基本にして最強の「繰り返し勉強法」3つ。勉強エキスパートはこうやって復習している!

勉強エキスパートの繰り返し勉強法01

「ちゃんと復習したはずなのに、試験本番になると忘れている......」
「参考書を何度も読んでいるけど、いっこうに問題を解けるようにならない......」

勉強する人なら誰しも、一度はこうした壁にぶつかったことがあるでしょう。

知識を頭に定着させるには、勉強の反復が欠かせません。しかし、ただ反復するだけだと効果がないことも。勉強で成果を出せる人は、具体的にどのような ”繰り返し” を行なっているのでしょうか? この記事では、勉強のエキスパートたちによる繰り返し勉強法についてご紹介します。

1.「計画的に4回」繰り返す

覚えるまで何度でも復習すべきであることは大前提として、少なくとも4回復習する」とよい――こう説くのは、『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』の著者で、税理士や大学講師などさまざまな顔をもつ石川和男氏です。

石川氏が自身の経験から特に重視しているのが、復習のタイミング。「とりあえず復習しよう」では、せっかくの効果が薄れてしまうからです。具体的には、以下のとおり。

  • 1回め:勉強を「終了する直前」に3分間
  • 2回め:最初に勉強した日の「翌日の朝」に5分間
  • 3回め:最初に勉強した日から「1週間後」
  • 4回め:試験前日などの「本番直前」

たとえば、世界史の産業革命について勉強する場合を考えてみましょう。

【1回めの復習】は、最初の勉強を終える直前に行ないます。学んだ内容を、3分程度でいったん整理して、全体像を大まかに把握しましょう。細かい知識は除いて、「19世紀イギリスでは、綿織物工業の技術革新を中心とする産業革命が起こった」といった感じに要約できれば大丈夫だそう。

【2回めの復習】は、翌朝の5分間で行ないます。この段階では、「1771年に、リチャード・アークライトが水力紡織機を開発」といった細かい知識まで、教科書を読み直すなどして振り返りましょう。1回めの復習からできるだけ時間を空けずに復習することで、学習した内容を思い出しやすくなり、正確な情報が頭に残るそうです。朝の通勤を活用するのもおすすめ。

【3回めの復習】は、1週間後が目安。覚え具合をテストしつつ、復習を完璧に仕上げていく段階です。問題集や過去問を解いて、記憶に漏れがないかを確認します。漏れがあれば、教科書などを再度読み直すほか、さらに1週間後、復習をもう1回プラスしてもよいとのこと。「もう覚えた・理解した」と自信をもって言える程度にまで仕上げることが重要です。

【4回めの復習】は、本番の試験直前のタイミングで行ないます。すべての学習内容を復習することは時間的に不可能なので、本番の試験問題に焦点を当てます。問題集の目次を見るなどして、試験に頻出かつ重要な範囲、あるいは自分が忘れている箇所を確認し、問題を解き直したり教科書を読み直したりしましょう

このように最低でも4回、タイミングにこだわって復習すれば、知識は完璧に定着するはずです。

勉強エキスパートの繰り返し勉強法02

2.「1:5の期間で5回」繰り返す

復習のタイミングを重視した勉強法を、もうひとつ取り上げましょう。それは、勉強」から「最初の復習」までの期間:「最初の復習」から「試験」までの期間=1:5にして、5回復習するというもの。『ムダにならない勉強法』など勉強に関する多くの著書をもつ、精神科医の樺沢紫苑氏が紹介しています。

この「1:5」という割合は、ヨーク大学心理学科教授のMelody Wiseheart氏らが2008年に発表した論文を参考にしたものです。このタイミングで復習をした場合に、最もテストの得点が高くなったのだとか。

また「5回」という回数は、2008年にScience誌へ掲載された、パデュー大学心理学教授Jeffrey D Karpicke氏らの研究から。それによれば、5回以上復習しても、記憶の定着度はそれほど変わらないとわかったのだそう。

樺沢氏はこれらの結果をふまえ、たとえば試験が1カ月後(30日後)にある場合、最初の復習は5日後に行なうのがベストだと伝えています。勉強した日から試験日までを「1:5」にすると「5日:25日」になるという計算です。そのあとは、均等間隔で残りの4回復習すればよいそう。

復習の内容はいつもと同じでも、そのタイミングを変えるだけで勉強の効果はきっとアップするはずです。

勉強エキスパートの繰り返し勉強法03

3.「速く薄くを3回」繰り返す

最後に、“記憶のスペシャリスト” が提唱する繰り返し法をご紹介しましょう。日本記憶力選手権を6連覇し、世界記憶力選手権では日本人初「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得した池田義博氏による3サイクル反復速習法です。

これは、「分散効果」と呼ばれる学習心理学上のテクニックを活用して、学習範囲をスピード重視で3回繰り返す勉強法。分散効果とは、数回に分けて勉強すると、その内容がより記憶に定着しやすくなるという効果です。しっかり集中して1回だけ勉強するよりも、薄く記憶する作業を何度も繰り返したほうがよいということ。

ただし、いくら「スピード重視で、薄く記憶するだけでいい」とはいっても、学習範囲が広すぎる場合には、何度も繰り返すことがかなりの負担になるもの。そこで池田氏は、ある程度の範囲で区切り、少し進んで前に戻ることを繰り返すとよいと述べます。

ここで再び、世界史を例に考えてみましょう。

  • いつもの勉強法
    「ルネサンス~大航海時代~アメリカ大陸の発見……」と全範囲を3周勉強する
    ⇒とても時間がかかるうえ、負担が大きい

  • 3サイクル反復速習法
    「ルネサンス」
    →「ルネサンス~大航海時代」
    →「ルネサンス~大航海時代~アメリカ大陸の発見」
    →「大航海時代~アメリカ大陸の発見~……」
    のように、進んでは戻りながら先へ進んでいく
    ⇒比較的楽に、各単元を3回ずつ繰り返して勉強できる

進んだり戻ったりを繰り返せば、「アメリカ大陸の発見について勉強しているうちに、ルネサンスについては忘れてしまった……」という状況も防げます。このやり方で3回反復すれば、より効率よく、記憶を定着させられるはずですよ。

***
何度も同じ内容を復習するのは退屈かもしれません。しかし、繰り返しの1回1回に成績アップのからくりがあります。ご紹介した方法を、ぜひご自身でも実践してみてくださいね。

(参考)
リクナビNEXTジャーナル|「かしこい」と言われる人の、時間をムダにしない勉強法とは?
新R25|すぐ復習するのはNG!? 8つの「ダメな勉強法」とその解決策をベストセラー医師が解説!
Nicholas J Cepeda, et al. , “Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention” (2008), Psychological Science, vol 19, no.11, pp.1095-102.
Jeffrey D Karpicke, Henry L Roediger 3rd, “The critical importance of retrieval for learning” (2008), Science, vol 319, issue 5865, pp.966-8.
STUDY HACKER|“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。
木村靖二 他 著(2017), 『詳説世界史 改訂版 世B310』, 山川出版社.

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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