“市場が評価した経営者ランキング1位”の社長が「手帳がタスクでびっしりな人には期待しない」と語る理由。

木下勝寿さんインタビュー「行動量を増やし、動ける人になる方法」01

「こんな企画ができればおもしろそうだ」とアイデアは思いつくものの、なかなか実際に動いてかたちにできない……。そんな経験はないでしょうか。目の前の仕事に追われる多忙なビジネスパーソンであれば仕方のない面もあります。

でも、著書『時間最短化、成果最大化の法則』(ダイヤモンド社)を上梓し、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」で1位を獲得した株式会社北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿(きのした・かつひさ)さんは、「行動量こそが成果を生む」と語ります。行動量を増やす、動ける人になる方法を教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「あとでやろう」ではなく、ピッと思いついたらパッとやる

仕事においてうまくいかないことがあったとしても、命をとられるようなことはありません。ですから、「やってみて駄目だったらやめればいいだけ」といった、ある意味で気軽な感覚をもっておくべきです。

でも、行動力のない人は、基本的に「うまくいかなかったらどうしよう……」というところで思考が停止しています。そのため、行動に移せません。また、行動力のない人には、「やってみて無駄足になること」を極端に嫌がるという傾向も見られます。でも本当に、無駄足になることはそこまで多いものでしょうか?

私は、すぐに行動に移すための考え方のクセとして、「ピッパの法則」というものを提唱しています。ピッパの法則とは、「ピッと思いつたらパッとやる」という意味です。やるべきことができたら、「あとでやろう」ではなくその場ですぐにやる。どうしてもすぐにやれない場合にも、いつやるかをその場で決めるのです。(『最速で仕事をする人の “考え方のクセ” とは? 確実に周囲に差がつく2つの「思考アルゴリズム」』参照)

「喉が渇いたから飲み物が欲しい」と思ったら、すぐにコンビニに行って買う。帰ってきたら、「あ、消しゴムも切れていたんだった」と思ってまたコンビニに行ったとします。このことをみなさんは無駄足だと思いますか?

でも、「コンビニに行くんだったら、なにかほかに買わないといけないものがなかったかな……」なんて考え、無駄足を嫌うあまりに行動に移せなかったとしたらどうでしょうか。この人は飲み物も消しゴムも手に入れられません。「動くが勝ち」なのです。

木下勝寿さんインタビュー「行動量を増やし、動ける人になる方法」02

タスクを書き込むのではなく、その場でこなす

このようにピッと思いついたらパッとやるかどうかが、メンタルの安定や集中力にも影響を及ぼします。

みなさんはどんなふうにタスク管理をしていますか? 手帳やタスク管理アプリに、20も30もタスクがびっしりと書き込んでいる人もいるでしょう。そういう人は、やるべきことができたときに「あとでやろう」と思うからこそ、タスクがどんどんたまっています。

でも、「今日はなにをやるのだったっけ?」と思って手帳やアプリを開くと、たくさんのタスクが目に入ってきます。「そうだ、これもやらないといけない」「まだ時間はあるけれど、これも……」と思うと、それらが気になって本来やるべきことに集中できなくなるということも起きうるのです。

一方、ピッパの法則でどんどんタスクをこなすと、手帳やタスク管理アプリに残っているタスク量は一定以上には増えません。残っているタスクが少ないために気分的にもすっきりしますし、それだけタスクをこなすのですから業務量が上がることはもちろん、やはり成果を挙げやすくもなります

私の場合、20も30もタスクを書き込んでいる人にはあまり期待しないようにしています。そういう人と打ち合わせをして「わかりました、考えておきます」なんて言われても、「どうせこの人が動くのはだいぶ先なんだろうな」と思ってしまうからです。最終的に仕事がかたちにならないそんな打ち合わせは、まさに無駄でしかありません。

木下勝寿さんインタビュー「行動量を増やし、動ける人になる方法」03

すぐにやることで、物事が動くことを実感する

みなさんもぜひ、まずは3週間でいいので、ピッパの法則に従ってすぐに行動するということを続けてみてください

もちろん、そうするなかには先のコンビニの例のように、一見無駄足と思えるようなことも発生するでしょう。じっくりと考えることなくまずは動くのですから、ピッパの法則で行動すると一定程度の無駄足のようなものは発生します。それでも、すぐに動くことによるプラスは圧倒的です。

私自身、若い頃にはなかなか行動に移せないタイプでした。会社経営者の人たちと話をしながら、「こんなことをやったらおもしろそうですね」なんて話すのに、私は話だけでなにも行動しませんでした。ところが、相手は違う。次に会ったときには、「あのアイデアのここはよかったけれど、ここがネックだな」というふうに、実際に動いて検討していたのです。

それから、私はピッパの法則で動くようにしました。10個のアイデアを思いついたら10個全部実行するようにしたのです。かつての私は10個のアイデアを思いついてもひとつしか実行できませんでしたから、行動量は10倍になったわけです。

行動量が増えればそれだけこなせる業務量も増え、成果にもつながりやすくなるのは必然です。3週間も続ければ、うじうじと考えて動けなかったときと違って、物事がどんどん動いていくのを実感できるはずです。

木下勝寿さんインタビュー「行動量を増やし、動ける人になる方法」04

【木下勝寿さん ほかのインタビュー記事はこちら】
最速で仕事をする人の “考え方のクセ” とは? 確実に周囲に差がつく2つの「思考アルゴリズム」
10回本気でやって1回も成功しない人はいない。「失敗しても評価が下がらない人」のシンプルな行動原則

【プロフィール】
木下勝寿(きのした・かつひさ)
兵庫県出身。株式会社北の達人コーポレーション(東証プライム上場)代表取締役社長。株式会社エフエム・ノースウエーブ取締役会長。大学卒業後、株式会社リクルートに勤務。2002年、eコマース企業・株式会社北の達人コーポレーション設立。独自のウェブマーケティングと管理会計による経営手法で東証プライム上場を成し遂げ、一代で時価総額1,000億企業に成長させる。フォーブスアジア「アジアの優良中小企業ベスト200」を4度受賞。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位。日本政府より紺綬褒章8回受章。著書に『売上最小化、利益最大化の法則』(ダイヤモンド社)、『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』(実業之日本社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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