「仕事は数字がすべてじゃない」と考える人こそ “数字に向き合う” ほうがいい、これだけの理由

安藤広大さん「仕事は数字がすべてじゃないと考える人こそ数字に向き合うべき理由」01

「仕事は『数字』が重要」と聞くと、どんな印象を受けるでしょうか。数字に対して苦手意識をもっている人なら、「仕事は『数字』がすべてじゃない」と否定したくなるかもしれません。

しかし、「識学」という組織運営理論をベースに経営・組織コンサルティングや研修を行なっている安藤広大(あんどう・こうだい)さんは、成果を挙げるために留まらず、仕事における「自分らしさ」を見つけるためにも数字を重視すべきだと語ります。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/疋田千里

成果を左右するのは、どれだけ動いたかという「行動量」

仕事で成果を挙げようと思えば、「数字に向き合う」ことこそ最重要だと、私は考えています。なぜなら、どれだけ動いたかという「行動量」に対して数字で目標を設定し、それを高く維持しておかなければ、成果はどうしても挙がりにくいからです。

受注率100%のAさん、受注率が50%のBさんというふたりの営業職がいるとします。しかし、Aさんは1か月に2件しか営業をせず、Bさんは10件の営業をするとしたらどうでしょう?

受注件数はAさんが1か月に2件で、Bさんは5件です。受注率は高くなくとも、たくさんの営業をするといったように、行動量を高く維持していたBさんのほうが優秀な営業職と言えます。

この例で言えば、行動量である営業訪問件数について「今月は○件の営業訪問をする」と数字で目標を設定しておくことで、成果を挙げやすくなるでしょう。

ただ、なかには「私は総務部の所属だから、数字で測れる仕事がない」と思う人もいるかもしれません。しかし、総務や人事のようなバックオフィスの仕事でも、あるいはほかのどんな職種であっても、共通して必ず数値化できるものがあります。

それは、日付や時刻といった、数字で表せる「期限です。要するに、スピードですね。「金曜日までに終わらせなければならない仕事を、水曜日までに終わらせよう」といった目標を設定することは、どんな仕事に携わる人にもできることだと思います。

そうして、本来の期限より早く仕事を終わらせることができたなら、それは明らかな成果であり、自分自身の成長の証でもあると言えるでしょう。もちろん、早く終わらせられたということは、それだけ時間あたりの行動量が多かったということ。やはり行動量は成果に直結しているのです。

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どんな仕事でも目標として数値化できる「期限」

また、長期的なプロジェクトに携わっているなど、「頑張りが数字に見えるかたちでの結果としてすぐに表れてこない仕事もある」と考える人もいるかもしれません。しかし、そういう仕事であっても、やはり「期限」は目標として数値化できます。

長期的なプロジェクトとはいっても、その中身は、短期間で進めなければならない小さな仕事の積み重ねです。「このプロジェクトにおいて○月×日までにどこまでの作業を進める」のような目標を設定することもできるでしょう。

また、会社から正当な評価を得るためには、そういった目標を評価基準として、上司とのあいだで認識のズレのないようすり合わせておくことも重要です。

「長期的プロジェクトをスムーズに進められたら評価される」なんていうのは、評価基準にはなりえません。自分なりにスムーズに進められたと思ったとしても、上司からそう評価されるとは限らないからです。

「このプロジェクトにおいて、○月×日までにどこまでの作業を進められたら評価される」といった具合に、互いのあいだで齟齬なく客観的事実を認識できる数字を用いた評価基準を、上司にきちんと確認しておくべきです。

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数字と向き合った先で見つかる「自分らしさ」

最後に、みなさんに知っておいてほしいのは、数字と向き合うことで「自分らしさ」が表れてくるということです。

数字とは、無機質なもの。そのため、「仕事は数字がすべてじゃない」「数字で表せない部分こそが重要だ」と考える人もいます。しかし、おもしろいもので、無機質な数字で表した目標を達成しようと全力で取り組む姿勢にこそ、人それぞれの特徴、すなわち自分らしさが表れると私は思うのです。

目標を達成しようと努力しているにもかかわらず、なかなか成果が挙がらないときに、どう考えるのか、どんな工夫をするのか、どんなもがき方をするのかは人によって異なります。それこそが、仕事におけるその人の自分らしさです。

働き方改革が進むなか、「余裕をもってプライベートも充実させながら、自分らしく仕事をしたい」人もいるでしょう。もちろんそういった考えも否定しませんが、私に言わせれば、それは完全に順番が逆。仕事における自分らしさとは、全力で数字を追いかけた先に見えてくるものだと思います。

特に若い人たちには、まずはがむしゃらに数字を追いかけてほしいですね。そうして自分らしさを見つけることができたなら、その先で自分らしさを活かした仕事をすることもできるはずです。

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【安藤広大さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「仕事ができる人」になる唯一の方法。いくら苦手でも “数字” に向き合いやすくなるコツ
ベテランほど陥りがちな “罠” に要注意。大切なのは「PDCA」を正しく回すことだった

【プロフィール】
安藤広大(あんどう・こうだい)
1979年生まれ、大阪府出身。株式会社識学代表取締役社長。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出会い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの7年間で約2700社に識学メソッドが導入されている。主な著書に『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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