「妬み」の感情に囚われたときは、自ら環境を変えていく賢い戦略を【中野信子『カリスマの言葉』第3回】

ネガティブな「妬み」の感情はすぐに手放すことが大切――。世間でよくいわれるように、たしかにそうした面はありますが、脳科学的に考えると必ずしもすぐ手放せばいいというものでもないようです。むしろ、「妬み」の感情をうまく利用することで、自分を変える能力をもっと高めることができたとしたら?

誰しもが囚われがちな「妬み」の感情をうまくコントロールして、勉強や仕事に活用していくための効果的な思考法をご紹介します。

【格言】 強い「妬み」ほど、 使い方次第で自分を変えるエネルギーになる

妬みは環境で変わります。良い妬みが生まれる環境は、実力や成果がランキングなどで正当に評価され、健全な競争が行われているところ。悪い妬みが生まれる環境は、コネや容姿で評価が決まるような、公平な競争が行われていないところ。努力が報われにくいため、陰で悪口をいい合ったり、足を引っ張り合ったりすることが起こりやすい。そのため、自分が前向きに努力するよりも、相手の噂や評判を落とすほうに気持ちが向かいがちです。

では、悪い妬みにはどう対処すればいいのでしょう? それは、自分の周りだけでも環境を変えることです。

人の悪口をいうと、「ブーメラン効果」によって、悪口をいった自分の評価まで下がるといわれていますから、人の悪口はこらえる。その代わり同じ噂話をするにしても、誰かをほめるという戦略です。すると今度は、人は直接ほめられるよりも第三者を介してほめられたほうが嬉しいという「ウインザー効果」により、あなたの株が上がるかもしれません。

農業国であり災害が多い日本は、むかしから協力し合わないと生産性が上がらず生き延びることができませんでした。そんなこともあり、日本人の脳は妬みを強く感じやすいのです。これは仕方ないこと。むしろその強いパワーをプラスに変えて、自分のエネルギーにしましょう。

【プロフィール】 中野信子(なかの・のぶこ) 1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。

Photo◎佐藤克秋

*** 「良い妬み」がもつ強力なパワーをうまく利用しつつ、「悪い妬み」なら自分から意識して環境を変えていく。「妬み」の感情をすべて悪だと決めつけるのではなく、うまく区別して自分のために活用していくのが賢い戦略です。

自分から主体的に悪い環境を変えていくときは、第三者の言葉の効果を重視する「ウインザー効果」という人間心理も、知っておきたい情報でありスキルですよね。

■中野信子さん『カリスマの言葉』一覧はこちら nakano-ver1

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