うっかり使っていませんか? キャリアを台無しにする3つの口癖と改善法

上司に怒られている女性

「なぜ私の努力は正当に評価されないのだろう?」

真面目に仕事に取り組み、それなりの成果を出しているのに、上司からの評価がいまひとつ物足りないと感じていませんか。同じように頑張っているはずなのに、同期と比べて自分の評価が低く見えてしまう。その原因は、意外にもあなたの何気ない言葉遣いにあるかもしれません。

本記事では、上司の信頼を失う可能性のある言葉と、その改善方法をご紹介しましょう。一見やる気をアピールしているようで、実は評価を下げかねないNGワードについて解説していきます。

あなたも知らずに使っているかもしれない、これらの言葉をチェックしてみませんか? ちょっとした意識の変化で、あなたへの評価は大きく変わる可能性があるのです。

上司からの信頼を失う言葉1:なるほど……

上司「このプロジェクトは時間的な制約があるため、必要な人材や資源の確保を急がなくてはなりません」
部下「なるほど、そうなのですね」

そんなふうに、上司の言葉に対して「なるほど」を連発していませんか? 相手の話に共感を示す使い勝手のいい言葉ですが、言い過ぎると本当に話の中身を聞いて理解しているか疑われてしまう危険な口癖なので要注意

『話し方で損する人 得する人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2018)の著者で心理カウンセラーの五百田達成氏によれば、「なるほど」を繰り返すのは、「損」な話し方なのだと述べ、その理由を次のように挙げています。*1

  • 相手を急かしている感じになってしまう
  • 軽薄な印象を与えてしまう
  • 「ほんとに聞いてくれてるのかな?」と疑われてしまう

上司の話を理解し共感していることを示そうと使った言葉で、誤解を受け、ムダに評価を落とすようなことは、なんとしても避けたいものです。

「なるほど」を繰り返してしまう方にオススメの改善方法は、「おうむ返し」をすること。本章冒頭の会話で、「なるほど」の代わりに「おうむ返し」をした場合の例をつくってみました。

上司:このプロジェクトは時間的な制約があるため、必要な人材や資源の確保を急がなくてはなりません。
部下:はい、人材や資源の確保を急ぐ必要があるのですね。
上司(心の声):そのとおり! ちゃんと伝わってよかった……。

おうむ返しによって、上司は自分の言葉が部下に伝わったことを確認できて安心し、話が通じる人として信頼を寄せてくれるはず。

「なるほど」を繰り返してしまう方は、おうむ返しで相づちのバリエーションを増やし、ムダに評価を落とすリスクを回避していきましょう。

なるほどですね、と言う女性の部下

上司からの信頼を失う言葉2:頑張ります!

上司にとにかくやる気をアピールしようと、「頑張ります!」が口癖になっていませんか?

威勢はいいのですが、「頑張ります!」と繰り返しているだけでなにをどう頑張るのか言わなければ、「口先だけの人ではないか?」と上司に疑われかねません

『外資系エグゼクティブの逆転思考マネジメント』(ぱる出版, 2015)の著者で人材活性ビジネスコーチの櫻田毅氏によれば、ビジネスで成果を出すために頑張るのは当たり前のこと。厳しい競争を勝ち抜くためビジネスパーソンに求められているのは、「工夫する」ことなのだと述べています。*2

「頑張ります」という言葉は口先で言えますが、「どう工夫するか」については、仕事に真剣に向き合って考えなければ答えられません。ゆえに、自分なりの工夫点を上司に伝えれば、自主的に考え行動できる人間だと上司に強くアピールできるのです。*3

たとえば営業で上司から依頼を受けたときに、「頑張ります!」と言う代わりに、工夫を提案するときの例をご覧ください。

上司:新規顧客の獲得に取り組んでください。
部下:かしこまりました。手始めに、現在実施している「既存顧客からの紹介プログラム」について見直しを図るため、成功事例と課題点を分析します。
上司(心の声):主体的に仕事ができる部下で助かる!

上の例のように、具体的な工夫を提案すれば、上司に「自分で考えることができる部下だ」と重宝されるようになるはず。

「頑張ります!」と言ってしまいがちな人は、頭に浮かんだ工夫を言語化して上司に伝えるよう心がけてみてください。

上司に頑張ります!と言っている部下

上司からの信頼を失う言葉3:やろうと思っていたのですが

上司から後回しにしていた仕事の進捗状況を尋ねられたとき、「やろうと思っていたのですが……」と言ってしまうことはありませんか? 

「やろうと思っていた」を口癖にしていると、上の立場の人から「仕事ができない人」と思われ、敬遠されやすくなってしまうのです。

経営者対象のコンサルティング事業を手がける株式会社RECOMOの代表取締役CEO橋本祐造氏は、経営者が採用したくないと思う人物の口癖のひとつに、「やろうと思っていました」を挙げています。

橋本氏は、部下から「やろうと思っていました」という言葉が出てくる背景を、次のように分析しています。*4

行動するように指示されたことを、自分の中では消化できないまま、「分かりました」と答えたものの、自分事になっていないため、頭の中での優先順位は下がったままで、時間が過ぎていく。行動されていないことを指摘された時の言い訳が、まさにこの「やろうと思ってました」になる 

つまり、「やろうと思っていた」ということは、いまだ行動していないということ。具体的でない発言を並べることは、上司に「なんだかんだ言って、結局やりたくないのだろう」と判断されても文句は言えません。

そんな状況を打開するため、次の例のように「いつまでに」「どのような手順で」仕事を進めるかを明確にし、上司に伝えてみてはいかがでしょう。*4

上司:先日お願いした、新商品の提案書の作成は進んでいますか?
部下:はい。今週中に市場のトレンドと顧客のニーズ分析を終え、来週火曜日までに中間報告いたします。その後フィードバックを反映し、修正を加えて金曜日に最終版を提出する予定です。

上司やチームリーダーが、部下やチームメンバーに仕事の進捗状況を尋ねる目的は、遅れや問題の発生を早期に把握し対処すること。すなわち、上司は部下やチームの仕事が予定どおり進んでいるか、気をもんでいるのですね。

上司やリーダーからまだ着手できていない仕事について問い合わせを受けたとき、具体的な作業段階や予定を報告し、上司やリーダーの不安を解消できれば、「任せておいて大丈夫だろう」と思ってもらえるのではないでしょうか。

***
上司の信頼を損ねる言葉を口にしそうになったら、次のような内容に言い換え、あなたの能力をアピールするチャンスに変えていきましょう。

  • 「なるほど」→ 「おうむ返し」で傾聴力をアピール
  • 「頑張ります!」→ 頭に浮かんだ工夫を伝えて、自主性をアピール
  • 「やろうと思っていたのですが」→ 期日と手順を伝えて、段取り力をアピール

上司の期待に応える言葉が使えるようになれば、あなたへの信頼度がアップしていくはずです。

【ライタープロフィール】
上川万葉

法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。

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