、ネガティブ思考に陥ってしまったときは、「でも、ありがたい」と、あえて逆の視点から物事を見直してみてはいかがでしょうか。この小さな習慣が、午後の仕事への取り組み方を変えてくれるかもしれません。

「意識せずとも幸せでいられる人」になるための “最高の1日” の過ごし方05

【夜の幸せ習慣1】お風呂でリラックスする

「今日も疲れた。とりあえずシャワーで済ませよう」 ——あわただしい日中を乗り越えたら、疲れた心身をその日のうちに癒してあげることが大切。そんな夜にぜひ取り入れたいのは、入浴習慣です。時短でシャワーで済ませてしまう方も多いかもしれませんが、じつはお湯に浸かることで幸福感が得られるのです。

東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉氏が行なった実験で、毎日お風呂に入る人は、そうでない人に比べて、幸福度が高い人の割合が約10%多いとわかったそう。毎日のお風呂で、幸福になれる――そう早坂氏は言います。

もちろん、体の疲れをとるのにもお風呂は最適。早坂氏によると、疲労回復に効果的な入浴方法は「40℃のお湯に10~15分間浸かる」こと。半身浴ではなく、肩まで全身でお湯に浸かる「全身浴」をすることで、温熱効果や水圧によるマッサージ効果が得られるのだとか。*9

「平日はシャワーだけ」「お風呂は週末だけ」という方も多いはず。 しかし、負担のない範囲で少しずつお風呂に入る機会を増やしてみてはいかがでしょうか。たった10分の入浴時間が、翌日の気分を大きく変えてくれるかもしれません。

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【夜の幸せ習慣2】自分をほめてあげる

「今日もミスばかりで最悪だった」「また上司に怒られてしまった」 一日の終わりに、つい自分を責めてしまうことはありませんか? 心理カウンセラーの根本裕幸氏は、そんな習慣を変えるために「1日5個自分をほめること」を推奨しています。その日の頑張りを振り返り、「よくやったね」と自分をたたえてあげるのです。

根本氏いわく、その目的は「ダメ出し」の癖を改善すること。何かと自分を否定して気分を下げるより、自分をほめる習慣をもつほうが、おのずとハッピーになれるし自信をもてるようになると言います。不調なときでも、気分を切り替えられるようになるとも。*10

大きな成果をほめる必要はありません。むしろ、「満員電車に乗って出勤できた」「苦手な会議で一言発言できた」「コンビニ弁当でもちゃんと食事をとれた」など、普段当然のように行なっている、ほんの些細な日常を認めてあげることが大切なのだそうです。最初は抵抗を感じても、1〜2か月ほど続ければ、自然にほめられるようになるとのこと。

ノートもペンも必要ありません。毎日5個の「ほめポイント」を思い出し「よく頑張りました!」と、心のなかで自分をほめてあげましょう。きっと幸せな気持ちでその日を締めくくれるはずですよ。

📝 今日から始める「幸せ習慣」まとめ

太陽の光を浴びる+深呼吸

セロトニン分泌でハッピーに。窓際で過ごす時間を作り、意識的な呼吸を

仮眠をとる+感謝する

20分程度の仮眠で脳をリフレッシュ。心の中で感謝できることを見つける

お風呂でリラックス+自分をほめる

40℃のお湯に10-15分浸かり、1日5個自分をほめて締めくくる

🎯 継続のコツ

完璧を目指さず、できることから始める。毎日全てをやろうとせず、その日の気分や状況に合わせて選択することが長続きの秘訣です。

***
「幸せ」は遠い存在ではなく、心身を整えたり少し工夫したりすることで自然に湧き出てくるもの。ほんの少しだけ行動を変えて、毎日幸せを感じられる人になりませんか? きっと、仕事も勉強もよりうまくいくようになるはずです。

「幸せに働く」ためのコツはこちらの記事もご覧ください。
>>「幸せに働く人」が決して “しない” 3つのこと。 毎日楽しそうなあの人は、ここが違う

(参考)

*1 cotree|幸福脳になるための、セロトニン神経の鍛え方|東邦大学名誉教授 有田秀穂
*2 すやすや部|朝は目覚めたら窓から1m以内に入る
*3 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|子育てと仕事の隙間時間にマインドフルネスを取り入れる方法
*4 新宿ペリカンこころクリニック|【心療内科Q/A】「睡眠障害です、上手な『昼寝』の取り方を教えて下さい」
*5 Insider|Here's what NASA says is the perfect length for a power nap
*6 Alex M Wood, John Maltby, Raphael Gillett, P. Alex Linley and Stephen Joseph (2008) , “The role of gratitude in the development of social support, stress, and depression: Two longitudinal studies”, Journal of Research in Personality, Volume 42, Issue 4, pp. 854-871.
*7 Alex M Wood, Stephen Joseph, Joanna Lloyd and  Samuel Atkins (2009), ”Gratitude influences sleep through the mechanism of pre-sleep cognitions”, Journal of Psychosomatic Research, Volume 66, Issue 1, pp. 43-48.
*8 Harvard Health Publishing|Giving thanks can make you happier
*9 東上沿線物語|健康を高める 正しい入浴法 40度で10~15分、 全身浴
*10 根本裕幸オフィシャルブログ|1日5個自分を褒めるだけで人生が変わる!?~人生を変えるのはちょっとしたことを続けること~

【ライタープロフィール】
平野ももこ

大学ではフランス文学を専攻し、物語のなかの人の心を中心に研究。出版社を経営していた祖母の影響もあり、純文学、心理学、ビジネス書など幅広く読む大の読書家である。現在は、メンタルケアやカウンセリングを勉強中。バレットジャーナルの実践を通じ、生活改善に成功し続けている。

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