時間に追われて疲れた人が「しない」ほうがいい10のこと。生産性回復のカギは “始業前5分” にある

時間に追われて疲れている社会人のための「10のしないこと」01

「忙しい」「時間がない」 が口癖で、常に時間に追われている。そのせいで疲労がたまり、ケアレスミスが増えたり、注意散漫になったりして生産性が落ちてしまった――。

そんな、時間に追われて疲れている社会人が生産性を回復させるための「10のしないこと」を集めてみました。「するべき」と厳しいルールを課すものではないので心理的な負担が少なく、実践しやすいことでしょう。では、さっそくご紹介します。

【1】仕事をひとりで抱え込まない

作業スピードを上げるには、仕事をひとりで抱え込まず、うまくまわりに手伝ってもらうといい――。そう述べるのは、『しない技術 シンプル時間管理術』の著者で、ニューヨーク州弁護士として多くのクライアントを抱える佐藤有紀氏。

仕事をひとりで抱えると、判断に悩む時間が増えたり、心理的負担が増えたりしてしまいます。ですので、たとえば書類のチェックなど、同僚に任せられる業務は任せてしまいましょう。仕事をひとりで抱えることがなくなれば、生産性を落とすリスクが減りますよ。

【2】コミュニケーションをおろそかにしない

佐藤氏は、人とのコミュニケーションを普段からおろそかにしないほうがいいとも述べています。というのも、イレギュラーな対応を求められたときでも円滑なコミュニケーションをとれるようにしておくため。

たとえば「お久しぶりです」と簡単な挨拶をしたり、近況を報告したりして、いまは関わりが少ない人とも定期的に連絡をとるようにしてみましょう。いざというときに、仕事を任せたり相談したりしやすくなるはずです。仕事が回らなくなることを防げて、生産性を高められますよ。

【3】始業前ギリギリに席に着かない

研修講師・コンサルタントの鳥原隆志氏いわく、始業前に作業の計画を立てるだけで生産性を上げられるとのこと。なぜなら、時間に追われる状況を生み出しているのは、始業ギリギリに出社してやみくもに案件へ取りかかる悪い習慣のせいだから。

鳥原氏によれば、計画を立てる際は、タスクを次の4つに分類するとよいのだとか。1から順に、優先順位が高いものとなります。

  1. 緊急度も重要度も高い:納期が迫っている作業、クレーム対応など
  2. 重要だが、緊急度は低い:中長期計画策定、取引先の検討など
  3. 緊急度が高いが、重要度は低い:重要ではない電話やメールの対応など
  4. 緊急度も重要度も低い:雑談を交えたランチミーティングなど

5分もあれば、計画は立てられるそう。いまよりほんの少し早く出社するよう心がけてみましょう。

【4】すべての業務に全力を尽くさない

鳥原氏は、時間に余裕をもちつつ成果を挙げられる人は、すべての仕事を全力で頑張ることはしないと伝えています。

一方で、常に忙しいのに成果が上がらない人は、「頑張っても成果につながらない仕事に時間をかけすぎている」そう。

ぜひあなたも、先述の優先順位で3~4に該当するタスクは、最低限のことに留めるようにしてみましょう。たとえば、優先順位3のメール対応なら、文面の体裁を気にしすぎないようにすれば、余計な時間をなくせることでしょう。

【5】午前中に単調な作業をしない

小さなミスも許されない決算書の作成といった、高い集中力を要する仕事は、午後にしないほうがよい。やるなら午前中にするべきだ――と精神科医の樺沢紫苑氏は述べます。

なぜなら、午前中のほうが脳は疲れていないので、より高いパフォーマンスを発揮できるからです。逆に資料の整理や簡単なデータ入力といった、比較的単調な作業を午後に回すとよいとのこと。

脳が最高のパフォーマンスを発揮できる時間帯に、それに合った仕事をすれば、作業効率を2倍以上に高めることが可能なのだそうですよ。

時間に追われて疲れている社会人のための「10のしないこと」02

【6】自由時間にダラダラと過ごさない

時間に追われる日々で疲れてしまうと、わずかに生じた自由時間はダラダラと過ごしたくなるかもしれません。しかし樺沢氏は、適度に体を動かすほうがいいと言います。

というのも、有酸素運動には集中力や記憶力、思考力を高める効果があるからです。樺沢氏いわく、たった10分の運動でも効果的とのこと。昼休みにランチがてら少し歩くようにしたり、休日の午後に軽くウォーキングしたりするだけでも脳の働きが高まり、生産性を回復させることができますよ。

【7】すぐにスマートフォンを見ようとしない

エレベーターのなかや、待ち合わせの最中。ふとした瞬間にスマートフォンを見ていませんか? その癖が集中力や生産性を落とし、あなたから時間の余裕を奪っているかもしれませんよ。

樺沢氏によれば、スマートフォンを取り出しかけたら、目を閉じるのがおすすめだそう。脳は視覚情報の処理にキャパシティの90%を使っているので、スマートフォンを見てさらに情報量を増やすと、疲労度が高まってしまうと樺沢氏は説きます。目を閉じれば視覚情報がシャットされて脳をリフレッシュできるので、生産性を回復できますよ。

【8】嫌な仕事をあと回しにしない

嫌な仕事をあと回しにすると、予想外の事態が起こったとき納期に間に合わなくなったり、ミスをしたりする恐れがある。そうならないために、仕事はあと回しにせず総じて早く手をつけたほうがいい――。そう説くのは毎月1冊、10万字の本を書き続けるブックライター・上阪徹氏。実際、自身も締め切りの2~3日前に仕事を終えるようにしていると語ります。

また東京大学教授で脳研究者の池谷裕二氏によると、私たちの脳は、行動を起こすことでやる気スイッチが入る仕組みになっているのだとか。嫌だなと思う仕事であっても、やっているうちに気分が乗ってくれば、ギリギリになって時間に追われる事態も回避できるはず。

【9】アイデアはデスクで考えない

アイデアや企画の考案には時間を要しますが、時間に追われているときほど思い浮かばないもの。そこで、デスクはアイデアを「練る場所」ではなく「整理する場所」にしましょう

上阪氏いわく、「そもそもアイデアや企画はデスクで考えても浮かばない」。自身は移動時間や運動中などにアイデアがよく浮かぶそうで、それをスマートフォンにメモする習慣をつけていると言います。

これは、脳科学的にも理にかなったやり方です。脳科学をビジネスに活かすニューロビジネス・グループCEOのスリニ・ピレイ氏によると、集中を解いているとき……つまり、ぼーっとしているときの脳回路(デフォルト・モード・ネットワーク)のほうが創造的になり、アイデアが浮かびやすいそうですよ。

【10】考えても仕方がないことをくよくよ悩まない

悩んでも仕方がないことをいつまでも悩むのは時間の無駄であり、生産性が落ちる原因になる――。そう述べるのは、中尾マネジメント研究所代表の中尾隆一郎氏。

たとえば、新しい仕事を部下のAさんに任せることになっているのに、「Aさんで本当に大丈夫だろうか?」と心配しすぎるのは時間の無駄。結局のところ、やってみなければわからないからです。そういう問題は、実行のタイミングではなく「Aさん、Bさん、Cさんのうち誰に任せるべきだろうか?」のように選択肢があるタイミングで、じっくり検討しておけばいいと中尾氏は言います。

神経科学を活用したリーダーシップ開発を行なうコンサルタント、デイビッド・ロック氏いわく、「思考や判断に割ける脳のリソースは有限だ」とのこと。簡単な問題はさっさと解決し、脳のリソースはもっと難しい課題を考えるのに使って生産性を上げたいものですね。

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時間に追われて疲れている社会人が生産性を回復させるための「10のしないこと」をまとめると、次のようになります。

時間に追われて疲れている社会人のための「10のしないこと」3

ぜひ、できることから始めてみてくださいね。

(参考)
佐藤有紀 (2016), 『しない技術 シンプル時間管理術』, プレジデント社.
鳥原隆志 (2016), 『トップ1%に上り詰める人の頭の中身 必ず結果につながる「思考の習慣」』, 大和書房.
富士フイルム|仕事の優先順位を見きわめる「時間管理のマトリックス」
樺沢紫苑 (2017), 『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術 』, 大和書房.
上阪徹 (2019), 『プロの時間術 大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる!』, 方丈社.
新R25|「簡単にやる気を出す方法を教えてください!」→脳研究者「やる気なんて存在しない」
STUDY HACKER|DMNとは? 創造力を高め、脳疲労を防ぐために知っておくべき9つのこと
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|集中力をコントロールして、創造力を発揮する3つの方法
Business Insider Japan|時間が足りないと悩んでいるあなたへ。この3つの方法で“無駄な仕事”はなくなる
デイビッド・ロック (2019), 『最高の脳で働く方法 −Your Brain at Work』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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