水分不足は脳に悪影響! 仕事のパフォーマンスを下げる「オフィス脱水」リスクと対処法

仕事中、「どうも頭が働かない……」「ミスばかりしている」と感じたら、もしかしたら「オフィス脱水」かもしれません。わたしたちは、知らず知らずのうちに脱水しやすい環境のなかで、脱水しやすい習慣を持ち、脳の状態や活動を変化させている可能性があります。新しい研究の紹介とともに、オフィスで注意すべきことをお伝えします。

脱水は仕事のパフォーマンスを低下させる

米ジョージア工科大学・生物学部のMindy Millard-Stafford教授は、ボランティアの参加者に運動で多くの発汗をしてもらい、脳のスキャンと反応テスト(単純で反復的な作業)を用いて脳の状態を調べたそうです。すると、参加者の大半が単調な作業にもかかわらず多くのミスを犯すようになり、脳にも顕著な変化が見られたのだとか。なんと一部の領域が腫れていたとのこと。

脱水状態にあった参加者が水を飲むと、脳の中心にある脳室という体液で満たされた空間が収縮したそうです。つまり、腫れていたというのはその部分。脱水状態になると、その部分が拡大してしまうのです。

参加者は、からだの水分が失われるにつれて、ますますミスを犯すようになったといいます。しかも研究者らは、脱水症状がなくても作業のパフォーマンスが低下することを発見しています。その際、実際には体内の水分が多く失われていたそう。

Millard-Stafford教授と米エモリー大学の研究員Matthew Wittbrodt氏は、複数の研究結果を統合して「脱水により認知能力が損なわれる」と結論づけ、Medicine&Science誌に発表(2018年7月)しています。

オフィスは脱水の危険がいっぱい

もちろんオフィスで仕事をしているときに、前項の研究のような運動による発汗はありません。しかし、実はごく一般的なオフィスにおいても、脱水状態になってしまう可能性は大いにあるのです。

脱水のリスクは1年中

済生会横浜市東部病院周術期支援センター長兼栄養部部長の谷口英喜氏によると、「脱水のリスクは1年を通じてあり、環境とからだ、どちらの要因でも起こり得る」のだそう。

暑くても寒くても、エアコンで室温を調節しているオフィスは空気が乾燥しやすくなります。そして、空気が乾燥していると、どうしても体内の水分が失われやすくなります。

そうかといって、あまりエアコンを必要としない時期でも、季節の変わり目には自律神経の反応が鈍くなってしまうので、体温を調節したり、水分を保持したりすることが、うまくいかなくなるのだとか。

オフィスの脱水しやすい場所

また、オフィスには、以下のように気をつけなければならない場所があります。

・天気がいい日中の、窓ガラスに近い場所 ・パソコンやサーバー、プリンタなどが集中している場所

これらの場所は、想像以上に温度が上昇している可能性が高いそうです。そのため、屋内でも熱中症にかかりやすい環境として、注意が呼びかけられています。

脱水リスクを高めるオフィスの習慣

一般的なオフィスでは、比較的コーヒーやお茶などが備えられているケースが多いのではないでしょうか。また、疲れを感じているにもかかわらず、もうひと頑張りしなければならないときは、栄養ドリンクやエナジードリンクに頼ることもあるでしょう。

しかし、これらにはカフェインが含まれており、後者においては少量のアルコールも配合されているそう。摂取が過剰になれば、元気を出そうと飲んだにもかかわらず利尿作用で脱水が進み、結局は仕事のパフォーマンスを下げてしまうかもしれません。

オフィスで脱水状態にならないために

オフィスで脱水し、仕事に支障をきたすような状態を避けるためには、以下のような意識が必要です。

1.オフィスでも、1年を通して脱水の危険がある 2.自覚症状がなくても脱水している可能性がある 3.脱水していると自覚症状がなくても仕事のパフォーマンスを下げる 4.日光が入る窓の近く、パソコンやプリンタなどが集中している場所はかなり高温

また、次のことに注意し、予防・対処することをおすすめします

・カフェインを摂りすぎない、エナジードリンクを飲みすぎない ・ミネラル豊富な飲み物を、少量ずつ小まめに摂る ・ブラインド、カーテン、卓上扇風機、保冷剤や冷感タオルなどで高温を避ける工夫

なお、水ばかりを大量に飲むと、からだが「もういらない」と反応し、吸収されずにどんどん尿になり出てしまうそう。また、大量の水で血液が薄まることにより、命の危険さえある低ナトリウム血症を起こしてしまうこともあります。水は決して大量にグビグビ飲まず、少量を継続的に摂取しましょう。

水分を補給する際には、ミネラルウォーター(硬水)や経口補水液、あるいはトマトジュースなど、ミネラルやビタミンが豊富な飲み物が最適です。糖質が少ないものであれば、スポーツドリンクもいいでしょう。

*** 「オフィス脱水」にならないよう小まめに水分を補給し、順調に仕事を進めてくださいね!

(参考) Health News and Information - News Medical|Dehydration changes shape and activity of the brain, reduces task performance Georgia Tech|As We Get Parched, Cognition Can Sputter, Dehydration Study Says Biz Drive(ビズドライブ)-あなたのビジネスを加速する|室内でも熱中症に。「かくれ脱水」に注意 NIKKEI STYLE|WOMAN SMART|すべての疲れは「脳の疲れ」 脳疲労をためない新習慣 ニュース速報:読売新聞(YOMIURI ONLINE)|その体調不良、脱水かも?

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