「脳の疲れ」を解消できる超シンプルな4つのストレッチ

脳に効く仕事中おすすめストレッチ01

「疲れて仕事がはかどらない……」
「どうにも集中できない……」
デスクワーク中にこんなふうに感じるのは、脳の疲労やストレスが原因かもしれません。そこで、仕事中の数分間を使って、脳に効く簡単なストレッチに取り組んでみませんか?

ストレッチというと、「運動前に体をしなやかにするためのもの」というイメージが強いですが、じつは脳にとってもさまざまなメリットがあるのです。脳疲労改善や集中力アップなど、目的別に4つの方法をご紹介します

【1】脳のストレスをやわらげる「体側伸ばしストレッチ」

脳内物質のノルアドレナリンやドーパミンは、適量の分泌であれば、やる気や集中力、判断力を高めるのに役立ちます。しかし、「すぐに解決できない問題を抱える」といった戦闘状態を長期間強いられると、過剰に分泌され、脳に強いストレスや疲労感を与える原因になります。

この状態を改善するには「ストレッチで脳内の血流を高め、心を安定した状態に保つ『セロトニン』の分泌を促すとよい」と述べるのは、30万人以上の施術実績を持つ、柔道整体師の山内英嗣氏です。

ここでは、山内氏が提案するストレッチの一例として「体側伸ばしストレッチ」を紹介しましょう。

  1. 椅子に座って正面を向き、右手で左側の椅子の座面を持つ
  2. 左手で頭の後ろから右耳をつまむ
  3. 呼吸しながら、つまんだ耳のほうへ体を傾ける
  4. 数秒キープしたら、反対側も同様に行なう

この体側伸ばしストレッチをすると、 体を右に傾けたら左側の体側が伸び、同時に右側の体側を縮めることができます。伸ばした筋肉の反対側をしっかり縮めることで効率的に筋肉をリラックスさせ、脳内の血流を高めてセロトニンの分泌を促し、仕事中でもストレスによる影響をケアできると山内氏は述べます。

3~4の動作では、体の側面の伸びと同時に縮みを意識してみましょう。

脳に効く仕事中おすすめストレッチ02

【2】脳疲労解消に効く「首ジワークネクネ体操」

運動科学総合研究所の所長・高岡英夫氏は、脳の神経細胞やそれを支えるグリア細胞が働いて細胞内に蓄積された老廃物や疲労物質が、血流の悪化によってうまく代謝されないことが原因で脳疲労が起こると指摘します。 

そこで高岡氏が提案するのが「ゆる体操」です。ゆる体操は、体をゆすり動かして緩め解きほぐす「揺動緩解運動」、全身もしくは身体の一部に重力や圧力をかけながら緩め解きほぐす「圧動緩解運動」、対象部位を手や足でさすることで緩め解きほぐす「擦動緩解運動」を主にした体操のこと。その種類は豊富で、脳疲労の改善のほか、病気の予防や睡眠の質改善に役立つものもあります

ここでは、デスクワークで生じやすい「首まわりの凝り」をほぐしながら脳疲労も解消できる「首ジワークネクネ体操」を紹介しましょう。

  1. 正面を向いて椅子に座り、左に首を少し傾け、右側の首筋をさする
  2. 息を吐きながら首をゆっくり右に傾け、同じ要領でさする
  3. 首筋を左右に「クネクネ」とゆっくりゆらしながら解きほぐす

「重い頭を支える首は最も凝りが生じやすい」と高岡氏は言います。首筋をさするときは、じっくりと伸ばしてストレッチしましょう。そうすることで、首筋をクネクネさせるときのほぐし効果がより高まるとのこと。全身を脱力させてリラックスすることも心がけてください。

脳に効く仕事中おすすめストレッチ03

【3】脳全体の活性化と安定に「大腿四頭筋のストレッチ」

医学博士の川﨑康彦氏は、体を動かすと脳の一次運動野が活性化し、その刺激によって脳全体も活性化すると言います。まったく運動しない人は一次運動野がほとんど働いていない状態なので、少し体を動かすだけでも脳の活性化を実感できるとのこと。たとえば、足指をジャンケンの要領で動かすだけでも、脳に効く運動になるそうです。

しかし多くの人は、脳を一時的に活性化させるだけではなく、その活性化を継続して安定させたいと考えるのではないでしょうか。そこで川﨑氏がすすめるのが、重心を整えるトレーニングです。脳は直立不動のときに最も安定し、体が傾いて脳の位置がずれると不安定になります。しかし、日頃から重心を整えるトレーニングを積むと、直立不動時以外でも脳が安定するようになるのだそうです。

ここでは、トレーニングの一例として、太ももの前面を鍛える「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のストレッチ」を紹介します。

  1. .壁の前に立ち、右手を壁につく
  2. 左手で左足の足首を持ち上げ、右足以外を前傾させる
  3. 上半身を起こして海老ぞりになる。このとき、顔は右手を見る
  4. 大腿四頭筋の伸びを感じたら、5秒間キープする

これら一連の動作を左右交互2回ずつ行ないましょう。コピーなど、席を立ったときにやってみてください。

脳に効く仕事中おすすめストレッチ04

【4】集中力アップに「マインドフルネス・ストレッチ」

マインドフルネスとは、禅の瞑想法から宗教色を取り除いたもの。グーグルが社員研修にいち早く取り入れたことでも知られていますね。そんなマインドフルネスとストレッチを組み合わせた「マインドフルネス・ストレッチ」が集中力アップにいいと説くのは、産業医の奥田弘美氏です。

私たちの集中力が散漫になるのは「過去や未来に意識が飛んでしまうから」だと、奥田氏は言います。「さっきの部下への指導は、言い方が悪かったのではないか……」「明日のプレゼンが不安だ……」など、何かをやりながらそれ以外のことに思いを馳せてしまう人も多いはず。一方、マインドフルネスでは「いまやっている」ことに意識を向けます。そのため、過去や未来にとらわれている自分に気づき、「いま」に心を戻すことができるのです。

マインドフルネス・ストレッチでは、骨、皮膚、筋肉などの感覚に意識を向けることを心がけましょう。そうすることで集中力が高まり、体や脳のリラックス効果も得られます。

  1. 背筋を伸ばして椅子に座り、へその両側に手を置き、2~3回腹式呼吸をする
  2. 右手で右肩の先端、左手で左肩の先端を持つ
  3. 心の中で「右肩を回します」と言いながら、右肩を回す(5~10回)
  4. 「止めます」と心の中で言ってから動作を止め、左肩も同様に行なう
  5. 同様に、今度は両肩を一緒に回す

肩を回すときは、肩の関節や筋肉の動きに集中して、大きな円を描くようにゆっくりと動かしましょう。また、両肩を回し終わったら、「終わります」と心の中で言って静かに終了してください。

***
パフォーマンスの低下は、脳に効くストレッチで改善できる可能性があります。どれも仕事の合間にできるものばかりなので、ぜひ息抜きがてら実践してみてください。

(参考)
山内英嗣(2015),『ストレスの9割はストレッチで消せる』, マイナビ新書.
高岡英夫(2015),『脳と体の疲れを取って健康になる決定版ゆる体操』, PHP研究所.
川﨑康彦(2016),『ハーバードで学んだ脳を鍛える53の方法』, アスコム.
日経スタイル|職場で「瞑想ストレッチ」 集中力を高めるワザ

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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